浅間信仰(せんげんしんこう)(読み)せんげんしんこう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

浅間信仰(せんげんしんこう)
せんげんしんこう

富士山に対する信仰富士講、浅間講など、江戸時代より発展した講組織の信仰もこれに入る。富士山そのものを神とする信仰は、『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』に記されるところからも察せられるように、古くからのものであり、それを浅間神(あさまのかみ)と唱えての崇敬・信仰は、『三代実録』貞観(じょうがん)6年(864)5月の条に記された富士山の噴火のことなどにもみられるように厚いものであり、それを祀(まつ)る社(やしろ)が、その周辺に多くあったこともみられる。古代末期より全国各地に生じた修験(しゅげん)的信仰組織の発展は、当然ながら富士山にも波及し、行法(ぎょうほう)を伴う集団組織が中世末には結成され、祓詞(はらえごと)を唱え、また呪文(じゅもん)を誦(じゅ)しながら白衣(びゃくえ)をつけ、夏季に登頂して修法(しゅほう)したものとみられる。そのようななかで、長谷川角行(はせがわかくぎょう)が一行法(いちぎょうほう)を唱え、多くの信徒を得たが、1646年(正保3)富士山麓(さんろく)で他界、その門弟がそれを継承し、江戸中期には村上光清(こうせい)派、伊藤食行(じきぎょう)派などを生じたが、さらに発展して、それらより、明治以降の扶桑(ふそう)教、実行(じっこう)教などを成立させており、その信仰は現代に根強く継承されている。

[鎌田純一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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