(読み)ニジ(英語表記)rainbow

翻訳|rainbow

デジタル大辞泉 「虹」の意味・読み・例文・類語

にじ【虹/×霓】

雨上がりに、太陽と反対方向の地表から空にかけて現れる7色の円弧状の帯。空中の水滴によって太陽光が分散されて生じる。外側が赤、内側が紫の主虹(第一次虹)のほかに、離れてその外側に、色の配列が逆の副虹(第二次虹)が見えることがある。 夏》「―立ちてたちまち君の在るごとし/虚子
[補説]現代日本では一般に、せきとうおうりょくせいらんの7色と考えるが、時代や文化により認識される色数は異なる。
書名別項。→
[類語]グローリーブロッケン現象御来迎かさ

にじ【虹】[書名]

《原題The Rainbowローレンスによる長編小説。1915年刊。中部イングランドの農場を舞台に、3代にわたる父子の愛欲と結婚の諸相を描く。刊行当初、性描写がわいせつであるとの理由で発禁処分を受けた。
千家元麿の第2詩集。大正8年(1919)刊。
藤井重夫の小説。大阪の戦災孤児たちを描いた作品。昭和40年(1965)発表。同年、第53回直木賞受賞。

こう【虹】[漢字項目]

常用漢字] [音]コウ(漢) [訓]にじ
にじ。「虹霓こうげい白虹
にじのような。「虹彩

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精選版 日本国語大辞典 「虹」の意味・読み・例文・類語

にじ【虹・霓】

  1. 〘 名詞 〙 大気中の水滴に太陽の光が屈折・反射して太陽の反対方向の空中にできる七色の弧状をした帯。外側が赤で内側が紫色の第一の虹の外側には、まれに色の順序が反対な第二の虹が見られ、さらに過剰虹という薄い虹が見られることがある。ぬじ。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「是(ここ)に日の虹(ニシ)の如く耀きて、其の陰上に指す」(出典:古事記(712)中(兼永本訓))
    2. 「虹たるるもとや樗(あふち)の木間より」(出典:俳諧・春泥句集(1777)夏)

虹の補助注記

「金光明最勝王経音義」の記述「虹 爾自(平軽平)」から、ニジは「」であり、第一拍の中で下降するような発音、あるいは長呼していたことがわかる。


のじ【虹】

  1. 〘 名詞 〙 「にじ(虹)」をいう上代東国方言。
    1. [初出の実例]「伊香保ろのやさかの堰(ゐで)に立つ努自(ノジ)の顕(あらは)ろまでもさ寝をさ寝てば」(出典:万葉集(8C後)一四・三四一四)

ぬじ【虹】

  1. 〘 名詞 〙 にじ。のじ。
    1. [初出の実例]「丙寅に法令(のりのふみ)を造る。殿の内に大虹(ヌシ)有り」(出典:日本書紀(720)天武一一年八月(北野本訓))

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改訂新版 世界大百科事典 「虹」の意味・わかりやすい解説

虹 (にじ)
rainbow

雨上りのときなどに,太陽と反対側に,地表から空にかけて現れる美しい色彩の円弧を虹という。普通われわれの見る虹は視半径が外側の赤の部分で約42度,内側の紫の部分で約40度であり,その間にスペクトルに分光された色の光が並んでいる。これが〈主虹(しゆにじ)〉である。この主虹の外側に,もっと大きい視半径の〈副虹(ふくにじ)〉を見ることがある。この方は色の並び方が主虹とは反対で,外側が紫で,内側が赤,視半径は紫の部分で約54度,赤の部分で約50度である。そして主虹と副虹の間の部分の空は,ほかの部分よりも暗くなっている。また山で出会うにわか雨の上がった場合などには,主虹の内側に,分光されたスペクトルの色の光が何回も繰り返されているのが見えることがあるが,これは〈過剰虹(かじようにじ)〉といわれるものである。よく虹の七色とか,五色の虹とかいわれるが,その色の光は,太陽光が屈折率の差でスペクトルに分かれて見えるものだから,5色とか7色とかに限られるわけではなく,本来赤から紫まで連続した波長のもので,ただその中で七つか五つの代表的な色の名前を呼んでいるだけのことである。

