アルシン(読み)あるしん(英語表記)arsine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルシン」の意味・わかりやすい解説

アルシン
あるしん
arsine

ヒ素水素化物。水素化ヒ素ヒ化水素ともいう。またAsH3の水素をアルキル基アリール基ハロゲンなどで置換した化合物たとえばAs(C6H5)3、As(C2H5)3などの総称でもある。金属ヒ化物を酸で分解するとき、またヒ素を含む物質を亜鉛とともに希硫酸で処理するとき発生する。ニンニク臭のある無色気体。水100グラムに0.0019グラム溶ける(0℃)。エタノールにわずかに溶ける。きわめて有毒。アルシンを熱すると分解してヒ素を生ずる。これを利用したヒ素の検出法がマーシュ試験法である。塩素を通ずると燃え、ヒ素と塩化水素を生ずる。塩素水と反応する場合は亜ヒ酸、ヒ酸となる。アルシンには還元作用があり、硝酸銀溶液から銀を沈殿する。

[守永健一・中原勝儼]


アルシン(データノート)
あるしんでーたのーと

アルシン
 化学式 AsH3
 式量  77.95
 融点  -116.3℃
 沸点  -62.4℃
 密度  3.484g/L(0℃,1気圧)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルシン」の意味・わかりやすい解説

アルシン
hydrogen arsenide

化学式 AsH3 。水素化ヒ素またはヒ化水素ともいう。無色,中性の気体で不快なにんにく臭がある。猛毒。融点-117℃,沸点-55℃。 300℃で分解してヒ素を遊離する。また光に当ると,湿ったヒ化水素はただちに分解し,黒色光沢あるヒ素を析出する。水に不溶。過マンガン酸カリウム溶液,臭素水に通すと分解除去することができる。点火すると青色の炎をあげて燃え,この炎を冷たい皿に触れさせるとヒ素が析出してヒ素鏡を生じる。

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