郵便法(昭和22年法律165号)に定められた、郵便物の特殊取扱いの一種で、他の同一郵便物に優先して送達するものである。
[小林正義]
郵便規則によると、「最も速やかな運送便により遅滞なく運送する」もので、午前7時から午後5時までに配達する局に到着したものは、当日「到着後の最も速やかな速達配達便で配達」される。午後5時後から翌日午前7時前までに到着したものにあっては、翌日「午前7時以後の速達配達便のうち最も速やかなものにより配達」される。ただし午後5時以降に運送便が到着する場合は、1時間の範囲内で取扱いを繰り下げることもあり、いわゆる速達便にかけるより通常の配達便による配達が早い場合は、通常の配達によって届けられることもある。
速達郵便制度は、1911年(明治44)2月、速達郵便規則を制定し、京浜地区を対象として開設され、翌年4月大阪市内および大阪市内と京都・神戸市内の間で取扱いが開始された。全国的に実施されたのは、1937年(昭和12)のことである。小包の速達の取扱いを開始したのは、1951年である。1953年の郵便法改正に際し、航空郵便の制度を速達郵便に統合したのが現在の速達である。速達の差出しにあたっては、表面上部に朱色の横線をもって表示することになっている。
速達の利用料金は重量別に分けられ、(1)通常郵便物(手紙、はがき、刊行物など) 250グラムまで270円、1キログラム(以下キロと省略)まで370円、4キロまで630円、(2)荷物(ゆうパック、ゆうメールなど) 2キロまで310円、4キロまで460円、30キロまで570円である。書留などその他の特殊取扱いの料金を加算し、組み合せて利用もできる。
[小林正義]
前記の速達のほかに、同じく特殊取扱いとして、翌朝10時までに届ける必要のある郵便物、また、より速いスピード送達を要する郵便物を対象とする制度が開設されている。以下に3種類をとりあげる。
(1)翌朝10時郵便(モーニング10) 前日の一定時間に差し出された郵便物を、翌日の午前10時までに配達するもの。対象は、定形郵便物および定形外郵便物で、大きさは長さ40センチメートル(以下センチと省略)、幅30センチ、厚さ15センチを超えない、重量は4キロまでのもので、書留の扱いができる。料金は、通常郵便物としての料金以外に、250グラムまで330円、1キロまで360円、2キロ以上390円が加算される。集荷サービスもあり、私書箱を利用する場合は料金が60円安くなる。1995年(平成7)に東京などで実施され、その後、取扱範囲を徐々に拡大し、98年から全国実施されている。
(2)新超特急郵便 オートバイによって集荷、配達を行い、電話などで申込みがあると2~3時間で配達される。取扱地域は、東京都区内、大阪市内および隣接11市相互間、名古屋市内、札幌市内(南区の一部を除く)、福岡市内(島しょを除く)で、料金は1400円である。1か月50通以上を料金後納として利用する場合、料金の10%の割引がある。書留(簡易書留を除く)扱いにもできる。大きさ、重量は(1)と同じ。利用申込みは、銀座郵便局、名古屋中央郵便局、大阪中央郵便局、札幌中央郵便局、福岡中央郵便局内の新超特急郵便センターである。以上のシステムで、1985年からサービスを開始したが、2003年4月に廃止された。
(3)新特急郵便 おおむね午前中に差し出した郵便物が、当日の午後5時ごろまでに配達される。事前の電話申し込みを受けて、集荷と配達が行われる。利用可能な地域は、東京都区内、名古屋市内、大阪市内、札幌市内(南区の一部を除く)、福岡市(島しょを除き、受付けは中央区および博多区に限る)の同一地域内で、料金は800円である。対象は、定形郵便物および定形外郵便物で、大きさは長さ60センチメートル、長さ・幅・厚さの合計が90センチメートル以内、重さは4キログラムまでのもので、料金受取人払いと書留の扱いができる。差し出し方は、取扱地域の各集配事業所が派遣するものへの差し出し、日本郵便(郵便事業株式会社)が指定した事業所の窓口への差し出しの二通りがある。
以上の(1)(2)(3)の取扱いは、情報化時代の進展に伴う、スピード時代に対応したサービスの充実として開設されたものだが、民間企業との競争は厳しいということも、明らかにした。
[小林正義]
字通「速」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…年賀郵便を制度的に取り扱うようにしたのは06年である。また,11年には速達の取扱いが東京,横浜の市内と両都市間で初めて実施された。 第2次大戦後の49年6月,逓信省が電気通信省と郵政省に分割され,今日の郵政省が誕生した。…
※「速達」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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