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胚嚢 はいのうembryo sac

翻訳|embryo sac

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

胚嚢
はいのう
embryo sac

種子植物の配偶子 () を生じる部分,すなわち雌性配偶体。植物によっていろいろな型がある。被子植物では胚珠内に減数分裂によって生じた4細胞中の3細胞が退化し,残った1細胞が嚢細胞となり,核が3回分裂して8個の核を生じるが,最も基本的な型ではそのなかの3核が珠孔側に集って1卵細胞と2助細胞とを形成し,3核が合点側に集って反足細胞となり,残る2核は胚嚢の中央にとどまって極核をつくる。裸子植物では,胚珠内の胚乳の若い時期に珠孔に近い細胞から造卵器が分化し,この胚乳と造卵器とが胚嚢を形成する。

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百科事典マイペディアの解説

胚嚢【はいのう】

種子植物の胚珠の中にできる雌性生殖器官。多くの被子植物では胚珠の珠心中の1細胞が特に大きくなって,減数分裂をし,4細胞となり,その中の1個(胚嚢細胞)だけが生き残って,他は退化消失,この1細胞が核分裂を3回続けて行い8核となり,容積を増大して胚嚢を形成する。
→関連項目花粉

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

胚嚢
はいのう
embryo sac

被子植物の胚珠の中にできる雌性配偶体をいう。胚嚢は、一般に次のようなプロセスを経て形成される。まず、胚珠の珠心の中に大胞子母細胞(胚嚢母細胞ともいう)ができ、これが減数分裂して4個の大胞子をつくるが、普通は、そのうちの3個は退化して1個だけが残る。この残った大胞子は、多くの場合、3回の核分裂を行って8核の状態になると発達が止まる。8核のうち、珠孔寄りに位置するのは3核で、それぞれが自分の周りに細胞壁をつくり、1個の卵細胞と、それよりやや小さい2個の助細胞とに分化する(この3細胞の組合せは卵装置とよばれる)。助細胞の珠孔に向かった端は多くの種類で細長く伸びるため、繊(線)形装置とよばれる。線形装置の細胞壁は、多糖類が緩く結合して、花粉管が入りやすい構造になっているといわれる。胚嚢の中央に位置するのは2核で、極核とよばれる。極核は細胞壁をつくらず、受精の直前に2核が融合して中央核となる。残りの3核は珠孔とは反対側に位置し、それぞれの周りに細胞壁をつくり、反足細胞とよばれる。多くの種類では、反足細胞はこれといった特別な働きをせず、胚嚢が配偶体であったことの名残(なごり)を示すだけであるが、なかには特別な形に分化して、珠心から栄養をとる吸収器官となる場合もある。[山下貴司]

重複受精

珠孔を通って伸びてきた花粉管は、二つの助細胞のうちの一方に、線形装置を経て侵入する。すると花粉管の先端が破れて、二つの精核(精細胞)を含む内容物を助細胞の中に放出する。これ以後、助細胞の核はその構造が崩れ、助細胞の細胞質は、卵細胞と中央核の間へ向かって半月形の突起を出し、その中に二つの精核を送り込む。やがて、精核のうちの一つは卵核のほうへ動いてこれと合体し、他の一つは中央核のほうへ動いてこれと合体し、内胚乳のもととなる。この仕組みを重複受精とよび、被子植物に特有な現象である。鞭毛(べんもう)のない精核が、どうして目的物まで達することができるのかということについては、まだ不明な点が多い。[山下貴司]

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