 主虹は太陽光線が水滴に入るときに屈折,水滴の内面で全反射を1回,水滴を出るときに屈折をもう1回することでできるものである。このとき光の波長(つまり色)によって屈折率がちがうので,紫では入射光線と40度の方向,赤では42度の方向へ戻っていくものが強くなる。これはプリズムで屈折して光線の方向が変わるときの,最小偏角の方向に相当するものである。同じ理由で主虹の輪に囲まれた内側の空は明るいが,外側の空は屈折して入りこむ光が少ないから暗く見える。副虹の場合は,光線の水滴への出入りで屈折を2回,水滴の内面で全反射を2回繰り返してできる(図1)。

 水滴が大きいときには,虹の色は鮮やかで,太陽スペクトルのいわゆる7色が全部見えるが,水滴が小さくなると,色ははっきりしなくなり,霧雨や霧の場合はただぼんやりした白い帯になって見える。これが〈霧虹(きりにじ)〉とか〈白虹(はくこう)〉とかいわれるものである。雨滴が大粒で色の鮮やかな虹と,このぼんやりした白い霧虹との中間の粒の大きさのときには,虹の中に赤色が見えず,幅が広くなり,全体として青みを帯び,過剰虹は帯黄色から,白っぽくなるという経過をとる。図1では幾何光学を使って簡単に説明しており,これで虹のできかたの大要はわかるのであるが,粒が小さくなったときの色の変化や,過剰虹のできかたなどは波動光学的なめんどうな取扱いをしないと説明できない。

 図2の説明でもわかるように半頂角約40度の円錐の上にある水滴に色がついて見えるものだから,日没時ならばだいたい半円形の虹が見られるが,午後の早い時刻で太陽がまだ高いときには,地平線に近い所に虹の円弧の頂点付近だけしか見られない。滝の付近では水滴がたくさんあるので,太陽を背にして水を見ると虹の見えることが多い。人工的な噴水でも,また庭でじょうろで草花に水をやるような場合でも,虹の現象が見られる。(かさ),光冠グローリーなども空に見える光の現象としては共通しているが,暈は空に浮かんでいる微細な氷晶による光の屈折と反射,光冠やグローリーは空に浮かんでいる微水滴による光の回折現象,そして虹は雨滴に出入りするときの光の屈折と反射によって起こるという点にちがいがある。
執筆者:

神話においては,虹は天と地を結ぶ通路として,神々によって造られた橋とされ,北欧神話では,世界の終りの時まで,ヘイムダルという神がその番をしている。この世の終りには,この橋は巨人や魔物の軍勢が天界に攻め上る通路に使われ,そのとき重みによって崩壊するという。このような虹の橋の観念は北アメリカの原住民にも,カナダ北西部からメキシコまで広く見いだされる。プエブロ族は神話的祖先カチナたちが,毎年冬になると虹の橋を渡って降りてきて,彼らのあいだに滞在すると信じており,ナバホ族も,虹を神々の旅の通路とみなしている。ギリシア神話では虹は,イリスという名の女神で,神々の使者の役をつとめ,天地のあいだを往来する。旧約聖書には,神がノアと交わした,洪水を起こして人類と他の生物を滅ぼすことをもうしないという約束を覚えていることを示すために,雲間に出現させる〈契約〉のしるしであると記されている(《創世記》9:13)。日本神話の冒頭でも,伊弉諾(いざなき)と伊弉冉(いざなみ)が〈天の浮橋〉の上に立って矛で下界をかきまぜ,最初の陸地を創造したと物語られているが,これも虹を示すと考えられる。

 虹を巨大な蛇とみなす観念も,古代中国など多くの地域に見られる。オーストラリアのアボリジニーのあいだでは,〈虹蛇〉は一般に世界を創造した最高神で,男女両性を具有し,水と豊穣をつかさどり,呪医たちに能力を授けると信じられている。アフリカ西海岸のヨルバ族の信仰では,虹は地下に住む大蛇で,空に現れるのは水を飲むためとされている。西アフリカのエウェ語を話す人びとのあいだでは,虹は海中に住む大蛇で,尾を下にして海面に立ち,空の水を飲むと信じられている。南アメリカの原住民の多くに共通して見いだされる神話によれば,虹はもとは小さな水蛇だったが,1人の少女に捕らえられ飼われているうちに,たちまち巨大に成長し,世界中を人間をのみながらまわった。しまいに鳥たちが協力してこの怪物を殺し,その血にめいめいが羽を浸したので,そのときから鳥たちは,さまざまな色彩の美しい羽毛によって種類が区別されるようになった。

