甲州(市)(読み)こうしゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「甲州(市)」の意味・わかりやすい解説

甲州(市)
こうしゅう

山梨県北東部にある市。2005年(平成17)、塩山市(えんざんし)、東山梨郡勝沼町(かつぬまちょう)、大和村(やまとむら)が合併して成立。北は埼玉県秩父(ちちぶ)市、東は北都留(きたつる)郡丹波山(たばやま)村、小菅(こすげ)村、南東は大月(おおつき)市、南西は笛吹(ふえふき)市、西は山梨市に接する。北、東の境界に笠取(かさとり)山、大菩薩嶺(だいぼさつれい)など秩父多摩甲斐(ちちぶたまかい)国立公園に属する高山が連なる。市域の大半は山地、丘陵地で、南西部は甲府盆地の北東部にあたる。甲州街道の宿場町であった勝沼、青梅(おうめ)街道(甲州脇往還)に通じる要所であった塩山市街が中心地域。南部をJR中央本線、国道20号、411号が通り、中央自動車道勝沼インターチェンジがある。

 1582年(天正10)武田勝頼(かつより)は織田・徳川連合軍と旧大和村域における激戦に敗れ、武田家は滅亡した。大和町(やまとちょう)田野(たの)の景徳院(けいとくいん)に勝頼の墓がある。勝沼は国中と郡内方面の境にあたる交通の要衝で、武田氏の親族衆である勝沼氏が拠った勝沼氏館跡(国指定史跡)がある。旧塩山市では第二次世界大戦前、周辺養蚕地帯の中心地として繭取引市場が開かれ、集荷範囲は秩父にまで及んだ。大戦後は果樹の栽培が急激に増加した。名所・観光地には武田氏ゆかりの恵林寺(えりんじ)、天目(てんもく)山棲雲寺(せいうんじ)、塩山温泉、嵯峨塩(さがしお)温泉、田野温泉、初鹿野(はじかの)温泉などがある。現在モモブドウなどの果樹栽培が主で、ぶどう酒の醸造も行われている。塩山は大菩薩嶺、大菩薩峠などへの登山の玄関口ともなっている。面積264.11平方キロメートル、人口2万9237(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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