仏教の世界観において、大地の下にある金輪のきわをさす。仏教の世界観によると、世界は、有情世間(うじょうせけん)とよばれる人間界と、それを下から支えている器世間(きせけん)とよばれる自然界とに分類されるが、後者は、風輪、水輪、金輪の三つからなっている。まずいちばん下には、円盤状つまり輪形の周囲の長さが「無数」(というのは1059に相当する単位)ヨージャナ(由旬(ゆじゅん)。1ヨージャナは約7キロメートル)で、厚さが160万ヨージャナの風輪が虚空(こくう)に浮かんでいるものと考える。その上に、同じ形の直径120万3450ヨージャナで、厚さ80万ヨージャナの水輪がある。さらにその上に、同形の直径は水輪と同じであるが、厚さが32万ヨージャナの金でできている大地があり、その金輪の上に九山、八海、須弥四洲(しゅみししゅう)があるという。そしてこの金輪と水輪の境目のことを「金輪際」というのであるが、四洲の一つである閻浮提(えんぶだい)に住んでいる有情からすればはるかな底の底であるところから、「徹底的に」とか「最後まで」という意味が生じた。現在では一般に「いかなることがあっても」の意に用いられる。
[高橋 壯]
仏教宇宙観における一種の地底。世界は相重なる三輪(金輪・水輪・風輪)からなり,最上層の金輪(カーンチャナマンダラkāñcana-maṇḍala)の上に大海やわれわれの住む大陸(閻浮提(えんぶだい))がある。したがって〈金輪際〉とは金輪とその下の水輪との境,すなわち金輪の最下層,われわれにとっての真の底を意味する。《大宝積経(だいほうしやくきよう)》には〈この大地は厚さ百六十万由旬(1由旬は約7km)あり,その最下底を金輪際という〉とある(《俱舎論》では厚さ百六十万由旬あるのは風輪である)。俗にこの語は〈絶対に〉〈真底〉を意味するものとして〈金輪際そのようなことはしません〉というように使われる。
執筆者:定方 晟
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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