(読み)コウ

デジタル大辞泉 「衡」の意味・読み・例文・類語

こう【衡】[漢字項目]

常用漢字] [音]コウ(カウ)(漢) [訓]はかり はかる
はかり。はかりのさお。「権衡度量衡
目方をはかる。また、適否をはかる。「衡量銓衡せんこう
平らにつりあいがとれる。「均衡平衡
横。「連衡
[名のり]ちか・ひで・ひとし・ひらひろ・まもる

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精選版 日本国語大辞典 「衡」の意味・読み・例文・類語

こうカウ【衡】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 重さをはかる器具。はかり。また、はかりのさお。
    1. [初出の実例]「衡(をもり)製法。衡者以古銭一枚火上、則如沫者発也」(出典:楽家録(1690)一〇)
    2. [その他の文献]〔礼記‐経解〕
  3. 重さの度合。目方をはかる標準。日本では、以前は貫、現在はグラムを基本とする。はかりめ。重量。目方。〔史記抄(1477)〕
  4. 事物軽重をはかりくらべること。〔淮南子‐主術訓〕
  5. たいら。公平。また、公正を維持すること。つり合いのとれていること。〔書経‐太甲上〕
  6. 牛の二本の角に横に結び付けて人に触れるのを防ぐ木。つのぎ。
    1. [初出の実例]「牛の頸の上にをく横なる衡の辺に道があるぞと云われたを」(出典:史記抄(1477)一一)
    2. [その他の文献]〔説文解字〕

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普及版 字通 「衡」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

[字音] コウ(カウ)
[字訓] くびき・よこ・はかり

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
行+角+大。行は道。角は牛角。大は牛身。つのぎをつけた牛を正面よりみた形。〔説文〕四下に「牛の觸るる大木なり」と衡(ふくこう)の意とし、「角大に從ひ、行(かう)聲」の字とするが、〔説文〕行部二下の行を左右に分書するものに行声の例がなく、行は限定符とみるべく、中央が象形字である。すなわち牛が道路をゆくとき、危険を防ぐため衡を用いる意。金文の車服賜与形式の冊命(さくめい)の文に「衡(さくかう)」を賜う例が多く、(ながえ)の前端の横木と軛(くびき)など、車服一式に及ぶ例が多い。角に横にわたすものであるから横の意に用い、合縦連衡のようにいう。

[訓義]
1. 牛のつのぎ。
2. くびき、牛馬の首にかける曲木。衡軛というように、衡の一部をなす。
3. よこ、よこにわたすもの、屋上のよこぎ、冠をとめるこうがい、建物のてすり、かぶき門。
4. はかり、はかりざお。権(おもり)を用いて左右の均衡をとり、重さをはかる。はかる、ひとしい、たいらか。
5. と通じ、佩玉。佩玉の首に衡をおき、左右の系に玉を連ねて垂らす。金文に「幽」という例が多く、幽黄は文献にいう幽衡にあたる。
6. 中心点に位置するもの、鐘の柄の上部、鐘をかけるところ、渾天儀心棒のところ。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕衡 久比木(くびき) 〔名義抄〕衡 ヒラナリ・ハカリ・ハカリノオモシ・ヨコタフ・タヒラカニ・イタヅラ・ヨコサマ・イビキ 〔字鏡〕衡 ヨコサニ・イタヅラ・ハカラフ・ハサム・ワヅカ・ヨコタフ・クビキ・イヱ・カウガフ・ヨロシ・ヒトシ・カク・ヒラナリ・マツク・タヒラカナリ・ハカリ・ハカリノオモシ

[語系]
衡・・桁heang、(横)hoang、huangは声近く、みな横長のもの、横さまのものをいう。(黄)は佩玉の象形ともみられる字で、その上部の横にわたる玉を衡という。

[熟語]
衡宇・衡蓋衡嶽衡鑑衡軌衡虚衡均衡撃・衡決・衡権・衡言衡抗・衡・衡行・衡才衡宰・衡視・衡軸・衡称・衡縦・衡任・衡石・衡総・衡直・衡度・衡文・衡平・衡縫・衡茅・衡木・衡命・衡門・衡軛・衡里・衡量・衡廬・衡鹿
[下接語]
玉衡・均衡・権衡・持衡・称衡・銓衡・争衡・衡・平衡・幽衡・連衡

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【度量衡】より


[語義と出典]
 度,量,衡の3文字は順に,長さ,体積,質量を意味し,同時にそれぞれをはかるための道具(ものさし,枡,はかり)や基準を意味する。なお衡と類縁の文字で権(けん)というのもあるが,これは,はかりそのものではなく,分銅のほうを指す。…

【はかり(秤)】より

天秤(てんびん)秤量法【小林 好夫】
【日本のはかり】

[古代]
 古代には物の重量を表す単位として〈斤(きん)〉が使用されることが一般であったが,〈斤〉はまた〈はかり〉を意味する場合もあった。度量衡の制は税制とも深く関係するため,国家による画一的規制は緊急の課題であった。《新撰姓氏録》や《扶桑略記》には舒明天皇のころはかりの制が定められたとの記事もあるが,法文上での明示を知りうるのは701年(大宝1)の大宝令からで,その条文は現存しないが,度量衡の規定は養老令と変わりなかったことが知られる。…

※「衡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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