(読み)エイ

デジタル大辞泉 「穎」の意味・読み・例文・類語

えい【穎】[漢字項目]

[音]エイ(漢)
稲の穂先。「穎果
きりや筆など、とがった物の先。「穎脱毛穎
才知が鋭い。「穎悟穎才
[補説]3は「」を代用字とすることがある。「頴」は異体字
[名のり]さか・さとし・とし・ひで

えい【×穎】

イネ科植物の、花・小穂しょうすいの外側にある葉状の2枚の小片。花を包むものを花穎、小穂の付け根にあるものを苞穎ほうえいという。
稲の穂先。
きりの先。また、筆の穂先。
鋭い才気。また、その人。

かび【×穎】

《「かひ」とも》植物の穂。特に、稲穂。
「初穂をば八百やほ―に奉り置きて」〈祝詞・祈年祭

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「穎」の意味・読み・例文・類語

かび【穎】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物の芽。
  3. ( 「かひ」とも ) 植物の穂。穂先。特に、稲の穂をさす。かい。
    1. [初出の実例]「庚午、縵造忍勝(かつらのみやつこをしかつ)嘉禾(よきいね)を献れり。畝(うね)(こと)にして穎(カヒ)(をな)じ」(出典:日本書紀(720)天武八年八月)
    2. 「穎竪(カビのごとくたつ)」(出典:文鏡秘府論保延四年点(1138)南)

穎の語誌

は「古事記‐上」に記されている神の名「宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)」の中に用いられている。「色葉字類抄」によれば、「穎」に上・上濁の声点があり、「和名抄」の音仮名をも参考にすれば、「カビ」とよむらしい。ただし「観智院本名義抄」には「カヒ(ヒに清声点)」とあり、また室町時代頃からは「カイ」と表記したもの(撮壌集)があるので、そのころから清音になっていたものと思われる。


かいかひ【穎】

  1. 〘 名詞 〙かび(穎)
    1. [初出の実例]「穎 カイ」(出典:撮壌集(1454))

えい【穎】

  1. 〘 名詞 〙 イネ科植物の花(小穂(しょうすい))の基部にある微小な葉。ふつう二つある。花穎を含めていうこともある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「穎」の読み・字形・画数・意味


16画

(異体字)頴
16画

[字音] エイ
[字訓] ほさき・すぐれる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は頃(けい)。頃に潁(えい)の声がある。頃は傾く。〔説文七上に「禾(くわ)の末なり」とあり、穂をいう。頴は俗体の字。

[訓義]
1. ほさき、ほ。
2. すべて尖端の鋭い部分をいう。きっさき、ふでさき。
3. 秀抜、すぐれる、かしこい。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕穎 カヒ 〔字鏡集〕穎 カヒ・ハコ・ノキ

[熟語]
穎異穎黠穎慧・穎悟・穎才穎秀・穎脱穎哲穎敏・穎毛穎露
[下接語]
英穎・禾穎・剛穎・才穎・秀穎・俊穎・垂穎・聡穎脱穎鋒穎・明穎・毛穎・利穎・露穎

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「穎」の意味・わかりやすい解説


えい

イネ科植物の小穂にみられる鱗片(りんぺん)状の包葉。イネ科の小穂には、(1)最下節につき花をもたない、(2)次の節につき花をもたない、(3)それより上の節につき葉腋(ようえき)に小花をもつ、(4)小花の基部につく、の4種の包葉がある。それらに対する名は、末尾に示すように人によってまちまちである。穎の語を(1)~(4)の総称とする人と、(1)と(2)を合わせたものとする人とある。穎果が熟すと、(1)と(2)を母体に残し、(3)と(4)に包まれて落ちることが多い。

(1)=第1包穎==外包穎=第1護穎=外穎
(2)=第2包穎=内包穎=第2護穎=内穎
(3)=護穎=外花穎=外穎=外稃(がいふ)
(4)=内穎=内花穎=内穎=内稃
[吉田 治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android