直腸炎は炎症性の腸疾患(小腸、大腸の炎症)のひとつであり、最も症状が出やすく、また適切な検査を行えば最も診断がしやすい病気でもあります。主に下痢、血便、炎症性腸疾患の一部として腹痛を伴うこともあります。
特発性(原因がわかっていないもの)としては
症状は主に下痢、粘血便であり、時に体重の減少、食欲不振、貧血などの全身症状を伴うことがあります。クローン病や潰瘍性大腸炎では、症状の強さは病気の重症度と相関関係があります。
下痢、粘血便がみられた場合は、直腸鏡や、さらに精密な大腸の検査が必要になりますが、直腸に関してはS状
軽症~重症例いずれも、多くは保存的(手術を行わず)に治療されます。主な治療法は、抗炎症薬(副腎皮質ホルモン薬、サラゾピリン、ペンタサ、レミケードなど)、対症療法(止痢薬、ロペミン)、補充療法(鉄剤、ビタミンB12、
潰瘍性大腸炎の約80%では保存的治療が行われます。クローン病の約半数以上では何らかの手術療法が必要になります。感染性炎症疾患に対しては、原因菌に対する薬物療法を行います。
下痢、粘血便が認められた場合は、消化器科、消化器外科、肛門科、または大腸肛門病・IBD(炎症性腸疾患の略)センターを受診してください。胃腸科では、十分な診断ができない場合があります。病状によっては手術が必要な場合があります。潰瘍性大腸炎では、10年以上経過した場合、がん化の可能性もあり、定期的な診察が必要です。
日常生活での注意としては、規則正しい生活を心がけ、アルコールをひかえ、普段から食事療法を心がけることが必要です。
梅枝 覚
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
…直腸は腸内容の貯留と便の排出をつかさどり,消化吸収は行わない。直腸には癌の発生(直腸癌)以外に直腸炎や直腸脱という疾患がある。
[直腸炎proctitis]
原因はわからないが,直腸の粘膜および粘膜の下層までを侵す非特異性の炎症である。…
※「直腸炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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