芳村伊三郎(読み)ヨシムラ イサブロウ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「芳村伊三郎」の解説

芳村 伊三郎(6代目)
ヨシムラ イサブロウ


職業
長唄唄方

本名
中村 万吉

別名
前名=芳村 金五郎(2代目),芳村 伊四郎(4代目),芳村 伊十郎(5代目)

生年月日
文政6年

出生地
江戸・新宿新町(東京都)

経歴
中村三右衛門の長男。29歳の時、3代目芳村伊四郎の養子となる。安政6年守田座で4代目伊四郎、翌万延元年5代目伊十郎を襲名、文久2年立唄昇進し、明治8年新富座の囃子頭に。26年歌舞伎座で6代目伊三郎を襲名して「勧進帳」をつとめた。「元禄花見踊」「紅葉狩」などを初演。銀座に住んでいた事から“銀座の伊三郎”と呼ばれた。

没年月日
明治35年 5月10日 (1902年)

家族
養父=芳村 伊四郎(3代目),二男=芳村 伊三郎(7代目)


芳村 伊三郎(7代目)
ヨシムラ イサブロウ


職業
長唄三味線方

本名
芳村 桂次郎

別名
前名=杵屋 敬次郎,杵屋 六之助,芳村 伊四郎(6代目)(ヨシムラ イシロウ)

生年月日
安政2年 9月

出生地
江戸(東京都)

経歴
6代芳村伊三郎の二男。声が立たないため三味線方となり、明治5年頃から杵屋敬次郎の名で三味線方で出座、8年新富座で二枚目昇進。9年お成道の8代目杵屋六三郎の門に入り、杵屋六之助を名乗る。20年立三味線、26年6代目芳村伊四郎を継ぎ、37年7代目伊三郎を襲名、家元となった。三味線方で伊三郎を襲名したのは異例。

没年月日
大正9年 8月20日 (1920年)

家族
父=芳村 伊三郎(6代目)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「芳村伊三郎」の解説

芳村 伊三郎(7代目)
ヨシムラ イサブロウ

明治・大正期の長唄三味線方



生年
安政2年9月(1855年)

没年
大正9(1920)年8月20日

出生地
江戸

本名
芳村 桂次郎

別名
前名=杵屋 敬次郎,杵屋 六之助,芳村 伊四郎(6代目)(ヨシムラ イシロウ)

経歴
6代芳村伊三郎の二男。声が立たないため三味線方となり、明治5年ころから杵屋敬次郎の名で三味線方で出座、8年新富座で二枚目昇進。9年お成道の8代目杵屋六三郎の門に入り、杵屋六之助を名乗る。20年立三味線、26年6代目芳村伊四郎を継ぎ、37年7代目伊三郎を襲名、家元となった。三味線方で伊三郎を襲名したのは異例。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「芳村伊三郎」の意味・わかりやすい解説

芳村伊三郎(6世)
よしむらいさぶろう[ろくせい]

[生]文政6(1823)
[没]1902.5.10.
長唄芳村流家元。本名中村万吉。3世芳村伊四郎の養子。初名金五郎から万延1 (1860) 年4世伊四郎を経て5世伊十郎となり,文久2 (62) 年立唄。 1875年新富座の囃子頭。 93年6世を襲名。『元禄風花見踊』『紅葉狩』などの初演の立唄をつとめた。その後,7世,9世,10世伊三郎は唄方ではなく三味線方であったが (8世は6世芳村伊十郎別名) ,1979年唄方の5世金五郎 (1944.2.5.~ ) が 11世を襲名し,今日にいたっている。なお,11世は8世伊十郎もあわせて継承した。

芳村伊三郎(5世)
よしむらいさぶろう[ごせい]

[生]天保3(1832)
[没]1882.11.24.
長唄芳村流家元。本名石川清之丞。旗本石川八五郎の次男に生れ,2世吉住小三郎 (前名3世伊十郎) に入門。4世伊三郎没後養子となり,伊千三郎を名のる。安政3 (1856) 年4世伊十郎を継ぎ,同6年5世伊三郎を襲名。日本橋大伝馬町に住み,俗に「伝馬町の伊三郎」と呼ばれる。明治初期の代表的唄方。『菖蒲 (あやめ) ゆかた』は5世襲名記念として,2世杵屋勝三郎・3世杵屋正次郎が作曲したといわれる。

芳村伊三郎(3世)
よしむらいさぶろう[さんせい]

[生]宝暦4(1754)?
[没]天保4(1833).8.20.
長唄芳村流家元。本名中村屋平蔵。元鍛冶職ともいわれる。1世伊四郎から文化5 (1808) 年2世伊十郎を襲名し,その翌年立唄。文政5 (1822) 年2世坂田仙四郎と改め,同7年3世を襲名。生来美声で,『汐汲』『舌出三番叟』『藤娘』『吾妻八景』などの初演に立唄として活躍した。

芳村伊三郎(4世)
よしむらいさぶろう[よんせい]

[生]寛政12(1800)
[没]弘化4(1847).6.16.
長唄芳村流家元。3世芳村伊三郎の門弟。前名伊千五郎。天保 14 (1843) 年立唄。弘化3 (46) 年4世を襲名。『対の編笠』『軒端 (のきば) の松』の初演をつとめた。東金の紺屋の子で,のちに歌舞伎『与話情浮名横櫛 (よわなさけうきなのよこぐし) 』の切られ与三郎のモデルにされたといわれる。

