中国の五大名山,すなわち東岳泰山,南岳衡山,西岳華山,北岳恒山,中岳嵩山(すうざん)の総称。五嶽とも書く。神仙の住む所とされ,歴代多くの帝王がみずから祭祀を行った。とくに泰山には群臣を率いて参拝し,封禅の儀式を行った。五岳については《爾雅(じが)》釈山篇の記述が根拠となっているが,戦国時代(前4~前3世紀)に五行思想の影響のもとに五岳の観念が生じたといわれる。国家祭祀の制度としては漢の武帝に始まり,漢の宣帝が確定した。当時は南岳は霍山(かくざん)(安徽省天柱山)であったが,隋以後,南岳は湖南省衡山に改められ,北岳ももとは河北省曲陽県の大茂山が恒山とされていたが,明以後,山西省渾源(こんげん)県の玄武峯を恒山と呼ぶことになった。
執筆者:河野 通博
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中国古来の信仰にみられる五大名山の総称。東岳泰山(たいざん)(山東省)、南岳衡山(こうざん)(湖南省)、西岳華山(陝西(せんせい)省)、北岳恒山(こうざん)(山西省)、中岳嵩山(すうざん)(河南省)をさす。中国では古くから山岳・山神の崇拝がみられたが、しだいに著名な崇拝対象となる中心的山岳が生まれた。初めは『尚書(しょうしょ)』堯典(ぎょうてん)にみられるように東西南北の四岳であったが、漢代に五行思想を背景として武帝が嵩山を祭祀(さいし)してからほぼ五岳として固まり、宣帝の紀元前61年五岳の国家祭祀が確定した。中岳、東岳、西岳は当初から変わっていないが、南岳は6世紀末、安徽(あんき)省の天柱山から衡山に、北岳は15世紀末、河北省曲陽県の恒山から山西省渾源(こんげん)県の恒山に移された。
[船越昭生]
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…たとえば《山海経(せんがいきよう)》には,天下の名山は5370,そのうち銅を産出する山は467,鉄を産出する山は3690と数えている。それら諸名山の代表は五岳,すなわち東岳の泰山(山東省),西岳の華山(陝西省),南岳の衡山(湖南省),北岳の恒山(河北省),中岳の嵩山(すうざん)(河南省)の五山であり,三公の地位になぞらえられて天子が祭りを行った。なかでも東岳泰山は,死者の霊魂が集まる冥府の所在地と考えられ,また,しばしば封禅の儀式が行われたところとして有名である。…
※「五岳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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