(読み)ヘン

デジタル大辞泉 「片」の意味・読み・例文・類語

へん【片】[漢字項目]

[音]ヘン(呉)(漢) [訓]かた ひら ペンス
学習漢字]6年
〈ヘン〉
二つのうちの一方。「片務片麻痺へんまひ
薄く小さな切れ端。「片雲花片砕片紙片切片雪片断片肉片破片薄片木片
わずか。少し。「片時片言隻句
〈かた〉「片側片言かたこと片隅片方

かた【片】

[名]一対のもの、二つで一組のものの一方。片方。片一方。「や横綱、や平幕の対戦」
[語素]名詞または動詞の上に付いて、複合語をつくる。
一対となるものの一方、一方だけ、の意を表す。「親」「面」「思い」
不完全な、整っていない、の意を表す。「こと」「仮名」
かたよる、一方に偏した、の意を表す。「田舎」「意地」
わずかな、少ない、の意を表す。「とき」「手間」
しきりに、ひたすら、の意を表す。
「鶯は今は鳴かむと―待てば霞たなびき月は経につつ」〈・四〇三〇〉

へん【片】

[接尾]助数詞。物の切れはし、花びらなどを数えるのに用いる。上に来る語によっては「ぺん」となる。「二、三の花びら」
[類語]欠けら破片小片一片断片片端切れ端端くれ端物瓦礫

びら【片/枚】

広告・宣伝のために、人目につく所に掲げるはり紙。ポスター
広告・宣伝のために人に配る紙片。ちらし。「―をまく」
[類語]散らしパンフレットリーフレットブローシャー小冊子ポスター折り込み折り込み広告中吊り

ひら【片/枚】

《「ひら」と同語源》
[名]紙・葉・花弁など、薄くて平らなもの。
「白き赤きなど掲焉けちえんなる―は」〈・梅枝〉
[接尾]助数詞。薄くて平らなものを数えるのに用いる。「一―のバラの花弁」

ぺん【片】

[接尾]へん(片)」に同じ。「一の雲」

ペンス(pence)

ペニーの複数形。
[補説]「片」とも書く。

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精選版 日本国語大辞典 「片」の意味・読み・例文・類語

かた【片】

  1. 〘 造語要素 〙 名詞や動詞の上に付いて、片方の、かたよった、などの意を表わす。
  2. 名詞の上に付いて、一対のものの一方、一組になっているものの一部の意を表わす。「片恋」「片手」「片われ」
  3. 名詞の上に付いて、不完全な、整っていない、少しの、などの意を表わす。「片山」「片岡」「片時」「片生(かたおい)
  4. 名詞の上に付いて、一方に偏した、かたよった、の意を表わす。「片田舎」「片淵」
  5. 主として動詞の上に付いて、しきりに、ひたすら、の意を表わす。「片待つ」
    1. [初出の実例]「朝妻(あさづま)の 避介(ひか)小坂を 介多(カタ)泣きに 道行く者も 偶(たぐ)ひてぞ良き」(出典日本書紀(720)仁徳二二年正月・歌謡)

びら【片・枚】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 宣伝のための文章や絵などを書いて掲示したり、配布したりする紙片。本来、演劇や演芸の宣伝のために、湯屋や飲食店など人目の多いところに張り出したものをいった。びら紙。
    1. [初出の実例]「牌(ビラ)は風に翻て見物を招けば、人は壺屋の暖簾に似て涌くが如し」(出典:滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)上)
  3. 江戸時代、演劇関係の名びろめなどの引出物や進物の目録を客へ送るために書いた紙片をいう。〔随筆・皇都午睡(1850)〕
  4. 江戸の劇場で、観客席の配置図の呼称。〔戯場訓蒙図彙(1803)〕

片の補助注記

大正時代、社会運動の中で英語の bill と混淆し、外来語意識をもって用いられた。以来今日でも、和語・外来語の別の判然としない場合が多い。


ひら【片・枚】

  1. [ 1 ] ( 「ひら(平)」と同語源 ) 薄くて平らな形状を持つものをいう。紙、葉など。現代では「花びら」などと熟合して使われるほか、独立して用いられることは少ない。
    1. [初出の実例]「白き赤きなど掲焉(けちえん)なるひらは、筆取りなほし用意し給へるさまさへ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)梅枝)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 薄くて幅広く、平らな物を数えるのに用いる。
    1. [初出の実例]「羆(しくま)の皮七十枚(ななそヒラ)を献る」(出典:日本書紀(720)斉明四年是歳(北野本訓))

へん【片】

  1. 〘 接尾語 〙 ( 「ぺん」とも ) 物の切れはし、かけら、花びらなどを数えるのに用いる。
    1. [初出の実例]「片白絹 一片ノ白絹也」(出典:忠義水滸伝解(1755)二五回)

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普及版 字通 「片」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] ヘン
[字訓] かた・きれ・ひら

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 象形
城壁などを築くときの、版築に用いるあて木の形。片を両辺に立て、中に土を盛り、これを擣(つ)き堅めて土壁とする。その方法を版築という。〔説文〕七上に「木なり。木に從ふ」とあり、自然木の枝のついたままのものを両半したものと解するが、片の旁出するものはあて木として立てるためのもので、これを平面におけば牀となる。片方の意よりして、ものの一偏をいい、少・一部分の意となる。片雲・雪片・花片のように形あるもののほか、片言・片志のように形のないものにもいう。

[訓義]
1. 版築の一方の木、かたかた、かた、一方。
2. きれ、木のきれ、衣のきれ、土くれ、かけら、きれはし、はんぱ。
3. ひら、軽く小さなもの、はなびら。
4. かたよる、さく、わける。

[古辞書の訓]
名義抄〕片 カタハシ・ハシ・カタハラ・カタツカタ・カタオモテ 〔字鏡集〕片 カタオモテ・シリソク・カタハラ・ハシアハス・カタハシ・サク・カタカタ・カタ・ヲフ・カタヘ・ハシ・サス

[部首]
〔説文〕に版・牘・牒・など七字を属し、〔玉〕に・牋・などを加えて三十八字を属する。簡牘には薄片のものを用いた。(ぎよう)は業に従い、業は上に鑿歯(さくし)のある長い木で、これを両手で持ち、うち堅める。その撲つことを(ほく)という。のような字形があることは、片が版築に用いるものであることを証するものといえよう。

[語系]
片phianは(判)phuanと声近く、ともに判かつ意があり、(半)puan、(分)piun、また辨(弁)bian、別biatと同系の語である。その一方を(偏)phyenという。

[熟語]
片雨・片雲・片影・片簡・片・片許・片金・片頃・片芸・片月・片言・片語・片刻・片紙・片時・片辞・片霎・片席・片善・片段・片楮・片土・片帆・片片
[下接語]
阿片・片・一片・花片・玉片・結片・香片・砕片・残片・紙片・数片・雪片・霜片・断片・楮片・破片・薄片・飛片・氷片・名片・木片・裂片

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