アルシン(その他表記)arsine

デジタル大辞泉 「アルシン」の意味・読み・例文・類語

アルシン(arsine)

砒化ひか水素、およびその水素を有機基で置換した化合物総称猛毒

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精選版 日本国語大辞典 「アルシン」の意味・読み・例文・類語

アルシン

  1. 〘 名詞 〙 ( [ロシア語] aršin ) 旧ロシアの長さの単位。一アルシンは〇・七一一メートル。

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改訂新版 世界大百科事典 「アルシン」の意味・わかりやすい解説

アルシン
arsine

ヒ素の水素化物およびそのアルキル,アリール置換体の総称。

化学式AsH3ヒ化水素ともいう。融点-113.5℃,沸点-58.5℃のニンニク臭のある気体。比重3.484g/l(0℃,1気圧)。水に対する溶解度20ml/100mlエチルアルコールにわずか溶ける。きわめて有毒で,その毒性は一酸化炭素の10~20倍ともいわれる。取扱いはすべて性能のよいドラフトで行わなければならない。金属ナトリウムと粉末ヒ素を液体アンモニア中で反応させて得られるヒ化ナトリウムNa3Asに臭化アンモニウムNH4Brを加えると発生する。それを液体窒素で冷却したトラップに捕集する。

 Na3As+3NH4Br─→AsH3+3NH3+3NaBr

ヒ化亜鉛Zn3As2希硫酸分解するか,酸化ヒ素(Ⅲ)を塩酸に溶解後,亜鉛粒を加えても得られる。

ヒ化水素の水素をアルキル基アリール基で置換したAs-C結合をもつ化合物は多いが,一例を表に示す。いずれも悪臭をもち,有毒である。ジメチル亜鉛と三塩化ヒ素を反応させればトリメチルアルシンが,クロロベンゼン,三塩化ヒ素,ナトリウムを用いるとトリフェニルアルシンが得られる。ハロゲン化ヒ素とグリニャール試薬の反応で合成する方法もある。トリアルキルアルシンやトリアリールアルシンは,ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化アリールと反応して無色の結晶アルソニウム塩をつくる。

(R,R′はアルキル基,アリール基,Xはハロゲン)テトラフェニルアルソニウムイオン(C6H54As⁺は金属の錯陰イオンの沈殿剤として用いられている。有機置換アルシン類は,同様なホスフィンPR3とともに遷移金属に配位子としてはたらき,安定な錯体をつくる。これは,金属のd軌道に満たされた電子を,逆に受け入れることのできる空のπ軌道をもっているからである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルシン」の意味・わかりやすい解説

アルシン
あるしん
arsine

ヒ素の水素化物。水素化ヒ素、ヒ化水素ともいう。またAsH3の水素をアルキル基、アリール基、ハロゲンなどで置換した化合物たとえばAs(C6H5)3、As(C2H5)3などの総称でもある。金属ヒ化物を酸で分解するとき、またヒ素を含む物質を亜鉛とともに希硫酸で処理するとき発生する。ニンニク臭のある無色の気体。水100グラムに0.0019グラム溶ける(0℃)。エタノールにわずかに溶ける。きわめて有毒。アルシンを熱すると分解してヒ素を生ずる。これを利用したヒ素の検出法がマーシュの試験法である。塩素を通ずると燃え、ヒ素と塩化水素を生ずる。塩素水と反応する場合は亜ヒ酸、ヒ酸となる。アルシンには還元作用があり、硝酸銀溶液から銀を沈殿する。

[守永健一・中原勝儼]


アルシン(データノート)
あるしんでーたのーと

アルシン
 化学式 AsH3
 式量  77.95
 融点  -116.3℃
 沸点  -62.4℃
 密度  3.484g/L(0℃,1気圧)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルシン」の意味・わかりやすい解説

アルシン
hydrogen arsenide

化学式 AsH3 。水素化ヒ素またはヒ化水素ともいう。無色,中性の気体で不快なにんにく臭がある。猛毒。融点-117℃,沸点-55℃。 300℃で分解してヒ素を遊離する。また光に当ると,湿ったヒ化水素はただちに分解し,黒色の光沢あるヒ素を析出する。水に不溶。過マンガン酸カリウム溶液,臭素水に通すと分解除去することができる。点火すると青色の炎をあげて燃え,この炎を冷たい皿に触れさせるとヒ素が析出してヒ素鏡を生じる。

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百科事典マイペディア 「アルシン」の意味・わかりやすい解説

アルシン

(1)ヒ化水素AsH3をいう。無色,有毒な気体。(2)ヒ化水素の水素原子を炭化水素基,ハロゲンなどで置換した化合物の総称。メチルアルシンCH3AsH2など。一般に不快臭があり猛毒。

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化学辞典 第2版 「アルシン」の解説

アルシン
アルシン
arsine

[同義異語]アルサンの【Ⅰ】

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