逸れる(読み)ソレル

デジタル大辞泉 「逸れる」の意味・読み・例文・類語

そ・れる【逸れる】

[動ラ下一][文]そ・る[ラ下二]
別の方向へ行く。目標からはずれる。「弾が―・れる」「投球が―・れる」
本筋から離れる。通るべき筋道をはずれて、思いがけない方向へ行く。「話が脇道へ―・れる」
音の調子がはずれる。
管絃の調子も―・れにけり」〈義経記・七〉
[類語]よける避けるいなすかわらす外す外れる受け流す回避忌避敬遠逃避退避退散退去退却避難待避肩透かし変則的変則変格破格イレギュラー異例珍しい異常特異異状非常別条異様奇警法外理不尽非理不条理不合理非合理脱線狂い踏み外す逸脱ずれるずれ型破り例外例外的風変わり格外

はぐ・れる【逸れる】

[動ラ下一][文]はぐ・る[ラ下二]
連れの人を見失って離ればなれになる。「人込み一行に―・れる」「群れに―・れた子羊」
その機会をのがす。「仕事に―・れる」
動詞の連用形に付いて、…する機会を失う意を表す。…しそこなう。…しそびれる。「飯を食い―・れる」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「逸れる」の意味・読み・例文・類語

そ・れる【逸】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]そ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 思いがけない方向へ飛んでいく。目的にはずれて外へ飛んでいく。〔名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「二の矢の中(あた)った所は判然せぬ。是が外(ソ)れれば、又継がねばならぬ」(出典虞美人草(1907)〈夏目漱石〉二)
  3. 予想されていた進路とは別の方向へ進む。
    1. [初出の実例]「殆ど柳之助と擦違(すれちがひ)に、すうと翥(ソ)れて小座敷へ入って了ったが」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)
  4. 物事が予想外の方向へ進展する。また、気持が他の方へ移る。
    1. [初出の実例]「左よろづにおぼしむつかりて、殊なる物の栄(はえ)なくてそれにけり」(出典:栄花物語(1028‐92頃)初花)
  5. 主要な道筋からはずれる。
    1. [初出の実例]「美濃屋は須田町の表通りを一つそれた横通りの角にあった」(出典:湯葉(1960)〈芝木好子〉)
  6. 音楽で、音の調子がはずれる。音程が狂う。〔名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「管絃の調子もそれにけり」(出典:義経記(室町中か)七)

はぐ・れる【逸】

  1. 〘 自動詞 ラ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]はぐ・る 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 連れの人を見失って離ればなれになる。
    1. [初出の実例]「あとねぢむきてみる音羽山 はくれたるつれもきけかし郭公」(出典:俳諧・新続犬筑波集(1660)二)
    2. 「こんな時に弟とはぐれてしまったことも気がかりだ」(出典:鬼剥げ(1954)〈島尾敏雄〉)
  3. 調和がとれなくなる。ぴったりしなくなる。
    1. [初出の実例]「さる程に風情が先にはててはぐるる気色あり」(出典:花鏡(1424)先聞御見)
  4. 身につけていた物などがはがされて離れる。はがれる。
    1. [初出の実例]「キモノ ガ hagureru(ハグレル)〈略〉フトン ガ hagureru(ハグレル)」(出典:和英語林集成(初版)(1867))
  5. ( 他の動詞の下に付いて ) しそこなう。機会を失う。失敗する。
    1. [初出の実例]「マイリ fagurete(ハグレテ) レイニ マイラヌ」(出典:日葡辞書(1603‐04))

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