聖教要録(読み)せいきょうようろく

  • せいきょうようろく セイケウエウロク
  • せいきょうようろく〔セイケウエウロク〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

山鹿素行著。3巻。寛文5 (1665) 年成立門人への講義である『山鹿語類』からその学説中核を集録したもの。「聖人」から「道原」まで,28項の潔な解説から成り,直接周公孔子の教えを学び,日用実践を重んずべきことを説いた,朱子学批判の先駆をなす書。素行は『聖教録』を著わした罪で,翌年保科正之により播州赤穂に流された。

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百科事典マイペディアの解説

山鹿素行(やまがそこう)の儒学綱要書。3巻。1665年のがある。素行は朱子学に疑問をもち,《山鹿語類》45巻を著したが,この本はその要をとり,儒学のあり方を28項に分けて論述する。古学の要を述べ,朱子の理学説を批判したため,山崎闇斎(あんさい)を通じて朱子学を奉じていた将軍補佐役保科正之(ほしなまさゆき)の怒りにふれ,素行は1666年播磨(はりま)赤穂(あこう)藩浅野家に預けられることとなった。

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世界大百科事典 第2版の解説

江戸前期の儒者山鹿素行著書。3巻。1665年(寛文5)刊。朱子学批判を含む文献としては日本で最初のもの。本書後世の儒者の意見を退けて直接聖人の言葉につくことを眼目として〈聖学〉(儒学)について説いたものであるが,その朱子学批判が山崎闇斎を通じて朱子学を奉じていた将軍補佐役保科正之の怒りを買い,翌年〈不届きなる書物〉を著したとして赤穂浅野家に預けられ,その後の10年を赤穂で送ることを強いられた。《素行全集》《日本思想大系》所収。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

江戸前期の儒者・兵学者山鹿素行(やまがそこう)の著書。3巻。1665年(寛文5)成立、翌年刊行。本書に先だち素行の門人たちによって『山鹿語類』が編纂(へんさん)されていたが、本書はその巻33から巻43までの「聖学篇(へん)」を抜粋要約したもの。刊行により、本書は幕府から「不届成(ふとどきなる)書物」とされ、素行は播磨(はりま)赤穂(あこう)に配流されることになる。本書において、かつて自らも信奉したこともある朱子学は批判され、「周公・孔子を師として、漢(かん)・唐(とう)・宋(そう)・明(みん)の諸儒を師とせず」とする古学転回後の素行学が体系的に展開され、「聖人」「道」「理」「徳」「誠」「天地」「性」「心」「道原」など28の重要語句に対して、簡にして要を得た説明がなされている。天地に則(のっと)り、人物の情にもとることなく、事業・法礼を廃棄せず、性心をもてあそぶことなく具体的な教えを述べるもの、と自ら示した「聖学」(素行学)の核心はほぼ本書に尽きているのであり、その意味において本書は「素行学原論」とでも称すべきものである。

[佐久間正]

『田原嗣郎他編『日本思想大系 32 山鹿素行』(1970・岩波書店)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

江戸前期の儒学書。三巻。山鹿素行著。寛文五年(一六六五)成立。「山鹿語類」四五巻からの抜粋で、漢唐の訓詁学、宋の性理学、陽明学を排して、経書を直接に解釈して孔孟の道を明らかにしようという古学の要を説いたもの。本書により、素行は、保科正之の進言を容れた幕府の忌諱(きい)に触れて寛文六年赤穂藩に流されたが、幕府の政治を批判する言辞はないので、正之の死により二年半後に赦免。その後、江戸で公然と講説された。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

江戸前期,山鹿素行の著した儒学書
1665年成立。3巻。素行の門人に対する義のもととなる思想をまとめたもので,官学である朱子学を批判し,古学的立場を論述。このため素行は幕府の怒りにふれ,赤穂の浅野家に預けられた。

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世界大百科事典内の聖教要録の言及

【山鹿素行】より

…35歳ごろにはこの兵学は完成し,《武教本論》《武教全書》が主著である。40歳を過ぎるころから,当時の儒学の主流であった朱子学に疑問をもつようになり,65年(寛文5)には《聖教要録》を著して朱子学を批判したが,〈不届なる書物〉を刊行したとの理由で幕命により,66年から75年(延宝3)まで赤穂浅野家に預けられた。この事件の裏には朱子学者山崎闇斎を支持する将軍補佐役の保科正之があるといわれる。…

※「聖教要録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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