福岡県中東部、田川郡にある町。1911年(明治44)町制施行。1942年(昭和17)彦山(ひこさん)村、1955年津野(つの)村と合併。英彦山(ひこさん)(1199メートル)に代表される山地が町域の大半を占め、彦山川、今(いま)川などの狭い谷底平野がある。JR日田(ひた)彦山線が南北に走り、南部に国道500号が通じる。主産業は農林業で、米麦のほか、シイタケ、クリ、ダイコン、ニンジンなどを産し、スギ、ヒノキ材の生産も多い。北部の庄(しょう)、大峰(おおみね)には明治中期以降炭鉱が開発されたが、現在はすべて閉山した。南部の山地は耶馬(やば)日田英彦山国定公園に指定され、修験道(しゅげんどう)の山として知られる英彦山には、国指定名勝旧亀石坊庭園(きゅうかめいしぼうていえん)、天然記念物の鬼スギ、重要文化財の英彦山神宮銅(かね)の鳥居、奉幣殿(ほうへいでん)など見どころが多く、観光客も多い。そのほか、町内に残る民家の中島家住宅と旧数山家住宅(きゅうすやまけじゅうたく)が国の重要文化財に指定されている。また、添田公園はサクラ、ツツジの名所。面積132.20平方キロメートル(境界一部未定)、人口8801(2020)。
[石黒正紀]
『金子七郎著『添田町誌』(1959・添田町)』
福岡県東部,田川郡の町。人口1万0909(2010)。南部は英彦(ひこ)山(1200m)をはじめとする山地で,英彦山から発する遠賀川支流の今川,彦山川,中元寺川が北流し,谷底平野をつくる。中心集落の添田は旧宿場町で,JR日田彦山線から添田線が分岐していたが85年廃止。明治中期以降,北部に炭鉱が開かれ,大峰など炭鉱町が発達したが,石炭産業の衰退により打撃を受けた。農業が主産業で,米,麦のほか野菜,果樹などの生産も多い。また人工林が多く杉,ヒノキ材を産する。耶馬日田英彦山国定公園内にある英彦山神宮は,修験道の霊場として有名。英彦山の鬼杉(天),旧亀石坊庭園(名)などがあり,竜門峡,深倉峡などは景勝地として知られる。
執筆者:松橋 公治
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