津島(読み)ツシマ

デジタル大辞泉 「津島」の意味・読み・例文・類語

つしま【津島】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「津島」姓の人物
津島佑子つしまゆうこ

つしま【津島】

愛知県西部の市。津島神社門前町として発達。毛織物の発祥の地。人口6.5万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「津島」の意味・読み・例文・類語

つしま【津島】

  1. [ 1 ] 愛知県西部の地名。濃尾平野の木曾川左岸にある。江戸時代、津島神社の門前町、海上七里の渡しを避ける東海道五十三次の陸路「佐屋路」の宿駅として発達。明治末期以後は江戸時代からの織布工業に加えて、毛織物工業が中心。また、特産品に雪駄がある。昭和二二年(一九四七)市制。
  2. [ 2 ]
    1. つしままつり(津島祭)」の略。
      1. [初出の実例]「第一に御葦流の神事は、毎歳今日行はる、葦数千を束て、鎮疫の神事の具とす、件の葦を河海に投ず、其流れ寄所、必疫癘ありと云。〈略〉是を津島の御葦流と云也」(出典:俳諧・滑稽雑談(1713)六月)
    2. 津島祭で吹く笛。また、その曲。津島笛。
      1. [初出の実例]「舞、つしま、ゆりなど所望する」(出典:虎明本狂言・吹取(室町末‐近世初))
    3. 歌舞伎の下座音楽の一つ。津島祭の囃子を模したにぎやかな鳴物。太鼓、大太鼓、能管による。
      1. [初出の実例]「つしまになり、花道より二条蔵人の子息愛護若〈略〉出て来る」(出典:歌舞伎・猿若万代厦(1786)三立)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「津島」の意味・わかりやすい解説

津島(市)
つしま

愛知県西部にある毛織物工業都市。1947年(昭和22)市制施行。1955年神守(かもり)村、1956年永和村の一部を編入。名古屋鉄道津島線、同尾西(びさい)線、国道155号が通じる。また、近くに東名阪自動車道の蟹江(かにえ)インターチェンジがある。木曽川(きそがわ)のデルタとして形成された地域で、中心市街地が自然堤防上の微高地にあるほかは、大半が低湿な海抜ゼロメートル地帯にある。津島神社の門前町として発達し、旧天王(てんのう)川には津島湊(みなと)があり、桑名への渡津であった。毛織物はそれまで佐織縞(さおりじま)、白木綿(もめん)が中心だったが、1901年(明治34)片岡(かたおか)春吉によって開発された綿毛交織のセルジスにかわり、現在の毛織物工業に発展した。尾西毛織物工業地域南部の中核を担っている。しかし、市内工業のうち、繊維工業が占める割合は急速に低下し、1995年(平成7)には製造品出荷額で22%を占めていたが、2002年では11%と半減した。津島神社は津島牛頭天王(ごずてんのう)社ともよばれ、祭神は建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)、大穴牟遅命(おおなむちのみこと)。7月第4土曜日とその翌日の日曜日に行われる川祭は車楽船(だんじりぶね)と花火でにぎわい、国の重要無形民俗文化およびユネスコ無形文化遺産となっている。津島神社の近くの天王川公園は、四季を通じて市民の憩いの場となっている。そのほか、江戸中期に建てられた堀田(ほった)家住宅が国の重要文化財。面積25.09平方キロメートル、人口6万0942(2020)。

[伊藤郷平]

『『津島市史』全5巻(1970~1975・津島市)』



津島
つしま

愛媛県南部、北宇和郡にあった旧町名(津島町(ちょう))。現在は宇和島市の南部を占める地域。宇和海に面し、東は高知県に接する。旧津島町は、1955年(昭和30)岩松町と清満(きよみつ)、御槇(みまき)、畑地(はたじ)、下灘(しもなだ)、北灘の5村が合併して成立。2005年(平成17)吉田町、三間(みま)町とともに宇和島市に合併。国道56号が通じる。町名は中世にこの地を領有した津島氏にちなむ。県境の篠(ささ)山(1065メートル)には山岳信仰の篠山権現がある。篠山は宇和島藩時代には土佐藩との間にしばしば境界紛争のあった所。沿岸はリアス海岸で、足摺(あしずり)宇和海国立公園に属し、かつてはイワシの宝庫であったが、現在は真珠母貝とハマチ養殖などが行われている。中心の岩松は近世以来の在町で、かつては河港としても栄えた。山間の御内(みうち)や槇川は林業、シイタケ栽培が中心で、かつては養蚕も盛んであった。高知県宿毛(すくも)地方との交流が深い。

