選挙に関する事務およびこれに関係する事務を管理する合議制の執行機関で,普通地方公共団体(都道府県および市町村)に設置される(地方自治法181,186条)。それぞれ,選挙権を有する者のなかから都道府県および市町村の議会によって選挙された任期4年の委員4人をもって組織されるが,そのなかの2人が同時に同一の政党その他の政治団体に属する者であってはならない(182条)。比例代表選出の衆議院・参議院議員の選挙については自治省の付属機関である中央選挙管理会が管理にあたるが,小選挙区選出衆議院議員,選挙区選出参議院議員,都道府県の議会議員および知事の選挙については都道府県の選挙管理委員会が,市町村の議会議員および長の選挙については市町村の選挙管理委員会が管理にあたる(公職選挙法5条)。その他,選挙管理委員会は,選挙人名簿の調製・保管にあたり(19条),農業委員会,海区漁業調整委員会などの公共団体の選挙に関する事務を管理するほか,選挙に関係のある事務として,普通地方公共団体の議会議員および長の選挙および当選の効力に関する異議の申出,審査の申立てについて決定,裁決し(202,203,206,207条),条例の制定・改廃の請求,普通地方公共団体の議会の解散請求,普通地方公共団体の議会議員および長の解職請求などの事務を管理する(地方自治法74条の2,74条の3,76条,77条,80~82条)。その際,自治大臣は都道府県の選挙管理委員会を,都道府県の選挙管理委員会は市町村の選挙管理委員会を指揮監督する権限をもつ(公職選挙法5条,地方自治法186条)。
執筆者:日比野 勤
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選挙事務の管理執行を担当する行政委員会の一つ。選管と略称される。都道府県、市町村(特別区を含む)に置かれる。選挙の公正を確保するために、明治憲法下の選挙の管理執行にあたっていた知事および市町村長のかわりに、現行憲法下で特別に設けられた独立の機関であり、委員は4人、任期は4年である。各普通公共団体の議会において選挙権を有する者のなかから同数の補充員とともに選任されるが、そのなかの2人が同一の政党その他の団体に属する者であってはならない。都道府県選管は、衆議院、参議院(選挙区選出)、都道府県議会の議員および知事の選挙事務をそれぞれ管理するほか、各種委員選挙や直接請求における投票を管理し、またこれらの選挙・投票に関する争訟の決定・裁決などを行う。市町村選管は、市町村の議会の議員および市町村長の選挙に関する事務を管理する(公職選挙法5条)。
なお、従前の全国選挙管理委員会は1952年(昭和27)に廃止され、現在、衆議院ならびに参議院の比例代表選出議員の選挙事務は、総務省の付属機関である中央選挙管理会の所管となっている。委員は5人、任期は3年。
[池田政章]
『自治大学校地方行政研究会監修、川崎市選挙管理実務研究会ほか著『シリーズ市町村の実務と課題 選挙管理委員会・監査事務局』(1993・ぎょうせい)』▽『大竹邦実著『実務と研修のためのわかりやすい公職選挙法』(1996・ぎょうせい)』▽『選挙管理研究会編『選挙管理事務テキスト』各年版(中央法規出版)』
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(蒲島郁夫 東京大学教授 / 2007年)
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