無間の鐘(読み)ムケンノカネ

大辞林 第三版の解説

むげんのかね【無間の鐘】

遠江とおとうみ国(現在の静岡県)佐夜さやの中山にあった観音寺の鐘。これをつけばこの世では金持ちになれるが、来世では無間地獄に落ちるという。
手水鉢ちようずばちになぞらえて打つ歌舞伎の所作事。 「広間の手水鉢で-をつかふかとはしごをあわてゝかけおりるとたんへ/安愚楽鍋 魯文

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

無間の鐘
むけんのかね

長唄(ながうた)。本名題(ほんなだい)『傾城(けいせい)無間の鐘』。1731年(享保16)2月、江戸・中村座初演の『傾城福引名護屋(ふくびきなごや)』のうち、初世瀬川菊之丞(きくのじょう)(ふん)する傾城葛城(かつらぎ)が愛人の名古屋山三(さんざ)のための金の調達に悩み、手水鉢(ちょうずばち)を無間の鐘になぞらえて打つ所作の場面に使われた曲。村瀬源一郎作詞、杵屋(きねや)太十郎作曲と伝えられ、現存のめりやす最古の曲といわれる。静岡県掛川(かけがわ)市東山の観泉寺にあった無間の鐘の故事(この鐘をつくと来世では無間地獄に落ちるが、この世では富豪になる)は、歌舞伎(かぶき)舞踊にも数多く脚色されているが、その基準にもなった曲である。なお、浄瑠璃義太夫(じょうるりぎだゆう)節『ひらかな盛衰記(せいすいき)』の四段目「神崎揚屋(かんざきあげや)」も、ヒロイン梅ヶ枝(うめがえ)が愛人梶原(かじわら)源太のために手水鉢を無間の鐘になぞらえて打つところが眼目なので、通称を「無間の鐘」とよぶことがある。[松井俊諭]

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世界大百科事典内の無間の鐘の言及

【瀬川菊之丞】より

…1712年(正徳2)瀬川菊之丞を名のり初舞台。28年(享保13)2月京の市山座《けいせい満蔵鑑(まくらかがみ)》の《無間(むけん)の鐘》で大当りをとり,30年初めて江戸へ下った。44年(延享1)に極上上吉に位付され三都随一の女方と立てられた。…

※「無間の鐘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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