[横山昭市]

『『津島町誌』(1975・津島町)』『『津島町誌 改訂版』(2005・津島町)』

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改訂新版 世界大百科事典 「津島」の意味・わかりやすい解説

津島[市] (つしま)

愛知県西部の市。1947年市制。人口6万5258(2010)。平安時代末から津島神社の門前町,また伊勢桑名と結ぶ港町として栄え,戦国時代には織田氏の領地となり,六斎市が開かれていた。江戸時代は尾張藩領で代官所が置かれ,藩の奨励で白木綿などの綿織物業が盛んとなった。明治時代に綿織物業は毛織物業に転換し,尾西毛織物工業地域の中心地の一つになった。1973年のオイル・ショック以後は不況の波にあらわれ,繊維工業は製造品出荷額に占める割合で1970年の57%から80年の33%,94年の23%にまで低下し,かわって家具装備品,金属・機械製品の伸びが著しい。名鉄津島線・尾西線が通り,名古屋などへの通勤者も多い。安藤広重の《六十余州名所図会》で有名な津島神社の津島祭(天王祭)は重要無形民俗文化財に指定されている。東部の神守町は江戸時代は佐屋路の宿駅であった。
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津島(愛媛) (つしま)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「津島」の意味・わかりやすい解説

津島
つしま

愛媛県南西部,宇和島市南部の旧町域。宇和海に臨む町。 1955年岩松町と清満村,御槇村,畑地村,下灘村,北灘村の5村が合体して津島町が発足。 2005年宇和島市,吉田町,三間町と合体して宇和島市となった。中心集落の岩松は木材の集散地で,岩松川左岸の河口港として江戸時代から問屋が発達。周辺では従来,段々畑でサツマイモ栽培が行なわれたが,1960年頃から柑橘類の栽培が増えた。沿岸は典型的なリアス海岸で,湾内ではハマチ,真珠の養殖が行なわれる。八幡神社,満願寺などの古社寺のほか,日本庭園の南楽園などの名所がある。南部は篠山県立自然公園足摺宇和海国立公園に属する。

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百科事典マイペディア 「津島」の意味・わかりやすい解説

津島[町]【つしま】

愛媛県南部,宇和島市の南に接する北宇和郡の旧町。主集落は岩松川左岸の岩松。大部分山地で林業,果樹栽培を行う。西部は宇和海に臨み,真珠,ハマチ,タイなどの養殖漁業が盛ん。沿岸は足摺宇和海国立公園に属する。2005年8月北宇和郡三間町,吉田町と宇和島市へ編入。221.00km2。1万3868人(2003)。

津島[市]【つしま】

愛知県西部,濃尾平野上の市。1947年市制。中心市街は古くは河港,のち津島神社の鳥居前町として発達した。近世は綿織物産地で,明治以後毛織物へ転換,現在は尾西毛織物工業地域の一中心をなす。1985年に市の製造品出荷額で約4割を占めていた繊維工業は2003年には約1割に落ち込み,輸送用機器,金属工業などが成長し,約3割を占めている。イチゴ,トマトなどの施設野菜や,花卉(かき)栽培など,都市近郊型農業が行われる。名鉄の津島・尾西(びさい)両線が通じる。25.09km2。6万5258人(2010)。

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デジタル大辞泉プラス 「津島」の解説

津島〔徳島県〕

徳島県海部郡牟岐(むぎ)町、牟岐湾沖合いにある無人島。スジダイ、アコウなどが自生し、「津島暖地性植物群落」として国の天然記念物に指定されている。

津島〔愛媛県〕

愛媛県今治市の大島(越智大島)の西方約1キロメートルに位置する越智諸島の島。面積約1.49平方キロメートル。イチジクが特産品。

津島〔香川県〕

香川県三豊市、三野津湾にある無人島。津嶋神社があり、夏の例大祭の際には津島橋によって四国本土と結ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内の津島の言及

【尾西織物】より

…愛知県の尾西市,一宮市津島市を中心とする尾張西部地方は古くから織物業が発達したが,この地域で生産される織物をいう。1764年(明和1)京都西陣から桟留縞(さんとめじま)製織技術が,中島郡(おこし)村(尾西市起町)に伝えられ,20年余りのち,京都から菅大臣縞の技法が伝えられた。…

※「津島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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