(読み)ざる

精選版 日本国語大辞典 「笊」の意味・読み・例文・類語

ざる【笊】

〘名〙
① 薄く細くけずった竹で編んだ、目のあらい円形の入れ物。〔和玉篇(15C後)〕
② (比喩的に) 大ざっぱで抜けた所の多いものの意。「この校正はざるだ」
③ 「ざるそば(笊蕎麦)」の略。
落語・お蕎麦殿様(1894)〈禽語楼小さん〉「三百六十五日飯は食はずと蕎麦を食って居れば宜い位、其処で笊(ザル)蒸籠と述べました」
④ 「ざるご(笊碁)」の略。
黒潮(1902‐05)〈徳富蘆花〉一「川畑君も〈略〉碁はまだ笊(ザル)の方だな」

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デジタル大辞泉 「笊」の意味・読み・例文・類語

ざる【×笊】

細長くそいだ竹や針金プラスチックを編んで作った中くぼみの器。盆ざる目ざる米揚げざるなど。
抜け落ちるところが多くて効果があがらないもののたとえ。「内野チームだ」「法」
《酒をいくら注いでも溜まらないことから》俗に、大酒飲みのこと。
笊蕎麦ざるそば」の略。
笊碁ざるご」の略。
[類語]

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改訂新版 世界大百科事典 「笊」の意味・わかりやすい解説

笊 (ざる)

細く薄く割った竹で編んだ容器。籠との区別は明確でないが,ざるは浅い円形で編目がややあらく,調理に用いるものが多い。水が漏れるところから,むだの多いことのたとえに〈ざるに水〉,へたな碁を〈ざる碁〉などという。10世紀の《和名抄》は笊籬そうり)の字をあてて〈むぎすくい〉と読み,麦索(むぎなわ)を煮る籠としているが,15世紀の《下学集》は笊籬を〈いかき〉と読み,味噌漉(みそこし)としている。いまでも京阪では〈いかき〉,東京では〈ざる〉と呼ぶが,語源については〈いかき〉は〈湯かけ〉から,〈ざる〉は〈そうり〉から転じたなどとされる。種類はさまざまであるが,伝統的なものとしては目ざる,みそこし,米あげざる,うどんすくいなどがある。なお,東京浅草の郷土玩具の一つに〈ざるかぶり犬〉というのがある。小さな犬張子にざるをかぶせたもので,幼児の鼻づまりに効くとされたものである。

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食器・調理器具がわかる辞典 「笊」の解説

ざる【笊】

細く割った竹を編んで作る、丸い器。金網やプラスチックで同様に作ったものもいう。水切りなどに用いる。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【籠】より

… 籠のおもな特徴は,入れ物として,焼物や木箱にくらべて著しく軽く,袋ほど自在ではないが弾力に富み,形としては丸み,ふくらみをもち,そして編目が粗く透けているため通気性に富み,内容物が見やすいことなどである。したがって似ている入れ物に(ざる)があるが,笊の場合は平織方式で編目がつんでいるうえ,概して浅いものが多いので区別することができる。
[歴史]
 人類が籠を編み始めたのは旧石器時代にさかのぼる。…

【箕】より

…製作や補修には特別の技術を要するため,〈箕作り〉や〈箕直し〉と呼ばれる特別な人々が村々を訪れて注文に応じていた。箕はインド,中国,朝鮮などアジア大陸部から日本まで見られるが,奄美や沖縄地方にはなく,代りにサンバラなどと呼ばれる円形の底の浅いざるが使用されている。この円形のざるはインドネシア,台湾など東南アジア島嶼(とうしよ)部から九州南部まで分布し,箕と同じ機能を果たしている。…

※「笊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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