秋元松代(読み)アキモトマツヨ

デジタル大辞泉 「秋元松代」の意味・読み・例文・類語

あきもと‐まつよ【秋元松代】

[1911~2001]劇作家神奈川の生まれ。秋元不死男の妹。三好十郎師事。売春婦問題を扱った「もの云わぬ女たち」のほか、主な作品に「常陸坊海尊」「かさぶた式部考」「七人みさき」「近松心中物語」など。

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20世紀日本人名事典 「秋元松代」の解説

秋元 松代
アキモト マツヨ

昭和・平成期の劇作家



生年
明治44(1911)年1月2日

没年
平成13(2001)年4月24日

出生地
神奈川県横浜市

学歴〔年〕
小卒

主な受賞名〔年〕
芸術祭賞(奨励賞 ラジオ部門 第15回 昭35年度)「常陸坊海尊」,田村俊子賞(第5回)〔昭和39年〕「常陸坊海尊」,芸術祭賞(演劇部門 第23回 昭43年度)「常陸坊海尊」,毎日芸術賞(第11回)〔昭和44年〕「かさぶた式部考」,読売文学賞(戯曲賞 第27回)〔昭和50年〕「七人みさき」,紀伊国屋演劇賞(第10回)〔昭和50年〕「アディオス号の歌」,菊田一夫演劇賞(第4回 昭53年度)〔昭和54年〕「近松心中物語」,紫綬褒章〔昭和54年〕,演劇功労者(第6回)〔昭和60年〕

経歴
戦後、三好十郎の戯曲研究会に入り、30歳を過ぎてから戯曲を書き始める。昭和22年初の戯曲「軽塵」を発表。24年「礼服」が俳優座で上演され、注目を集めた。以来、古典や各地の伝説を題材に、数多くの作品を発表。39年「常陸坊海尊」で芸術祭賞、田村俊子賞、44年「かさぶた式部考」で毎日芸術賞、50年「七人みさき」で読売文学賞などを受賞。54年近松門左衛門の作品を基にした「近松心中物語」を発表、蜷川幸雄演出帝国劇場で初演され大ヒット。以後度々再演され、平成13年には上演1000回を超えた。戦後を代表する女性劇作家で、完全主義者の孤高の作家と言われた。他の作品に「村岡伊平治」「山ほととぎすほしいまま」「心中宵庚申」「おさんの恋」などのほか「秋元松代全作品集」(全3巻 大和書房)がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋元松代」の意味・わかりやすい解説

秋元松代
あきもとまつよ
(1911―2001)

劇作家。横浜に生まれる。三好十郎主宰の戯曲研究会から出発し、『礼服』(1949)、『婚期』(1952)などの一幕物で認められた。やがて多幕物に向かうとともにテーマも社会的広がりをみせ、底辺に生きる女性群像を描いた『ものいわぬ女たち』(1954)、『村岡伊平治伝』(1960)などを経て、『常陸坊海尊(ひたちぼうかいそん)』(1964)、『かさぶた式部考』(1969)により土俗を視座とする独自の民衆劇の方向を開拓した。以後『きぬという道連れ』(1974)、『七人みさき』(1975)などを発表、一作ごとに重厚味を加え、蜷川幸雄(にながわゆきお)演出の『近松心中物語』(1979)、『元禄(げんろく)港歌』(1980)以降大劇場にも進出。ラジオ、テレビ作品も多い。俳人秋元不死男(ふじお)の実妹。

[大島 勉]

『『秋元松代全作品集』全3巻(1976・大和書房)』『『秋元松代戯曲集』(1962・文学散歩出版部)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秋元松代」の意味・わかりやすい解説

秋元松代
あきもとまつよ

[生]1911.1.2. 神奈川
[没]2001.4.24. 神奈川
劇作家。横浜吉田小学校卒業。 1946年,三好十郎主宰の戯曲研究会に入り劇作修業。 49年『礼服』を雑誌『劇作』に発表。土俗信仰の貴種流離譚に日本の精神風土をみた『常陸坊海尊』 (1964) ,『かさぶた式部考』 (69) で,一躍現代の代表的作家の一人となった。 79年に帝劇で蜷川幸雄演出により初演した『近松心中物語』が大ヒット,以後商業劇場にも作品を提供。毎日芸術賞 (69) など受賞。『秋元松代全作品集』 (3巻) その他の著書がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「秋元松代」の解説

秋元松代 あきもと-まつよ

1911-2001 昭和後期-平成時代の劇作家。
明治44年1月2日生まれ。秋元不死男の妹。昭和21年三好十郎主宰の戯曲研究会にはいる。「ものいわぬ女たち」などを発表,「常陸坊(ひたちぼう)海尊」「かさぶた式部考」で独自の民衆劇を確立し,数々の賞をうける。おもな作品に「七人みさき」「近松心中物語」など。平成13年4月24日死去。90歳。神奈川県出身。

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367日誕生日大事典 「秋元松代」の解説

秋元 松代 (あきもと まつよ)

生年月日:1911年1月2日
昭和時代;平成時代の劇作家
2001年没

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