田畑永代売買禁止令(でんぱたえいたいばいばいきんしれい)(読み)でんぱたえいたいばいばいきんしれい

  • 田畑永代売買禁止令

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

1643年(寛永20)江戸幕府が発した、田畑の売買を禁止する法令。この法令は、1641年の大凶作で貧窮化した農民が田畑を売り払って没落・流民化していく飢饉(ききん)の現実に直面した幕府が、小農民経営を維持し、農民層の階層分化が進むことを防止する目的で出したものである。

 禁令を破った場合の罰則は厳しく、売り主は牢舎(ろうしゃ)のうえ追放され、買い主も過怠(かたい)牢(牢は一般的には未決囚の拘禁施設であるが、この場合は刑罰としての入牢)のうえ、買った田畑を没収された。しかし農民が田畑を売り払う主要な原因は重い年貢を支払うためであり、禁令を承知で売買を行う農民も少なくなかった。また幕府も、年貢支払いのため農民が田畑の質入れをすることは認めざるをえなかったため、質入れした耕地が質流れによって移動し、事実上田畑の売買が行われるのを阻止することは、ついにできなかった。

 享保(きょうほう)期(1716~36)の幕府地方(じかた)役人田中丘隅(きゅうぐ)は、田畑永代売買禁止令を現実にそぐわないものとして批判し、1744年(延享1)には、当時寺社奉行(じしゃぶぎょう)であった大岡忠相(ただすけ)らも廃止したらどうかと上申している。しかし、それにもかかわらず、この法令は江戸時代を通じて御触書(おふれがき)や五人組帳前書で繰り返され、諸藩においても同様の禁令が発布されたところが多く、農民支配の一大原則として、幕藩領主によって強固に守られてきた。廃止されたのは1872年(明治5)である。

[曽根ひろみ]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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