化学辞典 第2版 「花こう岩化作用」の解説
花こう岩化作用
カコウガンカサヨウ
granitization
花こう岩成因に関する説の一つ.地表でみられる深成岩と火山岩では,酸性岩と塩基性岩の割合はまったく逆となる.すなわち,深成岩では塩基性のはんれい岩は5% であるが,酸性の花こう岩は95% にも及んでいる.このような深成岩にみられる塩基性岩と酸性岩の量比は,マグマ分化説にとっては都合が悪く,花こう岩は真の火成岩ではなく,既存のたい積岩が変化してできた一種の変成岩であるとの学説が出た.このように既存のたい積岩が,一種の高度の変成作用を受けて,花こう岩質岩石になることをいう.この場合には,石理や鉱物成分がかわるだけでなく,化学成分もかわる.たとえば,粘板岩からの場合には,SiO2やアルカリが増加し,Al2O3が減少する.またケイ質のたい積岩からの場合には,Al2O3やアルカリが増し,SiO2が減っている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報