精選版 日本国語大辞典 「血」の意味・読み・例文・類語
けつ【血】
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動物の血管の中を流れる赤色の流動組織。血の生理学的な解説は「血液」の項に書かれており、ここでは血に対する人間のさまざまな観念、習俗などについて触れる。
人間の生死と深いかかわりをもつ血は、古くから人間に恐れられ、崇(あが)められてきた。ときには血に神聖な霊的な力をみいだし、ときにはそれを忌むというように、血にはさまざまな観念が付与されている。
血の霊的な力を認め、これを呪術(じゅじゅつ)的に用いる場合には、血をあわせる、血を飲む、血を塗る、血を振りかける、血を神に捧(ささ)げるなどの形態がみいだされる。霊感を獲得するために、ギリシア神話の神アポロンの神殿の女司祭が羊の血を飲んだり、インドではカーリーの神に捧げた山羊(やぎ)の血を飲むことが行われた。西洋では古代ローマ以来、血を飲むことはてんかんに効くともいわれていた。このほか、多くの民族で、家を新築するときに動物を殺してその血を家に塗ったり、生まれたばかりの子供の顔に父親の血を塗ったりした。豊穣(ほうじょう)祈願のために、農耕民の間には、人身御供(ひとみごくう)の血や肉を畑や種籾(もみ)に塗ることも行われた。また、オーストラリア先住民やアフリカ中央部のマディ人は、清めのために人々に血を振りかけたり、ボルネオ島の狩猟民の間では、血を自分の体や武器や犬に振りかけるなどした。また血は雨を象徴するものともみなされ、雨乞(あまご)いの際に、祭司の血が使用されることもあった。このほか、日本などでも血判、血書や、血をあわせることによって兄弟の契りを結ぶことなどにみられるように、契約や誓約の証(あかし)として用いられたり、血に親族関係を支える特別な機能が与えられたりもしている。
反面、血を忌み嫌うという特別な習俗も各地にみいだされる。血を不浄なものとし、土地に流された血を特別に始末したり、月経期間中の女性を特別の小屋に忌みごもらせたり、お産があった場合には狩猟や漁労を控えるというようなことも行われた。
これらの習俗は、血にまつわる複雑な宗教観および社会的観念がさまざまな社会にあったことを物語っているといえよう。
[武見李子]
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…日本の家も西欧のファミリーも,その基本的機能は成員の生活保障にある。だからこそ血縁者のみでなく,他人もいれる必要がでてくる。英語のファミリーfamilyの原義は家の使用人たちであった。…
…絡脈は経脈から分かれて全身に網状に分布している脈である。 経脈は表に示したように末端で順次接続して全体で環状になり,そのなかを気と血(現代医学でいう血とは完全には一致しない)がたえず循環し,一昼夜で人体を50周するという。人体の生理活動は経脈中の気血の運行によって支えられているから,経脈の機能が乱れるとそれぞれに関連のある臓腑に障害が起こり,それが体表面に反映されて,体の各部位に特定の病変が起こると考える。…
…動物の血管内を流れる体液のことで,血管外の細胞・組織間を流れる組織液や,リンパ管内を流れるリンパ液と区別される。
【動物の血液】
開放性血管系を備える無脊椎動物の血液は組織液と同じ成分であるが,閉鎖性血管系を備えた動物では,その成分の一部は血管外へ流出せず血管内にとどまるため,組織液と異なった成分を示す。…
…卵にも生命がある以上,殺生だといえないわけではないが,それが認められる。殺生は流血をともなう。流血は死につながり,血は生死を分ける象徴ともなりうる。…
※「血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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