管仲(読み)カンチュウ

デジタル大辞泉 「管仲」の意味・読み・例文・類語

かん‐ちゅう〔クワン‐〕【管仲】

[?~前645]中国春秋時代政治家河南の人。名は夷吾いご鮑叔牙ほうしゅくが推薦で斉の桓公宰相となり、富国強兵策をとってその覇業を助けた。管子かんし。→管鮑かんぽうまじわり

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精選版 日本国語大辞典 「管仲」の意味・読み・例文・類語

かん‐ちゅうクヮン‥【管仲】

  1. 中国、春秋時代の斉の宰相。安徽省の人。名は夷吾。字(あざな)は仲。親友鮑叔牙(ほうしゅくが)の勧めで桓公(かんこう)に仕え、富国強兵策を推進。斉を強国とし、桓公を中原の覇者とした。「管子」二四巻の著者とされる。管子。前六四五年没。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「管仲」の意味・わかりやすい解説

管仲
かんちゅう
(?―前645)

中国、春秋時代の斉(せい)の政治家。公子糾(きゅう)(?―前685)の臣下で、糾と桓公(かんこう)との公位争いで糾が敗れたため捕虜となった。しかし、桓公の臣下の鮑叔牙(ほうしゅくが)の推薦で用いられて宰相となった。以後、桓公を助けて富国強兵政策を進め、とくに農業の振興策や、塩、魚などの海産物資源を利用して商工業を振興させる政策を推し進めた。対外政策では、強力な軍隊を背景とし、他国と会盟を結ぶことによって諸侯間で桓公の指導力を発揮させるようにした。とくに紀元前651年の葵丘(ききゅう)(河南省商丘(しょうきゅう)市の西)の会によって、桓公を覇者にさせたが、管仲の死後、桓公は内政、外交両面で指導力を喪失したといわれる。管仲の思想は道徳より経済を重んじ、国民の生活安定を第一義とする点に特色があり、後の法家思想と通ずるところがある。『管子(かんし)』はその著書と伝えられるが、実際は戦国時代以降の人の筆になる部分が多いと考えられている。

[太田幸男 2015年12月14日]

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改訂新版 世界大百科事典 「管仲」の意味・わかりやすい解説

管仲 (かんちゅう)
Guǎn Zhòng
生没年:?-前645

中国,春秋の名宰相。名は夷吾,仲は字。今の安徽省の人。はじめ斉の公子糾に仕えた。襄公の死後,君位をめぐる内乱で糾と桓公(かんこう)が敵対し,糾が敗死すると管仲は捕らえられたが,親友の鮑叔牙のつよい推挙によって桓公に用いられ,宰相として国政にあずかることになった。彼の政策は,内政では商業を重視して国を富ませるとともに,国民を軍国主義的に編成して兵力の強大化につとめ,対外的には諸侯の信頼を得ることを第一とした。その結果,斉は強国に発展し,桓公は諸侯と同盟を結んでその盟主となり,衰えた周の王室をもりたてて夷狄の侵入から中国をまもることに成功した。桓公が春秋時代最初の覇者となることができたのは,じつに管仲の力によるものであった。彼の著作と伝えられる《管子》24巻は,もちろん彼1人一時の作ではなく,おそらく戦国から漢代にかけて斉地方の重商主義を主張する学派の人々が彼に仮託してまとめあげたものと考えられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「管仲」の意味・わかりやすい解説

管仲
かんちゅう
Guan Zhong

[生]?
[没]襄王7(前645)
中国,春秋時代の斉の政治家,思想家。名は夷吾。仲は字。斉の公子糾 (しきゅう) に仕え,小白 (のちの桓公) と争って敗れたが,親友鮑叔 (ほうしゅく) の推薦で桓公に仕え,国内の行政,経済の改革を実施して斉の富国強兵化に貢献した。対外的には北方の夷狄,南方の楚の侵入を撃退して中原の諸国を防衛し,桓公を五覇の第一人者にさせた功労者。『管子』はその著といわれるが,後代に編纂されたもの。

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百科事典マイペディア 「管仲」の意味・わかりやすい解説

管仲【かんちゅう】

中国,春秋時代の桓公の宰相。富国強兵策を採り,桓公を覇者たらしめた。貧時から終生変わらなかった鮑叔牙(ほうしゅくが)との交友は〈管鮑の交わり〉として有名。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「管仲」の解説

管仲(かんちゅう)
Guan Zhong

?~前645

春秋時代における桓公(かんこう)の名宰相。潁水(えいすい)(河南省)の人。民団を組織し,商業を振興するなど富国強兵策をとって斉を充実させ,桓公を覇者たらしめた。『管子』(かんし)は彼の著書と伝えられる。

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旺文社世界史事典 三訂版 「管仲」の解説

管 仲
かんちゅう

?〜前645
春秋時代の斉 (せい) の桓公の宰相
襄公死後の内乱で,はじめ桓公の政敵についた。その後捕らえられたが,友人の鮑叔牙 (ほうしゆくが) の推薦を受けて宰相となると,君権の強化をはかり,諸侯の会盟に成功し,桓公を春秋五覇たらしめた。

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世界大百科事典(旧版)内の管仲の言及

【管子】より

…全86編,うち現存するもの76編。春秋時代の斉国の名宰相管仲の名を書名に冠するが,実際は戦国時代から漢初にかけて管仲の学説に擬して伝承されてきた数群の資料を,漢代(前202‐後220)初期に集成したものであろう。法家的傾向を最も強く有するが,儒家・道家など諸子の学説をも交え,断片的記述の集成になる編が多い。…

【財神】より

…北中国の商家では,諸神とは別に正月2日に財神をむかえ,人々は先を競って財神廟に参詣し,発財招福を祈願すると,〈元宝〉とよばれる馬蹄銀型の紙銭を借りて帰り,翌年これを倍にして返すという風習もあった。妓院では,春秋時代の斉の桓公もしくは管仲を娼業の祖としてまつり,また天津を中心とする北方では,〈胡仙〉とよばれる狐神や〈五大家〉と称される狐,鼬(いたち),針鼠,蛇,鼠の動物神が,巫女や商家のあいだで招財の神として信仰されたことも知られる。【堀 誠】。…

※「管仲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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