選挙における立候補の一形態で,政党の公認候補とならないこと。日本の国政選挙ではほとんどの候補者が政党の公認候補であり,無所属候補は若干名にすぎない。その内訳は,(1)まったく政党とつながりをもたない候補,(2)党員ではあるが,公認獲得競争でライバルに敗れた結果,無所属になった候補,(3)複数の政党の支持推薦を受けているため,中立的な立場として無所属を名のる候補,(4)政党とは異なる政治団体を支持母体としているため,無所属になった候補,である。政党と何らかのつながりをもっている場合には,○○党系無所属,あるいはより一般的に保守系無所属とか革新系無所属と呼ばれ,当選後に追加公認されて公認候補と変わらなくなることが多い。
地方選挙では無所属候補が多く,県知事選挙では3分の2程度,市町村議会議員選挙では90%近くが無所属である。その理由として,(1)候補者が地元利益の代表という性格を強くもつこと,(2)政党の地方組織が未発達なため,公認によって期待できる得票増が多くないこと,(3)革新自治体誕生の経緯,があげられる。1965年前後から約10年間,各地で革新首長の当選が相ついだが,これは革新統一,社共共闘,社公民共闘など革新系諸政党の選挙協力によるものが多い。そして,学者,官僚,自由業などの知識人を無所属の候補としてかつぎだし,広範な支持勢力を獲得するものであった。この背景には1955年以来の〈二大政党制〉が緩み,多党化現象が進行したこと,有権者の脱政党化が大都市を中心に進んだこと,そして,高度経済成長による都市問題の発生などがある。革新首長たちは,革新諸政党の支持をうけて,無所属を名のり,脱政党層にアピールする〈都民党〉のスローガンや〈一万人集会〉の開催など地域の住民参加を呼びかける新しい選挙戦を展開していった。高度成長にかげりがみえ,また,保守系候補も〈政党隠し〉の無所属で立候補するようになると,革新自治体の数は減少していった。
執筆者:川人 貞史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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