(読み)ヒビ

デジタル大辞泉 「罅」の意味・読み・例文・類語

ひび【×罅】

《「ひび」と同語源》
陶器・ガラス・骨などにできる、細かい割れ目
心身人間関係などに生じた故障・不和などをたとえていう語。「友情に―が入る」
[類語]ひび割れ割れ目亀裂切れ目分け目裂け目小口切れ口継ぎ目節目ミシン目

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「罅」の意味・読み・例文・類語

ひび【罅】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ひび(皹)」を転用してできた語 )
  2. 陶器、ガラス器などの表面にできる細かい割れ目。また、日照り続きなどのため、大地の表面にできる割れ目。ひびわれ。ひびき。ひびり。ひびれ。
    1. [初出の実例]「縦横にかず知れず走る罅(ヒビ) 青やかに火光(あかり)吸ひ」(出典:邪宗門(1909)〈北原白秋〉古酒・灰色の壁)
  3. 心身が病み傷つくこと。また、罪を犯すこと。
    1. [初出の実例]「気紛(きまぐ)れな焦燥はただ自分の気持のひびを深めた丈けで」(出典:兄の立場(1926)〈川崎長太郎〉三)
  4. 対人関係に生じたさしさわり、不和。
    1. [初出の実例]「悪だくみで彼女と篠原との罅にA自分に有利な様、わざと手を入れる」(出典:故旧忘れ得べき(1935‐36)〈高見順〉八)

ひびき【罅】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ひびく(罅)」の連用形名詞化 ) =ひび(罅)日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「出尻あらしたる跡にて見れば大鍋にひびきを入」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)五)

ひびれ【罅】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ひびれる(罅)」の連用形の名詞化 ) 割れ目。裂け目。きず。ひびり。ひび。転じて、欠けて不足すること。〔名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「千貫目にはひびれもなき玉屋と」(出典:浮世草子・庭訓染匂車(1716)三)

ひわれひはれ【罅】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ひわる(罅)」の連用形の名詞化 ) ひびや割れ目のはいること。
    1. [初出の実例]「みなと出づるかこのとも舟ゆすれどもひわれもやらぬあさ氷かな〈源仲正〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)一七)

ひびり【罅】

  1. 〘 名詞 〙ひび(罅)

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普及版 字通 「罅」の読み・字形・画数・意味


17画

[字音]
[字訓] さける・ひび

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(か)。〔説文五下に「裂くるなり」とし、「缶(ふ)燒けて善く裂くるなり」と、土器が熱によってひびを生ずる意とする。その裂ける音をという。

[古辞書の訓]
名義抄〕罅 サケメ・カケタリ 〔立〕罅 ハサメ

[熟語]
罅間罅隙罅欠罅穴罅発罅縫罅漏
[下接語]
隙罅・孔罅・寸罅・罅・罅・発罅・補罅・縫罅・無罅

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