海上港湾航空技術研究所(読み)カイジョウコウワンコウクウギジュツケンキュウジョ

デジタル大辞泉 「海上港湾航空技術研究所」の意味・読み・例文・類語

かいじょうこうわんこうくうぎじゅつ‐けんきゅうじょ〔カイジヤウカウワンカウクウギジユツケンキウジヨ〕【海上・港湾・航空技術研究所】

国土交通省所管の国立研究開発法人。平成28年(2016)、海上技術安全研究所港湾空港技術研究所電子航法研究所を統合して発足

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海上港湾航空技術研究所」の意味・わかりやすい解説

海上・港湾・航空技術研究所
かいじょうこうわんこうくうぎじゅつけんきゅうじょ

船舶海洋利用、海洋汚染の防止、港湾空港の整備、電子航法に関する研究・開発などを行う国土交通省所管の国立研究開発法人(独立行政法人)。英語名はNational Institute of Maritime, Port and Aviation Technology、略称はMPAT。「国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所法」(平成11年法律第208号)を根拠法とする。2016年(平成28)に、1916年(大正5)設置の逓信(ていしん)省管船局船用品検査所を母体とする独立行政法人海上技術安全研究所、1946年(昭和21)運輸省鉄道技術研究所として設立された独立行政法人港湾空港技術研究所、1961年設立の運輸技術研究所電子航法研究室を母体とする独立行政法人電子航法研究所の3法人を統合して設立。本部は東京都三鷹(みたか)市新川。海上・港湾・航空技術研究所は、引き続き海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所、電子航法研究所を運営して以下の研究・開発を行うほか、次世代海洋資源調査技術の確立首都圏空港の機能強化など、分野を横断した研究を推進することとしている。

 海上技術安全研究所(東京都三鷹市新川、略称NMRI)では、(1)海難事故発生原因の解明と防止技術や海上交通流のシミュレーション技術の確立など、海上輸送の安全の確保、(2)窒素酸化物(NOx)等の環境負荷低減技術研究や水素等を用いた舶用動力システム開発など、海洋環境の保全、(3)潮力・海流等の海洋再生可能エネルギー技術研究など、海洋の開発、(4)ICT(情報通信技術)を活用した運航支援技術、造船用ロボットによる生産性向上技術の研究など、海上輸送を支える基盤的技術開発、の四つの事業に取り組んでおり、400メートル曳航(えいこう)水槽や構造材料寿命評価研究施設、実海域再現水槽等の実験施設を有する。

 港湾空港技術研究所(神奈川県横須賀(よこすか)市長瀬、略称PARI)では、(1)津波災害、地震災害、高潮・高波災害など、沿岸域における災害の軽減復旧、(2)港湾や空港機能の強化など、産業と国民生活を支えるストックの形成、(3)耐波設計技術、船舶の係留システム、無人化施工技術など、海洋権益の保全と海洋の利活用、(4)沿岸生態系の保全や沿岸地形の形成・維持に関する研究開発など、沿岸環境の形成・活用、の四つを研究テーマとし、大規模波動地盤総合水路、波崎(はざき)海洋研究施設、三次元水中振動台等の実験施設を有する。

 電子航法研究所(東京都調布市深大寺(じんだいじ)東町、略称ENRI)では、(1)管制空域および飛行経路の管理手法に関する技術といった航空交通管理の高度化、(2)継続降下運航の運用拡大および高度な運航方式等を用いた空港運用の高度化、(3)機上情報を迅速に取得する等の監視性能向上などによる航空交通の最適化、(4)共通データ基盤の構築や、高速で安全な次世代航空通信技術の確立などによる関係者間の情報共有および通信の高度化、の四つを研究テーマとし、SSR(二次監視レーダー)モードS地上局、遠隔支援高度化実験棟などの実験施設と岩沼(いわぬま)分室(宮城県岩沼市下野郷(しものごう))をもつ。

[編集部 2017年6月20日]

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