解ける（読み）ホドケル

デジタル大辞泉

ほど・ける【^▽解ける】

［動カ下一］［文］ほど・く［カ下二］
１ 結んだり、縫ったり、もつれたりしたものがとけて離れる。とける。「帯が―・ける」
２ 気持ちが和らぐ。うちとける。「緊張が―・ける」
[類語]ほつれる・綻びる・ほどく・解く・解ける・ほぐす・ほぐれる・ときほぐす・ふりほどく

と・ける【解ける】

［動カ下一］［文］と・く［カ下二］
１ 結んであったものが、自然とはなれたりゆるんだりする。ほどける。「帯が―・ける」「靴ひもが―・ける」
２ 束縛から解放されて自由になる。命令や規制などが解除される。「停職が―・ける」「謹慎が―・ける」
３
㋐心のわだかまり、不快に思う気持ちなどが消えてなくなる。「怒りが―・ける」「緊張が―・ける」
㋑心のへだたりがなくなる。うちとける。
「人の情なさけに―・けたと見える」〈鏡花・歌行灯〉
４ わからなかったところがはっきりする。答えが得られる。「問題が―・ける」「暗号が―・ける」「疑義が―・ける」
[類語]ほどく

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

と・ける【解】

1. 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
   [ 文語形 ]と・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙
2. ① 結ばれていたものがわかれ離れる。結び目がほどける。
   1. [初出の実例]「昼解けば等家(トケ)なへ紐のわが背なに相寄るとかも夜等家(トケ)やすけ」(出典：万葉集（８Ｃ後）一四・三四八三)
   2. 「赤紐のとけたるを、これ結ばばやと言へば」(出典：枕草子（１０Ｃ終）八九)
3. ② 腹立ち・不機嫌・恨み・悲しみなど、心のわだかまりが消える。
   1. [初出の実例]「一切の怖畏と煩悩と逼切とを、皆解(トクル)こと得しむるに、なりぬ」(出典：西大寺本金光明最勝王経平安初期点（830頃）三)
   2. 「胸の鬱結(むすぼれ)も解けてむしゃくしゃも消え消えになり」(出典：浮雲（1887‐89）〈二葉亭四迷〉一)
4. ③ 心のへだてがなくなる。なれ親しむ。うちとける。
   1. [初出の実例]「万代に心は刀気(トケ)てわが背子がつみし手見つつ忍びかねつも」(出典：万葉集（８Ｃ後）一七・三九四〇)
   2. 「六条わたりにもとけがたかりし御けしきをおもむけきこえ給てのち」(出典：源氏物語（1001‐14頃）夕顔)
5. ④ 安らかな心になる。安心する。
   1. [初出の実例]「うれしみと 紐の緒解きて 家の如 解(とけ)てそ遊ぶ」(出典：万葉集（８Ｃ後）九・一七五三)
6. ⑤ 役目・責任・契約・制限など、束縛となるものが除かれる。
   1. [初出の実例]「左近将監とけて侍りける時に」(出典：古今和歌集（905‐914）雑下・九六三・詞書)
7. ⑥ 防備・警戒・包囲などのためにとっていた態勢がゆるめられる。解かれる。
   1. [初出の実例]「余が是を持って出で御固(おかた)めの解けるまで其の穴の中にもぐって居れ」(出典：落語・出世の鼻（1892）〈禽語楼小さん〉)
8. ⑦ 組織されたものがばらばらになる。解散する。
   1. [初出の実例]「兄の家塾が解けて以来、一人熊本に取残されて居たが」(出典：黒い眼と茶色の目（1914）〈徳富蘆花〉四)
9. ⑧ 疑問や問題に対する答えが出る。また、よくわからなかった点がはっきりして了解される。〔文明本節用集（室町中）〕
   1. [初出の実例]「この疑問は遂に解けた例しが無い」(出典：春潮（1903）〈田山花袋〉一一)

ほど・ける【解】

1. 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
   [ 文語形 ]ほど・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙
2. ① かたく閉じていたもの、結ばれていたものなどがとけ分かれる。とけ離れる。とける。
   1. [初出の実例]「あをやぎのいろのいとにてむすびてしかれははとけで春ぞくれぬる〈略〉縒れ葉ほどけでと書けるもあり」(出典：今鏡（1170）九)
3. ② 疑いが晴れる。理解できる。とける。
   1. [初出の実例]「かやうかやうといはせも果てず、いやそれにてはほどけぬ」(出典：浄瑠璃・鎌倉袖日記（1688‐1704頃）二)
4. ③ 気持が和らぐ。また、口が軽くなる。うちとける。
   1. [初出の実例]「是から口がほどけて来てしばらくの酒盛」(出典：浮世草子・傾城禁短気（1711）一)

出典　精選版 日本国語大辞典