田村栄太郎(読み)タムラ エイタロウ

20世紀日本人名事典 「田村栄太郎」の解説

田村 栄太郎
タムラ エイタロウ

昭和期の日本史家



生年
明治26(1893)年9月25日

没年
昭和44(1969)年11月29日

出生地
群馬県西群馬郡高崎町(現・高崎市)

学歴〔年〕
高崎商卒

経歴
家業の人力車宿を経営、明治末から地元の農民運動参加、大正12年群馬共産党事件で検挙され、禁固刑で入獄。14年出獄し「沼田領農民運動史資料」を発表、磔茂左衛門を紹介した。昭和4年家業を捨てて上京、「都新聞」の「大波小波」に書評、学界時評などを書きながら農民運動史を研究した。以後、一貫して在野に身を置く。天皇制批判と民衆史重視の立場から農民一揆史、交通史、生活風俗史などの研究を進め、また唯物論研究会に入ったり、個人誌「日本の風俗」(13〜15年)を発行。戦後は民科歴史部会、地方史研究協議会、歴史教育者協議会などにも参加、実地調査に活躍した。著書は「日本農民一揆録」「日本風俗史」「近世日本交通史」「板倉伊賀守」「川路聖護」「日本工業文化史」「戦争を覘く」「渡辺崋山の人と思想」「裏返し忠臣蔵」「やくざ考」「妖婦列伝」など多種多様で、「田村栄太郎著作集」(全7巻 雄山閣)が刊行されている。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「田村栄太郎」の意味・わかりやすい解説

田村栄太郎
たむらえいたろう
(1893―1969)

近代の民間史家。群馬県高崎の人力車宿の子として生まれる。高崎商業を卒業、社会運動に参加。30歳を過ぎてから家業を捨てて上京、以後在野の研究生活に徹した。研究は農民一揆(いっき)、交通、風俗、工業、人物史にわたり、時代も幅広いが、主として江戸時代の古文書解釈を基礎にする著作で大きな業績を残した。歴史の本体は民衆であるという立場と生活・生産を営む郷土の歴史の集積が日本史であるという立場から歴史を理解し、日本史のなかの不平等と平等の問題に終生焦点をあてた。著書『日本農民一揆録』『一揆・雲助博徒』『日本工業文化史』『近世日本交通史』『やくざの生活』『日本風俗史』『世直し』など。

深谷克己

『歴史科学協議会編『現代歴史学の青春』(1980・三省堂)』『永原慶二・鹿野政直編『日本の歴史家』(1976・日本評論社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田村栄太郎」の意味・わかりやすい解説

田村栄太郎
たむらえいたろう

[生]1893.9.25. 高崎
[没]1969.11.29. 東京
在野の日本史家。高崎商業出身。関東大震災以後,農民運動,技術史,風俗史などの実証的研究に従い,第2次世界大戦後は民主主義科学者協会そのほかで活躍。著書に『日本農民一揆録』 (1930) ,『一揆・雲助・博徒』 (33) ,『近世日本交通史』 (35) ,『日本工業文化史』 (43) ,『近代日本農民運動史論』 (48) などがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「田村栄太郎」の解説

田村栄太郎 たむら-えいたろう

1893-1969 昭和時代の歴史家。
明治26年9月25日生まれ。家業の人力車宿をいとなむかたわら農民運動に参加。群馬共産党事件で禁固刑をうける。昭和4年上京して民衆史などの研究,著述につとめた。昭和44年11月29日死去。76歳。群馬県出身。高崎商業卒。著作に「日本農民一揆(いっき)録」「日本風俗史」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「田村栄太郎」の解説

田村 栄太郎 (たむら えいたろう)

生年月日:1893年9月25日
昭和時代の日本史家
1969年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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