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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
広い意味では接着剤。古くからのりといわれてきたものの代表にデンプンのりがある。これは,米や小麦,いも類などの穀物類のデンプンを水で煮て,熱と水の作用でデンプンの結晶(βデンプン)を破壊してできるαデンプンの,複雑な組成をもつ粘着性の溶液である。塗布後は水分が蒸発あるいは吸収されることにより固化し,αデンプンはβデンプンの結晶に戻っていく。こののりは紙などの事務用接着剤として用いられる以外に布の形を整え汚れを防ぐためにも用いられる。飯粒をへらでつぶして練ったものを続飯(そくい)といった。江戸時代にはこれに防腐剤を加えることが考案され,万年のりと称して用いられた。
デンプン以外の天然物を原料とするのり状物質も多く,アカシア属の樹液で水に可溶性のアラビアゴム,動物の骨,皮,腱(けん)を水で煮て得られるゼラチンを主成分とするにかわ(膠),フノリ,ツノマタなどの海藻からとれるアルギン酸のナトリウム塩などの海藻のりがあり,合成高分子物質ではポリビニルアルコールの水溶液やポリ酢酸ビニルのエマルジョンなどがあり,接着剤として用いられ,あるいは食品の成形用や添加物として用いられる。
繊維工業で用いられるのりには次のような種類がある。(1)たてのり 製織準備工程で経(たて)糸の製織性を高めるために用いられ,繊維間を接着して,製品に硬直性を与え耐摩耗性を強化する。水溶性デンプン,CMC(カルボキシメチルセルロースの略。セルロースの水酸基の一部をカルボキシル基に変えたセルロースエーテル),ポリビニルアルコール,アルギン酸ナトリウム,ポリアクリル酸ナトリウムなどがある。(2)仕上げのり 形状を保ち,重量感,強度,光沢を与えるために用いる。デキストリン,植物ゴム,ゼラチンなどがあり,耐水性を必要とするときはポリ酢酸ビニル,尿素樹脂が用いられる。(3)捺染(なつせん)のり 染料や顔料を織物によく固着させ,水洗いによって完全に除去されるもので,フノリ,デンプン,デキストリンなどがある。
→接着
執筆者:五十嵐 高+戸田 不二緒
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
接着剤の一種。主として紙を貼(は)り付ける場合や、洗濯物の仕上げに用いるものを糊とよんでいる。古くは米などのデンプン質からつくったが、現在では化学的に合成したものが多い。事務用の糊には固型と液体があるが、原料によって次の3種に分けられる。(1)デンプン糊 もっとも古くからある糊で、デンプン質を水に溶いて煮たもの。平安時代から使われ、明治の中ごろまで姫糊とよばれて親しまれていたが、これは安価だが腐敗しやすいというのが難点で、最近は事務用に用いられることが少なくなってきた。(2)ゴム糊 アラビアゴムノキの分泌物を加工してつくるところから、アラビア糊ともよばれる。これは、空気に触れると固型化するという性質を利用している。(3)合成樹脂糊 ポリ酢酸ビニルやポリビニルアルコールなどの合成樹脂系の接着力を利用したもので、接着力が強く、腐敗しないので、一般事務用として広く普及している。固型のスティックタイプや、容器が使いやすいようにくふうされた液体状のものまで、手を汚さずに簡便に扱えるいろいろなタイプのものが市販されている。
また洗濯糊には、ふのりなどの海藻糊が絹布などの仕上げや洗い張りに従来より用いられてきたが、最近ではどの繊維にも使えてしかも腐敗しないポリビニルアルコールなどの合成糊が、多く使われるようになった。
[野沢松男]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…魚肉,レバー,トマトなどをすりつぶして柔らかく滑らかにした食品。例えばレバーペーストは,牛や鶏,豚のレバー(肝臓)をゆでて裏ごしし,バター,香辛料,調味料などを加えて練る。パンに塗って,そのまま食べたり,オードブルのカナッペなどに使う。トマトペーストは,トマトを煮て裏ごしして皮や種を除き,さらに煮詰めて水分を少なくしたもので,西洋料理の煮込みやソースなどの調味料として用いる。このほか,アンチョビーペースト,アーモンドペーストなどがある。…
※「糊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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