逸らす(読み)ソラス

デジタル大辞泉 「逸らす」の意味・読み・例文・類語

そら・す【逸らす】

[動サ五(四)]《「反らす」と同語源。それるようにする意》
向かうべき方向目標からわきの方へ向ける。他へ転じる。「話を―・す」「視線を―・す」
とらえそこなう。逃がす。のがす。「ボールを―・す」
多く、打消しの形で)人の機嫌をそこなう。「人を―・さない応対ぶり」
[類語]よける避けるいなすかわ外すれる外れる受け流す回避忌避敬遠逃避退避退散退去退却避難待避肩透かし

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「逸らす」の意味・読み・例文・類語

そら・す【逸】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙 ( 「そらす(反)」と同語源。本来の位置、進むべき方向からそれるようにするの意 )
  2. 逃げるようにする。逃がす。のがす。
    1. [初出の実例]「夜昼これをあづかりて、とりかひ給ふほどに、いかがしたまひけむ、そらしたまひてけり」(出典:大和物語(947‐957頃)一五二)
  3. わざとねらいをはずして、わきの方に向ける。また、ねらいがはずれ、球などをうけそこなう。逸する。
    1. [初出の実例]「さて馬早く進む。又『留めよ』と云たびに、つよくうつが、そらして遠行延びぬ」(出典:梵舜本沙石集(1283)八)
  4. 視線の方向などを他へ移す。
    1. [初出の実例]「主人の顔を仰いでゐる目を逸(ソラ)さなかった」(出典青年(1910‐11)〈森鴎外〉二)
  5. 人の気分を害する。機嫌をそこなう。
    1. [初出の実例]「親疎人の目にたたぬ躰に、何をもそらさず振舞べし」(出典:六波羅殿御家訓(13C中)第八条)
  6. 他のことに言いまぎらす。話を他の話題に変える。
    1. [初出の実例]「『おお僕の手巾を未だ用ってゐるのかい〈略〉』と話頭を転(ソラ)しにかかる」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)
  7. 特に、人の不快な感情などを他のことに一時的にまぎらわす。
    1. [初出の実例]「時子の不機嫌をそらすだけのつもりだった」(出典:抱擁家族(1965)〈小島信夫〉二)

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