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フランスの女流作家ボーボアールの女性論。全二巻。1949年発表。女性は女性として生まれるのではなく、男性を主体とする文明によって「他者」にされ二次的にされた存在である、という主張が根幹をなす。第一巻では、女性の身体的条件の検討から出発して、精神分析および唯物史観における女性論を実存主義の立場から再考。原始社会から現代に至るまでつねに男に支配されてきた女性の歴史をたどり、さらに文学に描かれた「母性」「処女性」「永遠の女性」などの神話を暴いて、個々の女たちの自由な実存の可能性を示唆する。第二巻では、性的体験をめぐる女性たちの率直な証言をもとに、幼年期から女がどのようにつくられ、結婚生活のなかでどのように抑圧されるかを語っている。1970年ごろからアメリカやフランスで始まった種々の女性解放運動は、いずれもこの著作に対する賛否決定のうちに、自らの進む方向を探っている。
[海老坂武]
『生島遼一訳『第二の性』全五冊(新潮文庫)』
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