贖う(読み)アガナウ

デジタル大辞泉 「贖う」の意味・読み・例文・類語

あがな・う〔あがなふ〕【×贖う/購う】

[動ワ五(ハ四)]《「あかう」から》
(贖う)罪のつぐないをする。「死をもって罪を―・う」
(購う)あるものを代償にして手に入れる。また、買い求める。「大金を投じて古書を―・う」
[可能]あがなえる
[類語](2買う購入購買買い取る買い上げる買い入れる買い込む買い受ける買い切る買い戻す買い漁る買い叩く仕入れる買収

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「贖う」の意味・読み・例文・類語

あが・うあがふ【贖・購】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙 ( 古くは「あかう」 )
  2. ( 贖 ) 物を代償として出して、罪などのつぐないをする。また、物を神に捧げて、罪を払い、命の長久を求める。あがなう。
    1. [初出の実例]「韓(から)媛と葛城(かつらき)の宅七区(ななところ)とを奉献りて、罪(しぬつみ)を贖(アカハ)むことを請(う)けたまはらむ」(出典:日本書紀(720)雄略即位前(前田本訓))
    2. 「中臣の太祝詞(ふとのりとごと)言ひ祓(はら)へ安賀布(アカフ)命も誰(た)がために汝(なれ)」(出典:万葉集(8C後)一七・四〇三一)
  3. ( 購 ) 代償を払って、そのものを自分の自由にする。買う。あがなう。
    1. [初出の実例]「亀の命を贖(アカヒテ)放生し〈興福寺本訓釈 贖 阿可比天〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)

贖うの語誌

( 1 )室町後期頃に「あがなふ」が用いられるようになり、近世になると「あがふ」を使う例は稀になる。
( 2 )「あがふ」「あかふ」の清濁について、挙例の「万葉‐四〇三一」は大伴家持の作であるが、家持は「賀」字を清音に使用する傾向があった。「観智院本名義抄」では「贖」字の訓「アカフ」に付された声点一つなので、平安末頃まで第二音節は清音と考えられる。「倭玉篇諸本また「字鏡抄」「字鏡集」や抄物でも第二音節に濁点の施された例を見ず、中世も清音であった可能性が高い。


あがな・うあがなふ【贖・購】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 古くは「あかなう」。動詞「あがう」の語幹接尾語「なう」のついた語 )
  2. ( 贖 ) 罪のつぐないをする。罪滅ぼしのために金、物品などを出す。埋め合わせをする。あがう。
    1. [初出の実例]「贖 アカナフ」(出典:和玉篇(15C後))
  3. ( 購 ) 何かを代償として別のあるものを手に入れる。また、買い求める意の、改まった言い方。あがう。
    1. [初出の実例]「世の中の黄金のかぎり身につけて、まだ見ぬ山を皆あがなはむ」(出典:東西南北(1896)〈与謝野鉄幹〉)

贖うの語誌

「あかう」から派生した語で、「うらう」⇔「うらなう」、「あざう」⇔「あざなう」などの動詞がこの派生に影響を与えたと推測される。→「あがう」の語誌

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