玉祖神社(読み)タマノオヤジンジャ

デジタル大辞泉 「玉祖神社」の意味・読み・例文・類語

たまのおや‐じんじゃ【玉祖神社】

山口県防府市にある神社。祭神玉祖命ほか一座。周防すおう一の宮。玉祖大明神。俗称、たまっさま。

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精選版 日本国語大辞典 「玉祖神社」の意味・読み・例文・類語

たまのおや‐じんじゃ【玉祖神社】

  1. 山口県防府(ほうふ)市大崎にある神社。旧国幣中社。祭神は玉祖命ほか。玉祖命は天孫降臨に供をした五伴緒命(いつとものおのみこと)の一柱で、この地でなくなり玉岩窟に葬られたと伝える。周防国一の宮。たまっさま。

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日本歴史地名大系 「玉祖神社」の解説

玉祖神社
たまのやじんじや

[現在地名]防府市大字大崎

佐波さば川の右岸河口にあまり遠くない沖積平野に鎮座する。祭神は玉祖命。かつての周防一宮で旧国幣中社。

古代、佐波川河口右岸の地に定住していた玉作部の祖神を祀るといわれ、「和名抄」にも玉祖郷が記される。天平一〇年(七三八)の周防国正税帳(正倉院文書)に「以神命、給禰(宜)玉作部五百背弐伯束」とあり、玉作部の姿がうかがえるが、同帳では「玉祖神税参仟捌伯参拾肆束」が神社に寄進されており、天平八年から一〇年までの三年間神命をもって社領の田租「参拾玖斛弐斗捌升」が免除されたことを記している。

「延喜式」神名帳には佐波郡六座の最初に「玉オヤノ神社二座」とあり、二柱の神を祀っていたことがわかるが、他の一柱は伊弉諾男命といわれる。

時期は不明であるが、諸国大社を社格によって一宮・二宮とよぶようになると、周防一宮は玉祖神社とされ、国司をはじめ地方豪族の信仰を集めた。


玉祖神社
たまおやじんじや

[現在地名]八尾市神立

水越みずこしを通る東高野街道に面して大鳥居が建ち、そこから東へ神立こうだちの集落を登っていくと石段があり、それを登り詰めた高安山麓に社殿がある。現祭神は主神が玉祖命(櫛明玉命・天明玉命ともいう)、ほかに一八神を合祀。旧郷社。高安明神ともよばれる。「延喜式」神名帳に高安郡の小社として「タマノ オヤノ神社」と所見。社名は、記紀神話の天孫降臨条に五伴緒の一人として従った玉作の上祖玉屋命(日本書紀。「古事記」では玉祖命)と深い関係がある。すなわち、玉造にちなんだ神名であり、現に当社から西に下った所にある千塚ちづか集落の西側から玉類の半製品や原石が採集されており、この地域に玉造集団のいたことを推測させる。「新撰姓氏録」(河内国神別天神)に「玉祖宿禰 同神(天高御魂乃命)十三世孫建荒木命之後也」とあり、天武天皇一三年(六八四)一二月二日に玉祖連が宿禰の姓を賜っている(日本書紀)ことからすれば、当社の奉祭氏族を玉祖連と考えることができよう。また当地辺りは古代の玉祖たまのおや(和名抄)とされ、社名・神名と共通している。

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改訂新版 世界大百科事典 「玉祖神社」の意味・わかりやすい解説

玉祖神社 (たまのやじんじゃ)

山口県防府市に鎮座。玉祖(たまのおや)命のほか一柱(不詳)をまつる。他の一柱は石凝姥(いしこりどめ)命という説もある。《延喜式》神名帳には玉祖神社二座とある。周防国一宮で,《今昔物語集》に〈玉祖大明神〉と見えている。867年(貞観9)従三位,964年(康保1)従一位が授けられた。社伝によれば,玉祖命は天孫降臨に従った五伴緒のうちの一神で,のちこの地で亡くなったので社殿を建て奉斎したという。当社より北方約500mの御祖に玉の岩屋があり,その墳墓と伝えられている。例祭は9月25日。前日は占手神事がある。4月10日には玉の祭(眼鏡祭)が行われ,全国各地より多数の参拝がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「玉祖神社」の意味・わかりやすい解説

玉祖神社
たまのおやじんじゃ

山口県防府(ほうふ)市大字大崎に鎮座。玉祖命(たまのおやのみこと)と他一座を祀(まつ)る。延喜(えんぎ)式内社で、周防(すおう)国(山口県南東部)一宮(いちのみや)である。社伝によれば、この神は天孫降臨に際して供奉(ぐぶ)した五伴緒神(いつとものおのかみ)の一柱であり、のちに佐波(さなみ)郡大崎(現社地)において神避(さ)りしにより、社殿を建てて奉斎したという。『今昔物語』には、「一宮玉祖明神」と当社のことがみえ、平安時代には周防国の代表的神社であったことがわかる。江戸時代には藩主毛利氏の厚い崇敬を受け、1871年(明治4)国幣小社に、1915年(大正4)同中社に昇格した。例祭日は9月25日。例祭日前夜に行われる相撲(すもう)による占手(うらての)神事が知られる。社宝には重源(ちょうげん)の建久(けんきゅう)6年(1195)重建目録、大内弘幸(ひろゆき)の建武(けんむ)2年(1335)重建目録(いずれも国の重要文化財)、源義経(よしつね)奉納の太刀(たち)などがある。

[阪本是丸]


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防府市歴史用語集 「玉祖神社」の解説

玉祖神社

 周防[すおう]国で一番格式の高い神社(一宮[いちのみや])です。重源[ちょうげん]や毛利秀就[もうりひでなり]によって再建されながら、今も残る神社です。いつ建てられたかはわかりませんが、奈良時代にはあったようです。勾玉[まがたま]や管玉[くだたま]をつくる人々(玉造連[たまつくりのむらじ])の祖先の玉祖命[たまのおやのみこと]をまつっています。 また、仲哀[ちゅうあいてんのう]天皇の頃にはじまったとされる占手神事[うらてのしんじ]が行われるのもこの神社です。

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デジタル大辞泉プラス 「玉祖神社」の解説

玉祖(たまのおや)神社

山口県防府市にある神社。延喜式内社。祭神は玉祖命(たまのおやのみこと)。周防国一之宮。玉祖命が三種の神器のひとつ八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を作ったという神話から、宝石・眼鏡・時計・カメラなどの関係者から信仰を集める。地元では「たまっさま」とも呼ばれる。

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百科事典マイペディア 「玉祖神社」の意味・わかりやすい解説

玉祖神社【たまのやじんじゃ】

山口県防府市大崎に鎮座。旧国幣中社。玉祖命ほか一柱をまつる。延喜式内社とされ,周防(すおう)国の一宮。例祭のほかに玉の祭,卜手(うらての)神事などが行われる。宝石・眼鏡の守り神として信仰される。

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世界大百科事典(旧版)内の玉祖神社の言及

【周防国】より

…738年(天平10)の〈周防国正税帳〉によると,正税198万9200束余,《和名抄》の田積7834町3反269歩。国分寺は国府の西北方に現存し,惣社金切社(佐波神社)は府域西北隅に接して,一宮の玉祖(たまのや)神社は佐波川下流右岸に鎮座する。 山陽官道が内海寄りを縦走し,安芸国から石国(いわくに),野口,周防,生屋(いくのや),平野,勝間,八千(やち),賀宝(かほ)の各駅家を結んで長門国に入った。…

※「玉祖神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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