江府(読み)こうふ

精選版 日本国語大辞典 「江府」の意味・読み・例文・類語

こう‐ふカウ‥【江府】

  1. ( 「ごうふ」とも ) 江戸幕府のあるところ江戸
    1. [初出の実例]「於武州江苻金城下、書之」(出典:わらんべ草(1660)奥書)

え‐ふ【江府】

  1. 江戸の異称
    1. [初出の実例]「父の家を去て都にうかれ江苻(ヱフ)に至て身の便(よすが)を成に」(出典:浮世草子・近代艷隠者(1686)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江府」の意味・わかりやすい解説

江府(町)
こうふ

鳥取県南西部日野郡にある町。1953年(昭和28)江尾(えび)町と神奈川(かながわ)、米沢(よねざわ)の2村が合併して成立。1954年日光(にっこう)村の一部を編入。JR伯備(はくび)線、国道181号、482号が通じ、米子自動車道江府インターチェンジがある。日野川に沿う中心の江尾は戦国末期は尼子(あまご)方の城下で、江戸時代日野往来宿場町、番所所在地であった。明治以後は谷口集落として発達した。現在は町役場、江府町歴史民俗資料館などがある。大山(だいせん)南西麓(ろく)には草地造成による牧場があり、裏大山南麓に休暇村奥大山や、旧木地師(きじし)集落御机(みづくえ)、下蚊屋(さがりかや)がある。県指定の天然記念物には武庫(むこ)の七色ガシ、下蚊屋明神のサクラ、俣野(またの)の熊野神社社叢(しゃそう)、県の無形民俗文化財には、江尾のこだいぢ踊、下蚊屋の荒神神楽(こうじんかぐら)などがある。中国電力俣野川発電所は、岡山県側旭川(あさひがわ)水系から日野川水系俣野川の俣野川ダム(下池(しものいけ))に導水し、最大出力120万キロワットの揚水発電で1985年に完成した。面積124.52平方キロメートル、人口2672(2020)。

[岩永 實]

『『江府町史』(1975・江府町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「江府」の意味・わかりやすい解説

江府[町] (こうふ)

鳥取県西部,日野郡の町。人口3379(2010)。大山南麓に位置し,北流する日野川を境として東部は火山灰土地帯,西部は花コウ岩地帯で,河川沿いに耕地が開ける。中心集落の江尾は谷口集落で,山陰山陽を結ぶ交通の要地に位置し,近世は宿場町であった。日野川支流谷奥の御机(みつくえ),下蚊屋(さがりがや)はかつての木地屋集落である。農林業を町の基幹産業とし,米作のほかダイコン,タバコ,シイタケなどの栽培が行われる。大山南麓では肉牛,乳牛の飼育が盛ん。俣野川流域ではかつて山砂鉄を原料としたたたら製鉄が行われた。鏡ヶ成,毛無山(けなしがせん)など岡山県境の山岳地帯は大山隠岐国立公園に属し,大山鏡ヶ成休暇村がある。JR伯備線,国道181号線が通り,米子自動車道のインターチェンジがある。
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百科事典マイペディア 「江府」の意味・わかりやすい解説

江府[町]【こうふ】

鳥取県西部,日野川中流域にある日野郡の町。伯備線に沿う主集落の江尾(えび)は江戸時代の宿場町。米,ネギ,ダイコンを産し,林業も行う。岡山県境の山岳地帯は大山隠岐(だいせんおき)国立公園に属し,鏡ヶ成(かがみがなる)国民休暇村がある。米子自動車道が通じる。124.52km2。3379人(2010)。
→関連項目俣野川[発電所]

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