五岳(読み)ごがく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「五岳」の意味・わかりやすい解説

五岳
ごがく

中国古来の信仰にみられる五大名山の総称東岳泰山(たいざん)(山東省)、南岳衡山(こうざん)(湖南省)、西岳華山(陝西(せんせい)省)、北岳恒山(こうざん)(山西省)、中岳嵩山(すうざん)(河南省)をさす。中国では古くから山・山神の崇拝がみられたが、しだいに著名な崇拝対象となる中心的山岳が生まれた。初めは『尚書(しょうしょ)』堯典(ぎょうてん)にみられるように東西南北の四岳であったが、代に五行思想を背景として武帝が嵩山を祭祀(さいし)してからほぼ五岳として固まり、宣帝の紀元前61年五岳の国家祭祀が確定した。中岳、東岳、西岳は当初から変わっていないが、南岳は6世紀末、安徽(あんき)省の天柱山から衡山に、北岳は15世紀末、河北省曲陽県の恒山から山西省渾源(こんげん)県の恒山に移された。

[船越昭生]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「五岳」の解説

ごがく【五岳】

長野の日本酒。酒名は、蔵を囲む戸隠飯綱、黒姫、妙高、斑尾の北信五岳に由来。精米歩合35%で仕込む純米吟醸酒。原料米は山田錦。仕込み水は千曲川水系の伏流水蔵元の「今井酒造店」は元禄4年(1691)創業。所在地は長野市大字小島。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

デジタル大辞泉 「五岳」の意味・読み・例文・類語

ご‐がく【五岳】

中国で古来崇拝された五つの霊山前漢時代、五行思想の影響により生じた泰山(東岳・山東省)・華山(西岳・陝西せんせい省)・衡山(南岳・湖南省)・恒山(北岳・山西省)・嵩山すうざん(中岳・河南省)をいう。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版 「五岳」の意味・わかりやすい解説

ごがく【五岳 Wǔ yuè】

中国の五大名山,すなわち東岳泰山,南岳衡山,西岳華山,北岳恒山,中岳嵩山(すうざん)の総称。五嶽とも書く。神仙の住む所とされ,歴代多くの帝王がみずから祭祀を行った。とくに泰山には群臣を率いて参拝し,封禅儀式を行った。五岳については《爾雅(じが)》釈山篇の記述が根拠となっているが,戦国時代(前4~前3世紀)に五行思想の影響のもとに五岳の観念が生じたといわれる。国家祭祀の制度としては漢の武帝に始まり,漢の宣帝が確定した。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

普及版 字通 「五岳」の読み・字形・画数・意味

【五岳】ごがく

五嶽。

字通「五」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「五岳」の解説

五岳 ごがく

平野五岳(ひらの-ごがく)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典内の五岳の言及

【山】より

…たとえば《山海経(せんがいきよう)》には,天下の名山は5370,そのうち銅を産出する山は467,鉄を産出する山は3690と数えている。それら諸名山の代表は五岳,すなわち東岳の泰山(山東省),西岳の華山(陝西省),南岳の衡山(湖南省),北岳の恒山(河北省),中岳の嵩山(すうざん)(河南省)の五山であり,三公の地位になぞらえられて天子が祭りを行った。なかでも東岳泰山は,死者の霊魂が集まる冥府の所在地と考えられ,また,しばしば封禅の儀式が行われたところとして有名である。…

※「五岳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

旅券返納命令

外務大臣や領事官が旅券(パスポート)を返納させる必要があると認めたとき、旅券の名義人に対し、期限を設けて旅券の返納を命ずることができる規則。申請時に虚偽の記載があったときや旅券の記載事項の訂正をした場...

旅券返納命令の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android