山形県の西部,新潟県との県境にまたがる山地で,朝日連峰とも呼ばれる。朝日岳(1871m)のほか以東岳(1772m),寒江(かんこう)山(1695m),小朝日岳,平岩山,鳥原山,祝瓶(いわいがめ)山などの標高1400~1600mの山峰がほぼ南北方向の主脈と,それと斜交する支脈をつくりながら,全体として南北約30km,東西約20kmの朝日山地を構成している。この山地は,福島県北部から新潟県北部を含んで山形県のほぼ中央部まで広がる広大な磐梯朝日国立公園の主要地域の一つであり,その雄大な山容と深い渓谷などから,南隣する飯豊(いいで)山地(飯豊山)とともに東北アルプスの異名をもつ。慶長年間(1596-1615)山地内に米沢と庄内を結ぶ軍道が作られたと伝えられるが,登山で知られるようになったのは大正期以降で,1950年国立公園に指定されてから急速に開かれた。地質は古期の花コウ岩類からなり,地形学的には第三紀中新世またはそれ以前に形成された準平原がおそらく第四紀の初めごろ急激に隆起し,谷に深く刻まれた結果,現在みるような壮年山地になったものと考えられている。朝日岳を含む主稜線付近には,北西~南東方向に平行に走る4本の断層破砕帯が追跡され,これらによって山地はいくつかの短冊形小地塊に分かれる。そのうち,標高1200~1600mの高位小起伏面群をもつ朝日山地主部は,前記の準平原の遺物を残し,それより一段と高く突出する朝日岳は残丘と考えられる。また,標高600mほどのところに新鮮な河床礫(かしようれき)をのせるエック床(合流河間山稜面。河岸段丘の一種)があり,山地の隆起運動がごく最近まで続いていることを示す。主稜線が日本海をわたる冬の季節風と直角に走るため積雪が多く,雪渓,雪田が夏まで豊富に残る。大鳥川,寒河江(さがえ)川など水量の多い川が発源し,山形県の重要な水源をなしている。稜線付近には二重山稜,雪窪などの雪食地形や,各種の構造土などの周氷河地形がみられるほか,高山植物群落や山腹斜面のブナの原生林など貴重な自然景観がくりひろげられる。
執筆者:中村 嘉男
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山形県と新潟県の県境一帯を占める越後(えちご)山脈の北端に位置する花崗(かこう)岩類からなる隆起山地。朝日連峰ともよばれる。主峰大朝日岳(1871メートル)から以東(いとう)岳(1772メートル)に続く1600メートルを超える主稜線(しゅりょうせん)を中心に、南北60キロメートル、東西30キロメートルに及ぶ日本有数の豪雪山地である。山稜は冬季季節風による偏東積雪の影響で、東側が急斜面の非対称山稜となり、山腹は深い谷が形成されて険しい山容を呈し、東北のアルプスといわれて登山客も多い。豊富な高山植物群落や、ブナの原生林が残り、クマ、カモシカの生息も多い原始的自然景観が特徴で、磐梯朝日国立公園(ばんだいあさひこくりつこうえん)の一部。中世には朝日修験(しゅげん)の霊地であった。
[中川 重]
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