渡名喜島(読み)トナキジマ

デジタル大辞泉 「渡名喜島」の意味・読み・例文・類語

となき‐じま【渡名喜島】

沖縄県沖縄本島の西58キロメートル慶良間けらま諸島の北方にある島。島尻郡渡名喜村に属し1村1あざからなる。面積3.5平方キロメートル、周囲約12キロメートル、最高点は179メートル。北部に渡名喜さと遺跡がある。島内の集落すべてと里遺跡は、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

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日本歴史地名大系 「渡名喜島」の解説

渡名喜島
となきじま

那覇の西北西約五六キロに位置し、面積三・四六平方キロ。うー(一七九メートル)を最高点とする高島。北東部に開いた三日月形をし、南北約三・七キロ、東西約二・五キロ。西方海上約四キロに属島の入砂いりすな(出砂島とも)がある。島の北端に西森にしむいとよばれる丘があり、中央部―南西部には大岳を中心とする大起伏丘陵が連なる。この二つの山塊の間は砂礫が堆積してできた低地(トンボロ)で、集落が立地する。南側の山塊は渡名喜層とよばれる古生代中生代の石灰岩や砂岩・チャートなどで、北側の丘は第三紀の火成岩類で構成される。南側の山塊は傾斜角三〇―四〇度、南海岸は四〇度以上の急斜面をなしている。植生は地形・地質的条件に加え人為的干渉のため、リュウキュウマツ群落やススキ群落(代償植生)、リュウキュウチク群落(風衝植生)、ソテツ群落(乾燥性)が目立つ。南岸の急斜面にはハマヒサカキ群落がみられる。琉球列島では当島と久米島にのみ生育するカワラナデシコはかれんな野の花として知られ、生物地理学上貴重。

〔考古〕

渡名喜集落にあるひがし貝塚は前期の伊波式・荻堂式・室川式などの凸帯文土器、中期の宇座浜式土器、嘉徳I式・面縄東洞式・面縄前庭式などの奄美系土器が出土している。放射性炭素同位体法では紀元前三六二〇年±九五年である。貝塚時代前期―中期の長期間にわたって居住が続くとともに、奄美地方とも交流があったことを示している。貝塚時代後期の遺跡にはアーカルばる遺跡・西底原にしそこばる遺跡・アンジェーラ遺跡がある。渡名喜集落の南東方の海岸砂丘にあるアーカル原貝塚では、尖底土器とともに住居跡と伏臥伸展葬の埋葬人骨や頭骨が出土している。集落の北側砂丘上にある西底原遺跡は墓域を伴う集落跡で、貝塚と八体の埋葬人骨、後期末の甕形土器やグスク時代初頭の縦耳付の石鍋模倣土器が出土している。

グスク時代のさと貝塚は集落北方の丘陵上にある。この一帯は里殿さとどうんやノロ殿内どうんちとよばれる聖域があり、渡名喜集落の発祥地といわれている。グスク土器や一四―一五世紀の陶磁器、鉄滓・鉄鎌・鉄釘、掘建柱建物などが発掘されている。グスクは二つあり、スンジャグスクは集落の南東方の丘陵の中腹に丘頂部を取囲むように野面積み石垣が巡らされている。造営年代は不明。島の西海岸側にあるアマグスクも石積みが巡らされているが詳細は不明。

〔古琉球―近代〕

成化一二年(一四七六)九月一五日の符文(「歴代宝案」第一集巻二三)に、尚円王の使者として渡唐した杜那となきがみえるが、当島との関係は不明。

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改訂新版 世界大百科事典 「渡名喜島」の意味・わかりやすい解説

渡名喜島 (となきじま)

沖縄県の慶良間(けらま)列島の北西約20kmにある島。面積3.5km2。西方約4kmにある無人島の入砂(いりすな)島とともに島尻郡渡名喜村を形成する。人口452(2010)。島の北部に火成岩からなる西ノ森(146m)があり,南部には古生代の堆積岩,変成岩からなる大岳(うふたき)(179m)などの山地が多く,中央部のわずかな低地に集落がある。1905年にカツオ漁が始まり,第2次世界大戦前にはパラオ諸島サイパン島などへ漁業移民が進出,島の経済は海外からの送金によって支えられた。集落周辺の畑には,琉球王府時代に耕地を短冊形に区分した地割制のなごりがみられる。人口減少と高齢化が著しい。現在は半農半漁の島で,唯一の換金作物であるニンジンが栽培される。第2次世界大戦前や戦後に盛んであった養豚は近年減少している。漁業はカツオ漁が中心である。水道は海水の淡水化によって給水されている。那覇港との間に定期船が通じる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「渡名喜島」の意味・わかりやすい解説

渡名喜島
となきじま

沖縄諸島の一つで、沖縄本島の北西方58キロメートルの海上に位置する島。面積3.46平方キロメートル。沖縄県島尻(しまじり)郡渡名喜村に属し、1村1字(あざ)からなる。最高点は179メートルで、ドロマイト苦灰石)類を主とする山地をもつ高島。以前はカツオ漁が盛んであったが今日半農半漁であり、過疎化が進んでいる。1997年(平成9)県立自然公園に指定された。さらに島内の農村集落は、2000年重要伝統的建造物群保存地区に選定された。那覇泊(とまり)港より毎日定期船がある。人口434(2009)。

[目崎茂和]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「渡名喜島」の意味・わかりやすい解説

渡名喜島
となきじま

沖縄県沖縄島那覇市西方約 55kmの海上の島。東,西,南の 3集落があり,無人の入砂島(いりすなじま)とともに渡名喜村を構成する。南西諸島の内側火山島列に属する火山島。北と南の二つの島であったが,北側の西森(146m)と南側の義中岳(137m)の間が砂州によってつながっている。最高点は大岳の 179m。島のほぼ全域と周辺海域渡名喜県立自然公園に指定されている。那覇泊港との間にフェリーが就航。面積 3.46km2。人口 531(2005)。

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事典・日本の観光資源 「渡名喜島」の解説

渡名喜島

(沖縄県島尻郡渡名喜村)
美しい日本の歴史的風土100選 準100選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

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