愛知県西部にある毛織物工業都市。1947年(昭和22)市制施行。1955年神守(かもり)村、1956年永和村の一部を編入。名古屋鉄道津島線、同尾西(びさい)線、国道155号が通じる。また、近くに東名阪自動車道の蟹江(かにえ)インターチェンジがある。木曽川(きそがわ)のデルタとして形成された地域で、中心市街地が自然堤防上の微高地にあるほかは、大半が低湿な海抜ゼロメートル地帯にある。津島神社の門前町として発達し、旧天王(てんのう)川には津島湊(みなと)があり、桑名への渡津であった。毛織物はそれまで佐織縞(さおりじま)、白木綿(もめん)が中心だったが、1901年(明治34)片岡(かたおか)春吉によって開発された綿毛交織のセルジスにかわり、現在の毛織物工業に発展した。尾西毛織物工業地域南部の中核を担っている。しかし、市内工業のうち、繊維工業が占める割合は急速に低下し、1995年(平成7)には製造品出荷額で22%を占めていたが、2002年では11%と半減した。津島神社は津島牛頭天王(ごずてんのう)社ともよばれ、祭神は建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)、大穴牟遅命(おおなむちのみこと)。7月第4土曜日とその翌日の日曜日に行われる川祭は車楽船(だんじりぶね)と花火でにぎわい、国の重要無形民俗文化およびユネスコの無形文化遺産となっている。津島神社の近くの天王川公園は、四季を通じて市民の憩いの場となっている。そのほか、江戸中期に建てられた堀田(ほった)家住宅が国の重要文化財。面積25.09平方キロメートル、人口6万0942(2020)。
[伊藤郷平]
『『津島市史』全5巻(1970~1975・津島市)』
愛媛県南部、北宇和郡にあった旧町名(津島町(ちょう))。現在は宇和島市の南部を占める地域。宇和海に面し、東は高知県に接する。旧津島町は、1955年(昭和30)岩松町と清満(きよみつ)、御槇(みまき)、畑地(はたじ)、下灘(しもなだ)、北灘の5村が合併して成立。2005年(平成17)吉田町、三間(みま)町とともに宇和島市に合併。国道56号が通じる。町名は中世にこの地を領有した津島氏にちなむ。県境の篠(ささ)山(1065メートル)には山岳信仰の篠山権現がある。篠山は宇和島藩時代には土佐藩との間にしばしば境界紛争のあった所。沿岸はリアス海岸で、足摺(あしずり)宇和海国立公園に属し、かつてはイワシの宝庫であったが、現在は真珠母貝とハマチ養殖などが行われている。中心の岩松は近世以来の在町で、かつては河港としても栄えた。山間の御内(みうち)や槇川は林業、シイタケ栽培が中心で、かつては養蚕も盛んであった。高知県宿毛(すくも)地方との交流が深い。
[横山昭市]
『『津島町誌』(1975・津島町)』▽『『津島町誌 改訂版』(2005・津島町)』
愛知県西部の市。1947年市制。人口6万5258(2010)。平安時代末から津島神社の門前町,また伊勢桑名と結ぶ港町として栄え,戦国時代には織田氏の領地となり,六斎市が開かれていた。江戸時代は尾張藩領で代官所が置かれ,藩の奨励で白木綿などの綿織物業が盛んとなった。明治時代に綿織物業は毛織物業に転換し,尾西毛織物工業地域の中心地の一つになった。1973年のオイル・ショック以後は不況の波にあらわれ,繊維工業は製造品出荷額に占める割合で1970年の57%から80年の33%,94年の23%にまで低下し,かわって家具装備品,金属・機械製品の伸びが著しい。名鉄津島線・尾西線が通り,名古屋などへの通勤者も多い。安藤広重の《六十余州名所図会》で有名な津島神社の津島祭(天王祭)は重要無形民俗文化財に指定されている。東部の神守町は江戸時代は佐屋路の宿駅であった。
執筆者:溝口 常俊
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…愛知県の尾西市,一宮市,津島市を中心とする尾張西部地方は古くから織物業が発達したが,この地域で生産される織物をいう。1764年(明和1)京都西陣から桟留縞(さんとめじま)製織技術が,中島郡起(おこし)村(尾西市起町)に伝えられ,20年余りのち,京都から菅大臣縞の技法が伝えられた。…
※「津島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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