舌怠い(読み)シタタルイ

デジタル大辞泉 「舌怠い」の意味・読み・例文・類語

した‐たる・い【舌怠い】

[形][文]したたる・し[ク]
物の言い方が甘えたような調子であるさま。したったるい。
女子学生一部流行はやる、あの稍々―・いような遊ばせ言葉も」〈広津和郎風雨強かるべし〉
舌の回りが悪く、話が聞き取りにくいさま。
徹夜よどおし三人で一斗五升飲んだという翌朝でも、物言いと―・く聞えるばかりで」〈啄木刑余叔父
物の言い方などがくどくどしているさま。
文士どのは―・い愚痴沢山な自惚やら楽屋落やら列べれば」〈魯庵社会百面相
[類語]舌もつれ舌もじり小舌たるい舌足らず口下手訥弁とつとつ口重口籠る話し下手口不調法

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精選版 日本国語大辞典 「舌怠い」の意味・読み・例文・類語

した‐たる・い【舌怠】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]したたる・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 甘味が強すぎる。甘ったるい。
    1. [初出の実例]「生姜はしたたるく、番椒はいやしく、山椒はねばく」(出典:俳諧・芭蕉葉ぶね(1817))
  3. 愛情の表現や甘え方が度を過ぎている。べたべたしている。また、色気たっぷりである。色っぽい。したったるい。
    1. [初出の実例]「したたるき物 一、相惚(あひぼれ)目元」(出典仮名草子犬枕(1606頃))
    2. 「わざと色気と笑ひをふくみ、さもしたたるく寄り添て」(出典:人情本・春色辰巳園(1833‐35)三)
  4. 物の言い方がくどくどしい。くどい。
    1. [初出の実例]「文士どのは舌たるい愚痴沢山な自惚(うぬぼれ)やら楽屋落やら列べれば」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵天下太平なる哉)
  5. 物の言い方が舌足らずである。舌のまわりが悪く、物言いがはっきりしない。
    1. [初出の実例]「姉様と舌怠(シタタル)く呼びて、懐(なづ)きぬ」(出典:不言不語(1895)〈尾崎紅葉〉一〇)
  6. 湿気を含んでじめじめしている。汚れて、くたくたになっている。形がくずれている。
    1. [初出の実例]「したたるき物。〈略〉一、露に汚れたる著物」(出典:仮名草子・犬枕(1606頃))

舌怠いの派生語

したたる‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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