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法の抵触 ほうのていしょくconflict of laws

世界大百科事典 第2版の解説

ほうのていしょく【法の抵触 conflict of laws】

内容を異にする複数の法律が,同時に同一の問題について適用されるようにみえる事態をいう。抵触のあり方は多様であるが,国家法相互の間でこれをみると,一夫一婦制をとる日本の国法と多妻婚を認めるインドネシア・イスラム法との関係などがその例となる。ただし,それぞれの国がそれぞれ異なった制度をとっていることや法律の内容の相違それ自体が問題なのではない。この両国にまたがる関係,たとえばインドネシア人の男と日本人の女とが結婚しようとするときなどにおいて,この双方の法律がともに,このような結婚の成立にあたって必ず適用されねばならないという趣旨である場合に,真の抵触true conflictが生ずる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

法の抵触
ほうのていしょく
conflict of laws

いくつかの法体系が同一の法律関係を支配するようにみえる場合をいい、「法例」という名の法形式で原則を定めるのが普通である。時間的抵触と空間的抵触とに区別される。時間的抵触は、法の改正の場合などに旧法下の事実の法的効果を新法下でどう扱うかの問題で、旧法適用主義(新法不遡及(ふそきゅう))と新法適用主義(新法遡及)とがある。刑罰法規においては不遡及が原則であるが(罪刑法定主義)、新法のほうが刑が軽い場合には新法が適用される(刑法6条)。民事法においては、法律関係の安定、価値観の変化などさまざまな事態を考慮して、新法の適用範囲が定められる。空間的抵触とは、外国人の行為などについて、属人(ぞくじん)法主義と属地法主義のいずれをとるか、いいかえれば「準拠法」をどれにするかが問題となるような場合で、私法については法の適用に関する通則法に、刑事法については刑法第1章に規定がある。私法について空間的抵触の問題を規制する法分野は国際私法とよばれる。[長尾龍一]

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世界大百科事典内の法の抵触の言及

【国際私法】より

…この方法は伝統的に抵触法的方法と呼ばれている。上の例で成年年齢が各国で異なっていて各国の法律が互いに衝突・抵触しあっているように思えるところから,問題の核心はこの法の抵触を解決するところにあると考え,その解決基準となるような法的基準を作ろうとし,そうした法的基準を,法の抵触を解決する法律つまり抵触法と呼んだところに由来する。この方法は,国際的関係に特別の規定を設けるというよりは,すでにあるいずれかの国法を借用するという趣旨のものであるため,なんらかの標準に基づいて,最も適当な国法を選択し指定する形となる。…

※「法の抵触」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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