天球上の天体の位置を表す座標、すなわち天球座標の一種。わが銀河系内の天体の位置・運動、さらに銀河系の構造などを研究するのに便利なようにつくられた座標である。すなわち、この座標は次のように設定されている。
銀河赤道(銀河座標の赤道で、銀緯が0度となる)なる大円(天球上、電波強度が最大となる大円)を、ほぼ天の川に沿って設け、銀河系の中心方向(いて座の1点)を銀河座標の経度(銀経という)の起点とし、はくちょう座の方向へ測る。銀河赤道から90度離れ、かみのけ座にある点を銀河座標の北極とする。銀河赤道から天体までの角、つまり緯度のように測った角が銀緯である。角の大きさは角度で表わされ、度、分、秒の単位で示される。銀経と銀緯が銀河座標となる。
銀経の起点は銀河系中心の方向で、その赤経・赤緯はそれぞれ17時45.6分、およびマイナス28度56分(いて座)、銀河北極のそれは12時51.4分、および27度8.0分(かみのけ座)、銀河赤道と天の赤道との交点(昇交点)の赤経は18時51.4分、この交点の銀経は32度56分(わし座)、銀河赤道の天の赤道に対する傾斜は62度52分である(以上いずれも2000.0年分点)。
[大脇直明]
銀河系内の天体の分布や運動を記述するために用いられる球面座標。銀経,銀緯によって天体の位置が記述される。球面座標の基準面として,中性水素ガスがもっとも強く集中する平均平面が採用されている。この平面は,銀河系内の物質分布の一つの対称面に対応し,銀河面といわれている。銀河面と天球との交線が銀河座標における赤道,すなわち銀河赤道を与える。銀河赤道は,いわゆる天の川に沿って走っている。銀河北極は銀河面に直角な方向で,かみのけ座にある。地球上の緯度に対応して,銀緯は銀河赤道上0°から銀河北極方向へ+90°まで,銀河南極方向へ-90°まで測られる。銀河面上いて座の方向に銀河中心があり,そこには強い電波源いて座A(Sgr A)がある。銀河北極といて座Aの方向を含む大円を起点として東向きに銀経が0°から360°まで測られる。図は銀河座標(l,b)と赤道座標(α,δ)との関係を示す。
執筆者:宮本 昌典
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…球面天文学は天文学の諸分野の中でもっとも早期に発達した基礎的分野であり,とくにすべての天文観測に直結している。 天球座標には観測者の地平線に固定された地平座標と,天球に固定されて天球とともに回転する赤道座標,黄道座標,銀河座標がある。黄道座標は太陽系天体の位置や運動を表すのに使われ,銀河座標は銀河系の研究に使われる。…
※「銀河座標」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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