込む(読み)コム

デジタル大辞泉 「込む」の意味・読み・例文・類語

こ・む【込む/混む/籠む】

[動マ五(四)]
一つ所に多くの人や物が集まっていっぱいになる。混雑する。また、物事一度に重なる。「銭湯が―・んでいる」「道路が車で―・む」「日程が―・んでいる」「負けが―・む」
(込む)仕組みが複雑に入り組む。精巧である。「手の―・んだ細工
(込む)動詞連用形に付いて、複合語の形で用いる。
㋐中に入る。「風が吹き―・む」「飛び―・む」「殴り―・む」
㋑中に入れる。「書き―・む」「詰め―・む」「呼び―・む」
㋒ある状態をそのままずっとしつづける。「座り―・む」「黙り―・む」
㋓すっかりその状態になる。「冷え―・む」「老い―・む」
㋔徹底的に事を行う。「教え―・む」「煮―・む」「使い―・んだ万年筆
[動マ下二]こめる」の文語形
[補説]「込」は国字1は、混雑する意では「混む」と書くことが多い。
[類語](1込み合う立て込むごった返すごたつくひしめくひしめき合う混雑する雑踏ざっとうする

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「込む」の意味・読み・例文・類語

こ・む【込・籠】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
    1. ある場所いっぱいに人や物が入り合う。また、用事などが一度に重なり合う。
      1. [初出の実例]「人げ多くこみては、いとど御心地も苦しうおはしますらむ」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日)
      2. 「今仕事が込んでゐるから手のすき次第行くとの事だった」(出典:家族会議(1935)〈横光利一〉)
    2. 複雑に入り組む。精巧に作られる。
      1. [初出の実例]「角(すみ)から角迄も手のこうだ能い普請じゃ」(出典:虎寛本狂言・子盗人(室町末‐近世初))
    3. 動詞の連用形に付けて用いる。
      1. (イ) ( 自動詞に付けて ) あるものの中に入る。「上がりこむ」「溶けこむ」「逃げこむ」など。
      2. (ロ) 十分にする。過度にする。また、長く続ける。「走りこむ」「老けこむ」「煮こむ」「寝こむ」など。
      3. (ハ) 心がとざされ、他をうけつけない状態でする。「考えこむ」「ふさぎこむ」など。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
    1. あるものの中に入れる。動詞の連用形に付けて用いられる場合も多い。「つめこむ」「流しこむ」「おしこむ」など。
      1. [初出の実例]「白銀の雉子二、腹にりうなうこみて、雉子のかはをはぎて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
      2. 「箝はものを云はせじとて口にこみてをく物ぞ」(出典:四河入海(17C前)二)
    2. 多くの矢を一か所に射込む。また、刀をぶすりとさし込む。
      1. [初出の実例]「武具の迦(はず)れ、内甲を散々にこみければ、つづく御方はなし」(出典:太平記(14C後)三四)
    3. 酒を無理じいして飲ませる。
      1. [初出の実例]「大盃の太白を以て罰盃をこみ申すべきぞ」(出典:四河入海(17C前)一五)
    4. 費用や日数を費やす。
      1. [初出の実例]「多人数の道中に日をこみ、京着延引に罷成れば」(出典:浄瑠璃・三荘太夫五人嬢(1727)一)
    5. ( のみこむ意 ) 承知する。心得る。
      1. [初出の実例]「ヱヱ、込(コン)だ込だ。妾奉公(てかけぼうこう)にやらしゃるの」(出典:浄瑠璃・義経千本桜(1747)四)
      2. 「ヲット、皆までいはんすな。込(コン)でゐる」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)四)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙こめる(込)[ 一 ]
  4. [ 4 ] 〘 自動詞 マ行下二段活用 〙こめる(込)[ 二 ]

込むの補助注記

四段活用の「こむ」は、[ 一 ][ 二 ]などのように他の動詞に下接して用いられることが多いが、「こみ合う」「こみ上げる」「こみ入る」「こみ乗る」など、他の動詞に上接して用いられることもある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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