 古代中国では,虹は不吉な現象で,決して指さしてはならぬとされていたが,北アメリカでも,ダコタ族ホピ族などのあいだで,虹を指さすことはタブーとされている。ヨーロッパには,虹の下を通り抜けると男が女に,女が男に変わるという言い伝えが広く見いだされる。ルーマニア民間信仰によれば,虹の両端は常に川面に接している。その端のところに四つばいではっていき,そこの水を飲めば,だれでも性が変わるという。ヨーロッパにはまた,虹の端が地面に接する所には,黄金の詰まった壺など宝物が見いだされるという言い伝えも広く流布している。虹の端に宝があるという信仰は,マレー半島などにも見いだされ,セマン族は,虹の端の触れた場所を不吉とみなしている。
執筆者:


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百科事典マイペディア 「虹」の意味・わかりやすい解説

虹【にじ】

雨,霧,水しぶきなど空中の微小な水滴によって太陽光線が分光されて見られる7色(赤・橙(だいだい)・黄・緑・青・藍(あい)・紫)の美しい弧。色光の屈折率の相違により現れる。太陽を真後ろにした方向に見られ,その視半径は普通見られる主虹(しゅにじ)が約42°〜40°,主虹の外側にうすく見られる副虹(ふくにじ)が約54°〜50°。色の順序は主虹では外側が赤,内側が紫であり,副虹はその反対で,内側が赤となる。
→関連項目過剰虹

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「虹」の意味・わかりやすい解説


にじ
rainbow

降雨の前後,空中にかかる円弧状の大気光象。太陽光が空中に浮遊する水滴によって屈折,反射させられるときにでき,太陽を背にして,観測者の前方で雨が降っているときに現れる。その視半径の角度 40~42°に主虹が,角度 50~54°に副虹が現れる。主虹のスペクトルは外側から赤,橙,黄,緑,青,藍,紫の順。副虹のスペクトルはその逆であるが,輝きは主虹よりかなり弱い。月の光によってできる虹もあるが,太陽に比べ月の光はかなり弱いため,まれにしか見ることができない。


にじ
The Rainbow

イギリスの小説家 D.H.ロレンスの小説。 1915年刊。ブラングウェン家の3代にわたる恋物語。肉体的交渉の背後にある神秘的な生命の交流を描こうとしているが,当時としては型破りの大胆な性愛描写のため発禁処分を受けた (1926年に改訂版,のち初版本に返った) 。『恋する女たち』はその続編。

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デジタル大辞泉プラス 「虹」の解説

虹〔ドラマ〕

NHKのドラマシリーズ「朝の連続テレビ小説」の作品のひとつ。1970年4月~1971年4月放映。脚本:田中澄江。音楽:広瀬量平。出演:南田洋子、仲谷昇ほか。戦時中・戦後の混乱の中、たくましく生きる大学講師のかな子の姿を描く。

虹〔曲名:福山雅治〕

日本のポピュラー音楽。歌はシンガーソングライターで俳優の福山雅治。2003年発売。同年フジテレビ系で放送のドラマ「WATER BOYS」の主題歌に起用。2003年オリコン年間シングルチャート第2位。

虹〔曲名:SPYAIR〕

日本のポピュラー音楽。歌は日本のバンド、SPYAIR。2013年発売。作詞:MOMIKEN、作曲:UZ。TBS系で放送のドラマ「潜入探偵トカゲ」の主題歌。

虹〔曲名:Aqua Timez〕

日本のポピュラー音楽。歌は日本のバンド、Aqua Timez。2008年発売。作詞・作曲:太志。日本テレビ系で放送のドラマ「ごくせん」の主題歌。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【北欧神話】より

…アース神たちは地上から天へビルロストBilröstという橋をかけた。虹と呼ばれているのがそれである。ボルの子らはまた天体もつくった。…

※「虹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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