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特発性ネフローゼ症候群 とくはつせいねふろーぜしょうこうぐんIdiopathic Nephrotic Syndrome

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とくはつせいねふろーぜしょうこうぐん【特発性ネフローゼ症候群 Idiopathic Nephrotic Syndrome】

[どんな病気か]
 ネフローゼ症候群とは、病気自体の名前ではなく、尿中にたんぱくが多量に出て、それによって血液中のたんぱく質(とくにアルブミン)が減り、からだに浮腫(ふしゅ)(むくみ)が現われたり、血液中の脂質(コレステロールなど)が増えている症状の総称です。特発性ネフローゼ症候群には、膜性腎症(まくせいじんしょう)をはじめいろいろな腎炎(じんえん)による続発性ネフローゼ症候群と、病気の本体が不明で、かつ腎組織に特別な変化がない、あるいはあってもごくわずかの変化しかみられない微少変化型(びしょうへんかがた)ネフローゼ症候群があります。特発性とは本来、原因不明の意味であるため、ここでは微少変化型ネフローゼ症候群について解説することにします。
 微少変化型は、小児のネフローゼ症候群のなかではもっとも多くみられ、突然に大量のたんぱく尿が出て発症する病気です。また、臨床的には、ステロイド副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬)を用いた治療がきわめて有効ですが、再発しやすいことが特徴となっています。
[症状]
 好発年齢は2~6歳で、男の子に多く発症します。症状は、なんとなく元気がなく、まぶたや顔全体が腫(は)れぼったくなるといった浮腫(むくみ)で気づくことから始まります。むくみがだんだん強くなると、顔面だけでなく、手足、体幹、男の子の場合は陰嚢(いんのう)にもおよび、おなかや胸にまで水がたまります(腹水(ふくすい)と胸水(きょうすい))。
 腹水や胸水がたまることにより食欲不振、嘔吐(おうと)、下痢(げり)などの消化器症状が現われ、多呼吸や呼吸困難といった呼吸器症状も現われます。また体重が短期間に急増したり、尿の出が悪くなることもあります。尿検査で大量のたんぱく尿がみられたら、入院となります。
[検査と診断]
 発病時、むくみがあるときは尿量も減少しています(乏尿(ぼうにょう))。たんぱく尿はもっとも重要で、強いたんぱく尿がみられ、1日の尿中へのたんぱくの喪失が10~15gにおよぶことさえあります。
 尿中のたんぱくの多くは、微少変化型ネフローゼ症候群では、たんぱくの大きさ(分子量)が比較的小さいアルブミンが尿中に出ます。これは、尿中たんぱくの選択性がよいということで、腎炎などによるネフローゼ症候群では、もっと分子量の大きいたんぱくが尿中に現われてくるため、尿中たんぱくの選択性は悪くなります。
 高度なたんぱく尿が続くために、血液中のたんぱく、おもにアルブミンの値が低下してきます。それと同時に、血液中の脂質(コレステロールなど)の数値が上昇してきます。
 そのほかの検査異常としては、血液が固まりやすくなるといったことがあげられます。
[治療]
 むくみや乏尿があるときは、原則として入院し、安静を保ちます。むくみがなくなり、尿が出るようになったならば、安静を強要せず、適度の運動を許可します。
 食事は、血液中のたんぱくが低いからといって、大量のたんぱく質を摂取することはせず、通常の量をとります。ただし、乏尿やむくみが強い急性期は、水分や塩分を制限します。
 血液中のたんぱくが極端に低いため、むくみがひどく、乏尿が続く場合には、人の血液からつくったたんぱくであるアルブミンの点滴静注をしたり、利尿薬を用いたりすることもあります。
 微少変化型ネフローゼ症候群の治療の基本は、ステロイドの使用です。治療を開始すると、80~90%の人は2~3週間で尿中のたんぱくが減り、病気はよくなっていきます。微少変化型の場合は、これによって尿がまったく基準範囲になるのがふつうです。
 検尿所見がよくなったら、ステロイドの用量を減らしていきますが、その減らし方は医師の考え方によっていろいろで、どの方法がよいということは決まっていません。
 ステロイド薬としては、一般にプレドニンを使うことが多く、最初は体表面積に対して1m2あたり60mgと大量に使います。
 従来、この初期量を4週間連日使用したのち、1m2あたり40mgに減量し、4日休薬して3日連日使用を4週間くり返し、全体で8週で終了する方法が行なわれてきました。しかし最近、この方法では再発が多いこと、そして再発をくり返すことによって使用するステロイドの総量が多くなることから、尿が基準範囲になったら、すみやかに使用量を減らしたのち、さらにゆっくりと減らしながら、最終的には半年後にやめるといった方法がとられることが多いようです。
 再発は、ネフローゼ症候群の70~80%の人に、一度はおこります。
 また、最初の3年間くらいは再発の頻度が高く、その後は、再発の間隔があいてきて、7年をすぎると、再発の割合はぐっと少なくなります。
 このように、ネフローゼ症候群の治療には長い期間がかかりますが、微少変化型ネフローゼ症候群の予後はきわめてよいものです。
 治療にあたっての注意すべき点は、ステロイドの副作用です。肥満になったり、身長の伸びが悪くなったり、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)(「骨粗鬆症」)が現われたりするので、できるだけ再発をおこさずに、ステロイドの総量が少なくてすむ治療法が工夫されつつあります。

出典|小学館
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