笹谷峠(読み)ささやとうげ

日本歴史地名大系 「笹谷峠」の解説

笹谷峠
ささやとうげ

川崎町と山形市の境にあり、標高九〇六メートル。北の神室かむろ(一二五三メートル)の支峰と南の雁戸がんど(一四八四・六メートル)の鞍部にあたる。江戸時代は笹谷街道(現国道二八六号)が通り、陸羽境の当峠を越えて両国を結んだ。東の笹谷宿、西の関根せきね宿(現山形市)まで各々一里半(仙台領遠見記)。峠付近は八丁はつちよう平とよばれる平坦地で、南東には有耶無耶うやむや関があったと伝える。文治五年(一一八九)阿津賀志あつかし(現福島県伊達郡国見町)の戦いで敗れた平泉方の西木戸国衡は、出羽道を経て大関おおぜき山を越えようとしたが果さず大高おおたか(現大河原町)辺りで討たれた(「吾妻鏡」同年八月一〇日条)。「吾妻鏡」同六年一月六日条によると、出羽で反乱を起こした大河兼任は秋田城から同じく大関山を越えて、多賀国府へ向かおうとして討たれている。この大関山は古くからの陸羽連絡路上にあった当峠のことをさすと考えられており(観蹟聞老志)、現在は峠北方の山の名となっている。


笹谷峠
ささやとうげ

山形市と宮城柴田しばた川崎かわさき町の境にある峠。標高九〇六メートル。北方の神室かむろ(一二五三メートル)の支峰と南方の雁戸がんど(一四八四・六メートル)の鞍部にあたり、付近は八丁はつちよう平とよぶ平坦地。近世は陸羽の境で、笹谷街道(現国道二八六号)が通った。関根せきね宿から一里半、東の笹谷宿(現川崎町)へも一里半。

古代の陸奥国府多賀たが城と出羽国府を結ぶ官道は当峠を越えていたと推定されている。「吾妻鏡」によると、文治五年(一一八九)阿津賀志あつかし(現福島県伊達郡国見町)の戦いで敗れた奥州藤原氏方の西木戸国衡は、出羽道を経て大関おおぜき山を越えようとしたが大高おおたか(現柴田郡大河原町)辺りで討たれた(「吾妻鏡」同年八月一〇日条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「笹谷峠」の意味・わかりやすい解説

笹谷峠 (ささやとうげ)

山形県山形市と宮城県川崎町の間にある県境の峠。奥羽山脈をこえて仙台市と山形市を結ぶ笹谷街道(国道286号線)の分水界で,標高906m。峠の南東500mに古歌で知られる有耶無耶関(うやむやのせき)跡がある。近世には通行が盛んで米,麦,ベニバナなどが運ばれ,笹谷(宮城側),関沢(山形側)は峠集落としてにぎわった。奥羽本線仙山線開通と国道48号線の整備により通行は衰えたが,仙台~山形間の最短路であるため1981年トンネルが開削され,再び交通の要路になった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「笹谷峠」の意味・わかりやすい解説

笹谷峠
ささやとうげ

宮城県柴田(しばた)郡川崎町と山形市との境にある峠。標高906メートル。仙台市と山形市を結ぶ笹谷街道が奥羽山脈を横断する峠で、平安時代後期にすでに通じていたが、険阻かつ冬季の多雪のためおもに商人荷の輸送に利用されてきた。北側のJR仙山線、国道48号の開通により衰退したが、国道286号、東北自動車道の完成、笹谷トンネルの貫通で日本海側への連絡横断道路として重視されている。旧道に有耶無耶関跡(うやむやのせきあと)がある。

[境田清隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「笹谷峠」の意味・わかりやすい解説

笹谷峠
ささやとうげ

奥羽山脈南部にある峠。標高 906m。宮城,山形両県の境をなし,仙台市と山形市を結ぶ笹谷街道 (国道 286号線) が通る。すぐ南に有耶無耶関 (うやむやのせき) 跡がある。 1981年東北横断自動車道 (山形自動車道) の笹谷トンネルが完成して,仙台-山形間の距離が短縮された。

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