歌舞伎用語。7世市川団十郎は〈家の芸〉18種を〈歌舞伎十八番〉と制定した後,自分自身の得意芸18演目を集めて〈新歌舞伎十八番〉の選定を企てた。《虎の巻》(《鬼一法眼三略巻》の奥庭の新演出,1850)と《蓮生物語》(《熊谷陣屋》の後日譚《堺開帳三升花衣》の新演出,1852)の2作を選んで没したので,その子9世団十郎が残り16種を選定。なお〈十八番〉を〈おはこ〉の意として,さらに演目をふやし合計32種を含ませた。《地震加藤》《酒井の太鼓》《重盛諫言》《釣狐》《高時》《船弁慶》《伊勢の三郎》《紅葉狩》《文覚勧進帳》《素襖落》《鏡獅子》《二人(ににん)袴》《時平の七笑》《大森彦七》など。9世の選定した演目は,1869年(《地震加藤》)から97年(《大森彦七》)までの間に演じたもので,前半は活歴劇,後半は松羽目物が多く選ばれている。
執筆者:鳥越 文蔵
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7世・9世の市川団十郎が制定した歌舞伎(かぶき)劇の一群。この場合の十八番とは得意なものという意味なので、数は18種をはるかに超え、32種あるいは40種との説がある。7世団十郎は祖先からの家の芸「歌舞伎十八番」のほかに自身の得意芸または記念的作品18種を選定しようとしたが、『虎の巻(とらのまき)』『蓮生(れんしょう)物語』の2作を選んだだけで没したので、その子9世団十郎は父の遺志を継ぎ、自分の初演した会心の作を多数選んで「新歌舞伎十八番」と名づけた。演劇改良の新運動を反映する活歴物(かつれきもの)と、能・狂言に取材した高尚趣味の舞踊劇が多いのが特徴。今日そのタイトルをつけられるものに、『時平七笑(しへいのななわらい)』『地震加藤(じしんかとう)』『真田張抜筒(さなだはりぬきづつ)』『酒井の太鼓』『敷皮(しきかわ)の五郎』『荏柄問答(えがらもんどう)』『高時(たかとき)』『重盛諫言(しげもりかんげん)』『凧(たこ)の為朝(ためとも)』『仲光(なかみつ)』『文覚勧進帳(もんがくかんじんちょう)』『女楠(おんなくすのき)』などのほか、舞踊劇の『鏡獅子(かがみじし)』『大森彦七(ひこしち)』『船弁慶(ふなべんけい)』『紅葉狩(もみじがり)』『素襖落(すおうおとし)』『二人袴(ににんばかま)』『吹取妻(ふきとりづま)』『釣狐(つりぎつね)』などがある。
[松井俊諭]
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