肝付(読み)きもつき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「肝付」の意味・わかりやすい解説

肝付(町)
きもつき

鹿児島県肝属郡(きもつきぐん)にある町。大隅半島(おおすみはんとう)南東部に位置する。2005年(平成17)肝属郡内之浦町(うちのうらちょう)、高山町(こうやまちょう)が合併して成立。東は志布志湾(しぶしわん)、内之浦湾および太平洋に面し、北は肝属川を隔てて東串良(ひがしくしら)町、南は南大隅(みなみおおすみ)町、西は鹿屋(かのや)市と錦江(きんこう)町に接する。海岸線沿いを国道448号が走る。町の中央部は、甫与志(ほよし)岳(967メートル)や国見(くにみ)山(886メートル)など、900メートル前後の山々が連なる肝属山地で、町域の8割以上を林野が占める。北西部にはシラス台地肝属平野が広がり、台地ではおもに野菜栽培、平野では稲作が行われる。また南東部では、急峻な山地が海に落ち込み、変化に富んだ海岸線をつくっている。大隅南部県立自然公園に含まれるこの地域では、農業と漁業の兼業者が多い。太平洋に面しているため温暖で、亜熱帯植物自生。南大隅町・錦江町との境、稲尾岳(いなおだけ)の山頂付近に広がる照葉樹林は、国指定天然記念物。また、内之浦湾の南に伸びる津代(つしろ)半島突端の火崎(ひざき)は、ソテツの自生北限地として知られ、国の特別天然記念物に指定される。同半島の南には、内之浦宇宙空間観測所があり、科学観測ロケットや科学衛星の打ち上げが行われる。肝付川河口近くの権現山日南海岸国定公園の一部。北部には文化財が多く、塚崎古墳群(つかざきこふんぐん)、高山城跡は国指定史跡。塚崎1号墳の上に立つクスは推定樹齢1300年とされ、国の天然記念物に指定。政治家の故二階堂進の生家でもある二階堂家住宅は、「おもて」と「なかえ」からなる分棟型民家の典型として国指定重要文化財。また、毎年10月、四十九所神社(しじゅうくしょじんじゃ)に奉納される流鏑馬(やぶさめ)行事(県指定無形民俗文化財)には、多くの観光客が訪れる。面積308.10平方キロメートル、人口1万4227(2020)。

[編集部]


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改訂新版 世界大百科事典 「肝付」の意味・わかりやすい解説

肝付[町] (きもつき)

鹿児島県南東部,肝属(きもつき)郡の町。2005年7月内之浦(うちのうら)町と高山(こうやま)町が合体して成立した。人口1万7160(2010)。

肝付町南東部の旧町。肝属郡所属。人口4786(2000)。大隅半島南東部に位置し,北東部に内之浦湾があり,南西は太平洋に臨む。肝属山地が北西部を占め山がちで,低地は広瀬川,小田川の河口(北方・南方地区)と,久保田川河口(岸良地区)に存在するにすぎない。斜面には段々畑が多くみられ,ポンカン,サヤエンドウの栽培が行われる。また,ブリ漁をはじめとする漁業も行われる。1962年に東京大学付属施設としてのちの鹿児島宇宙空間観測所(現,独立行政法人の宇宙航空研究開発機構・内之浦宇宙空間観測所)が東部の長坪台地に設置され,70年2月11日には日本最初の人工衛星〈おおすみ〉の打上げが行われた。内之浦湾の南を限る火崎はソテツの自生地で特別天然記念物に指定。

肝付町北西部の旧町。肝属郡所属。人口1万4737(2000)。大隅半島の中央に位置し,北東は志布志湾に臨む。町域のほとんどは国見山を中心とする肝属山地で,北西部にシラス台地と,肝属川および支流の高山川がつくる沖積平野が広がる。平安時代から戦国期末まで高山城を築いて島津氏に対抗した肝付氏の本拠地として栄え,近世は薩摩藩の直轄地となって地頭が置かれた。志布志湾に面する波見は中世には倭寇(わこう)の拠点で,頭目の重氏は豪商として知られた。近世は薩摩藩有数の商港となり,琉球,大坂などとの交易でにぎわった。現在は米作を主体に,タバコ,ポンカンなどの栽培を行う農村である。塚崎古墳群,高山城跡,二階堂家住宅などの史跡,文化財が多い。
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百科事典マイペディア 「肝付」の意味・わかりやすい解説

肝付[町]【きもつき】

鹿児島県南部,大隅半島の東部を占める肝属郡の町。2005年7月肝属郡内之浦町,高山町が合併し町制。国道448号線が通じる。308.10km2。1万7160人(2010)。

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