紺屋の白袴(読み)コウヤノシロバカマ

  • こんや
  • の 白袴(しろばかま)
  • 紺屋
  • 紺屋(こうや)の白袴(しろばかま)
  • 紺屋(こんや)の白袴(しろばかま)

精選版 日本国語大辞典の解説

他人のためにばかり忙しく、自分のことに手がまわらないことのたとえ。また、いつでもできるにもかかわらず、放置しておくことをもいう。医者の不養生。こんかきの白袴。こうかきの白袴。こうやの白袴。〔随筆・骨董集(1813)〕
[補注]一説に、染色の液を扱いながら、自分のはいている白袴に、しみ一つつけないという職人の意気を表わしたことばであるとする。

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ことわざを知る辞典の解説

他人のために忙しく働いて、自分のことまで手がまわらないことのたとえ。また、仕事がらいつでもできるはずだが、自分のこととなると怠ってかまわないことのたとえ。

[使用例] この方面の学問に関係し、しかもそれで生活して来ている人間が、〈略〉一々ラジオ屋さんの御苦労を願うというのは自分ながら妙なことであると思われなくはない。紺屋の白袴とでもいうのか、元来心掛けの悪いためか、それとも不精なのか[寺田寅彦*ラジオ雑感|1933]

[使用例] 客の酒の燗をするばかりが能やないと言い出し、〈略〉明らかに商売にあいた風で、酔うと気が大きくなり、自然足は遊びの方に向いた。紺屋の白袴どころでなく、これでは柳吉の遊びに油を注ぐために商売をしているようなものだ[織田作之助*夫婦善哉|1940]

[解説] 「紺屋」は「こんや」ともいい、「白袴」は「しらばかま」ともいいます。紺屋(古くは「こうき」といった)は、元来は藍染め業者ですが、染物屋の総称とされていました。職人が他人のものを熱心に作りながら、自分のことはなおざりにすることに着目したことわざには、「髪結い髪結わず」など、他の業種のものもあります。それらのなかで、このことわざが特によく知られ、江戸時代から今日までよく使われてきたのは、紺と白の色彩のコントラストが鮮やかで、視覚的にも印象深いせいでしょう。
 なお、このことわざには、染料を扱いながら袴を汚さない技を誇る職人気質をあらわすものとする異説もありますが、これを裏付ける用例は見当たりません。

[類句] 髪結い髪結わず/箕売り笠でひる

〔英語〕The shoemaker's son always goes barefoot.(靴屋の息子はいつも裸足はだし
[参照] 紺屋の白袴

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