江戸幕府番方の職制。1605年(慶長10)もしくは06年の創置。はじめ白書院紅葉間に勤番したところから,その名を得た。43年(寛永20)以後は,虎之間に勤番することになった。五番方の一つで,小性組番と併称して両番という。定数は10組(ときに増加あり)で,各組に番頭1人(若年寄支配,役高4000石,役料なし,在番中は禄高の半額支給,諸大夫,菊之間詰),組頭1人(若年寄支配,役高1000石,布衣,菊之間南御襖際),組衆50人(頭支配,役高300俵,御目見以上,虎之間詰),与力10騎(役高現米80石,御目見以下,上下役,御抱場),同心20人(役高30俵二人扶持,御目見以下,御抱場)が属した。1866年(慶応2)廃止となり,番頭・組頭は勤仕並寄合,組衆のうち壮年の者は奥詰銃隊,そのほかの者は勤仕並小普請に編入された。平時は虎之間に勤番し,また玄関前中雀門および上埋門などの諸門を警衛した。そのほか諸儀式の世話役を務め,将軍出行の際は供奉し,市中の巡回にあたった。また1639年以後は,大番にかわって毎年1組ずつ駿府城に在番したが,1790年(寛政2)に廃止された。戦時は将軍の旗本に備えた。
執筆者:北原 章男
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江戸幕府番方(ばんがた)の職名。創置は1605年(慶長10)もしくは翌06年の両説がある。初め白(しろ)書院紅葉之間(もみじのま)に勤番したところから、その名を得た。五番方の一つで、小姓(こしょう)組番と併称して両番という。定数は10組(ときに増加あり)。各組に番頭(ばんがしら)1人(若年寄(わかどしより)支配、役高4000石、役料なし、駿府(すんぷ)在番中は禄高の半額支給、諸大夫(しょだいぶ)、菊之間詰(きくのまづめ))、組頭1人(若年寄支配、役高1000石、布衣(ほい)、菊之間南御襖際(おふすまぎわ))、組衆50人(頭支配、役高300俵、御目見(おめみえ)以上、虎之間詰)、与力10騎(役高現米80石、御目見以下、上下(かみしも)役、御抱場(おかかえば))、同心20人(役高30俵二人扶持(ぶち)、御目見以下、御抱場)があった。1866年(慶応2)廃止。番頭、組頭は勤仕並寄合(よりあい)、組衆は奥詰銃隊あるいは勤仕並小普請(こぶしん)に編入された。平時は殿中虎之間に勤番し(1643年以後)、また玄関前中雀(ちゅうじゃく)門および上埋門などの諸門を警衛した。そのほか諸儀式の世話役を勤め、将軍出行の供奉(ぐぶ)に任じ、市中の巡回などにもあたった。また1639年(寛永16)以後は、毎年1組が駿府城に在番した(それまでは大番が在番)。しかし、これは1790年(寛政2)に廃止された。戦時は、他の番方などとともに将軍の旗本に備えた。
[北原章男]
江戸幕府の五番方の一つ。小姓組と合わせ両番と称された。慶長期から設けられ,はじめ江戸城本丸御殿の白書院の前,紅葉之間に勤番したことから,この呼称となった。組数は1632年(寛永9)8組,翌年10組,その後も世嗣つきの書院番(西丸書院番)がおかれるなど,増減があった。各組は,4000石高の番頭1人,その下に1000石高の組頭1人を含む番士50人(300俵高),これに与力10騎と同心20人が付属した。戦時には将軍の旗本を守備,平時には江戸城本丸御殿虎之間に勤番した。付属の与力・同心は玄関前の中雀門と上埋門の警備にあたった。39年以降,1組が1年交代で駿府城に在番。このほか将軍の外出に従ったり,使者として遠国へ出張することもあった。
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…最初の寛永の巡見使は,大御所徳川秀忠が死去し3代将軍家光が名実ともに政権を掌握したのを機に,また寛文の巡見使は4代家綱の政権の確立期に,それぞれ派遣されたが,5代綱吉の天和の巡見使以降,代替り直後に派遣されるようになった。 巡見使は原則として全国に派遣されたが,寛永の場合は6ブロックに3人ずつ(万石以上,使番,両番(書院番と小性組)により構成),寛文の場合は〈陸方衆〉として6ブロック(ただし1664年派遣の関東を除く)に3人ずつ(使番,書院番,小性組により構成),〈海辺衆〉として2ブロックに2人ずつ(船手等により構成),天和と宝永の場合は8ブロックに3人ずつ(使番1人,両番2人により構成)の編成で,御料(幕領と天領)・私領の区別はなかった。ところが宝永の巡見使のもたらした報告により全国の施政・民情の実態を知った幕府は,とくに直轄領の監察強化を企図し,1712年から翌年にかけて,全国の幕領を14のブロックに分け,各3人ずつ(勘定,支配勘定,徒目付(かちめつけ)により構成)の〈国々御料所村々〉巡見使を派遣した。…
※「書院番」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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