日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルシン」の意味・わかりやすい解説
アルシン
あるしん
arsine
ヒ素の水素化物。水素化ヒ素、ヒ化水素ともいう。またAsH3の水素をアルキル基、アリール基、ハロゲンなどで置換した化合物たとえばAs(C6H5)3、As(C2H5)3などの総称でもある。金属ヒ化物を酸で分解するとき、またヒ素を含む物質を亜鉛とともに希硫酸で処理するとき発生する。ニンニク臭のある無色の気体。水100グラムに0.0019グラム溶ける(0℃)。エタノールにわずかに溶ける。きわめて有毒。アルシンを熱すると分解してヒ素を生ずる。これを利用したヒ素の検出法がマーシュの試験法である。塩素を通ずると燃え、ヒ素と塩化水素を生ずる。塩素水と反応する場合は亜ヒ酸、ヒ酸となる。アルシンには還元作用があり、硝酸銀溶液から銀を沈殿する。
[守永健一・中原勝儼]