芳村伊三郎(2世)
よしむらいさぶろう[にせい]

[生]享保20(1735)
[没]文政3(1820).11.29.
長唄芳村流家元。1世芳村伊三郎の門弟。元は建具職人と伝えられる。前名1世芳村伊十郎。寛政6 (1794) 年2世を襲名,同9年立唄。俗に「尾張町の伊三郎」と呼ばれた。『正札附根元草摺』などの立唄をつとめ,芸の力もすぐれていた。門弟から1世芳村伊四郎,1世孝次郎,源太郎 (のちの2世松永忠五郎) らを輩出し,芳村流繁栄の基礎を築いた。

芳村伊三郎(1世)
よしむらいさぶろう[いっせい]

[生]享保4(1719)
[没]文化5(1808).10.13.
長唄芳村流家元。初め三味線方の1世杵屋正次郎に学び,のちに唄方として芳村流の祖となる。安永9 (1780) 年より芝居の唄方をつとめ,天明7 (87) 年立唄に昇進。寛政6 (1794) 年門弟伊十郎に伊三郎を譲り引退。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「芳村伊三郎」の解説

芳村伊三郎(4代) よしむら-いさぶろう

1800-1847 江戸時代後期の長唄唄方。
寛政12年生まれ。江戸にでて3代伊三郎に入門。天保(てんぽう)14年立唄となり,弘化(こうか)3年4代伊三郎を襲名した。歌舞伎「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」(「切られ与三」)の与三郎のモデルといわれる。弘化4年6月16日死去。48歳。上総(かずさ)(千葉県)出身。幼名は大助。前名は芳村伊千五郎。

芳村伊三郎(7代) よしむら-いさぶろう

1855-1920 明治-大正時代の長唄三味線方。
安政2年9月生まれ。6代芳村伊三郎の次男。声がたたないため三味線方となる。8代杵屋(きねや)六三郎の門弟となって杵屋六之助を名のり,明治20年立三味線にすすむ。26年6代芳村伊四郎,37年7代伊三郎を襲名した。三味線方で伊三郎をついだのは前例がない。大正9年8月20日死去。66歳。江戸出身。本名は桂次郎。

芳村伊三郎(5代) よしむら-いさぶろう

1832-1882 幕末-明治時代の長唄唄方。
天保(てんぽう)3年生まれ。旗本石川八五郎の次男。17歳で4代没後の伊三郎家の養子となる。芳村伊千三郎,4代芳村伊十郎をへて,安政6年5代伊三郎を襲名。伝馬町の伊三郎とよばれ,2代松島庄五郎とともに明治初期の代表的唄方として活躍した。明治15年11月24日死去。51歳。江戸出身。本名は石川清之丞。

芳村伊三郎(2代) よしむら-いさぶろう

1735-1821* 江戸時代中期-後期の長唄唄方。
享保(きょうほう)20年生まれ。初代伊三郎の門弟。建具職人から転身したといわれ,寛政6年2代伊三郎を襲名,10年立唄となる。尾張町の伊三郎とよばれ,おおくの優秀な弟子をそだてて芳村派繁栄の基礎をきずいた。文政3年11月29日死去。86歳。前名は芳村伊十郎(初代)。

芳村伊三郎(6代) よしむら-いさぶろう

1823-1902 幕末-明治時代の長唄唄方。
文政6年生まれ。29歳で3代芳村伊四郎の養子となり,安政6年4代伊四郎,翌年5代伊十郎をつぐ。文久2年江戸守田座の立唄,明治8年新富座の囃子頭(はやしがしら)となる。26年6代伊三郎を襲名。銀座の伊三郎とよばれた。明治35年5月10日死去。80歳。江戸出身。本名は中村万吉。

芳村伊三郎(3代) よしむら-いさぶろう

1754-1833 江戸時代中期-後期の長唄唄方。
宝暦4年生まれ。前身は鍛冶(かじ)職といわれる。2代伊三郎の門弟。初代芳村伊四郎,2代芳村伊十郎,2代坂田仙四郎をへて,文政7年3代伊三郎を襲名した。美声家として知られる。天保(てんぽう)4年8月20日死去。80歳。通称は中村屋平蔵。

芳村伊三郎(初代) よしむら-いさぶろう

1719-1808 江戸時代中期-後期の長唄唄方。
享保(きょうほう)4年生まれ。芳村派の祖。三味線方の初代杵屋(きねや)正次郎の唄の門弟。安永9年江戸市村座に初出演,天明7年立唄となる。寛政6年初代芳村伊十郎に2代をゆずり引退した。文化5年10月13日死去。90歳。

芳村伊三郎(8代) よしむら-いさぶろう

芳村伊十郎(よしむら-いじゅうろう)(6代)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の芳村伊三郎の言及

【芳村伊十郎】より

…長唄の唄方。伊十郎名義は元来,芳村派の家元名芳村伊三郎の控え名として用いられてきたが,3世と7世は伊三郎を襲名していない。伊十郎は現在まで8世を数えるが,6世と7世が著名。…

【杵屋栄蔵】より

…著書には《長唄のうたひ方》《続長唄のうたひ方》がある。芳村の家元9世芳村伊三郎および大薩摩文太夫の名前も兼ねる。日本芸術院会員。…

※「芳村伊三郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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