通ずる(読み)ツウズル

デジタル大辞泉 「通ずる」の意味・読み・例文・類語

つう・ずる【通ずる】

[動サ変][文]つう・ず[サ変]
道筋が他とつながる。また、道筋をつける。
㋐道路などがある所まで達する。また、交通機関が通る。「国道へ―・ずる道」「駅までバスが―・ずる」
㋑何かを伝って到達する。また、届かせる。「電話が―・ずる」「電流を―・ずる」
大小便が出る。
「厠で恐しく―・じたり吐いたりしたが」〈滝井無限抱擁
意志やものの意味などが相手に伝わる。また、伝える。「冗談が―・じない」「気脈を―・ずる」
ある物事の詳しい知識をもつ。精通する。「内情に―・ずる」
広く行き渡る。広い方面に通用する。「あだ名で―・ずる」「現代にも―・ずる問題」
相手とつながりをもつ。また、つながりをつける。
㋐ひそかに敵方と連絡する。内通する。「敵に―・ずる」
異性と関係をもつ。「人妻と―・ずる」「情を―・ずる」
(「…を通じて」の形で)
㋐全体に及ぼす。包括する。「一年を―・じて暖かい」「全国を―・じて流行する」
媒介とする。「友人を―・じて知り合う」「テレビを―・じて訴える」
[類語](1通う共通通有普遍同一一律一つ類似相似酷似近似似たり寄ったり類縁髣髴通底するいつにする/(2伝える知らせる報ずる告げる言い送る申し送る申し伝える申し越す申し渡す言い渡す達する伝達する通知する連絡する通告する通達する下達する令達する口達するコミュニケートする取り次ぐ伝言する宣する知らす触れる話す/(3熟知知悉通暁精通知り尽くす知り抜く詳しい

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精選版 日本国語大辞典 「通ずる」の意味・読み・例文・類語

つう‐・ずる【通】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]つう・ず 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. 道路などがある地点まで達する。道筋がつながって、ある地点まで行けるようになる。また、交通機関が通る。とどく。つながる。
      1. [初出の実例]「駅路東に通ぜり」(出典:海道記(1223頃)豊河より橋本)
      2. 「東京への汽車が略通(ツウ)ずる様になった頃」(出典:思ひ出す事など(1910‐11)〈夏目漱石〉一二)
    2. 物事がある道筋にそって動いて行く。電流・大小便などが通る。
      1. [初出の実例]「ショウベンガ tçûzuru(ツウズル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    3. 意思、感情、ことば、ものの意味などが相手に伝わる。また、それらを理解する。
      1. [初出の実例]「上の心に下通(ツウ)ぜずして終滅亡に及びき」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)
      2. 「一法纔(わず)かに通ずれば万法通ず」(出典:正法眼蔵(1231‐53)画餠)
      3. 「いや、お待ちなされい、文意は通じても、詩義が通じ申さぬ」(出典:蘭学事始(1921)〈菊池寛〉七)
    4. ものごとを詳しく知る。詳しい知識を持つ。精通する。悟る。
      1. [初出の実例]「両頭を切断してより尺八寸のうち古今につうず」(出典:虎明本狂言・楽阿彌(室町末‐近世初))
      2. 「西洋の事情に通ずる者が古史伝説を考究し」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二)
    5. 広くゆきわたる。世間一般に通用する。
    6. 共通する。意義が同じ、あるいは類似する。
      1. [初出の実例]「今此は即祚てありさうなぞ、祚と阼と通して用るか」(出典:史記抄(1477)八)
    7. 互いに信頼する。親しく交わる。味方となる。また、ひそかに敵方などと結ぶ。内通する。
      1. [初出の実例]「聞持すといへども心もし通ぜずんば、徒にとなりの宝を算ふるがごとし」(出典:伝光録(1299‐1302頃)阿難陀尊者)
      2. 「東国王化に順ひて、御方に通ずる者少なかりければ」(出典:太平記(14C後)一六)
    8. 男女が情をかわす。密通する。
      1. [初出の実例]「我今、何の故にか釈種として、奴婢の生ぜる王と通ぜむと」(出典:今昔物語集(1120頃か)二)
      2. 「誤て密夫に通じ父母の怒りに遇ふて」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二九)
    9. 運がひらける。出世する。栄達する。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]つう・ず 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. 道路などをある地点まで通す。道筋をつける。つなげる。とどかせる。
      1. [初出の実例]「曲路一径を通(ツウ)じて、両山屏風を建たるごとく、道幅僅に一丈には過ぎざりけり」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)拾遺)
    2. 使者などを目的地に行かせる。また、物などを相手に差し出したり、手紙を届けたりする。「刺を通ずる」
      1. [初出の実例]「国々へ潜に使を通して、旧功の輩(ともがら)をあつめられけるに」(出典:太平記(14C後)一九)
      2. 「インシンヲ tçǔzuru(ツウズル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    3. 伝える。知らせる。告げる。また、物事を理解させる。
      1. [初出の実例]「内証から旦那殿へ通(ツウ)じ」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)六)
    4. 広く全体に物事を及ぼす。行きわたらす。すべてを包括する。「一年を通じて」
      1. [初出の実例]「全部通じて七冊とす」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉一)
    5. 互いに信頼して心をかよわせる。「気脈を通ずる」
      1. [初出の実例]「其の時に、此の心を通ずる烏、此の御行を見て、驚き騒て」(出典:今昔物語集(1120頃か)五)
    6. 媒介とする。なかだちとする。「ラジオを通じて訴える」
      1. [初出の実例]「其後も副院長を通(ツウ)じてよろしくと云ふ言伝が時々あった」(出典:思ひ出す事など(1910‐11)〈夏目漱石〉二)
    7. 物事をある道筋に従って動かす。とおす。

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