翻訳|sinker
軽量な物体に重量を加えるための資材。漁業では、漁具を沈降させるために用いられる。沈子(ちんし)、分銅(ふんどう)などがあり、「浮き」である浮子(あば)とは反対の作用をする。一般には振り子の下端につける錘、測量のために綱の先端につける錘、秤(はかり)の一方に掛けて計量物の重さとつり合わせる分銅などが錘の範疇(はんちゅう)に入る。
釣り漁具においては、錘は「びし」「しずみ」などともよばれ、釣り糸の下方に小さい鉛製の沈子を連続して取り付ける。浮きと併用して釣り糸と釣り針を潮に流されずに沈降させ、希望する水深に安定させる役目をする。また、釣り糸をつねに緊張させることにより、魚信(魚が餌を捕食する微妙な動き)を鋭敏に察知させ、確実に釣果(ちょうか)をあげる働きをする。材料としては、沈降力(比重)が大きく、破損・腐食することが少なく、成形加工が簡単なものが望まれる。かつては自然石などが用いられていたが、現在では鉛(比重11.35)などが多用される。形状は、水中での抵抗を小さくするために球形、円筒形、円錐(えんすい)形のものが多いが、ほかに、重量を調節しやすいように鉛の薄板を切って使う「板錘(いたおもり)」などもある。
網漁具では、沈子、分銅などが各種網漁具の網裾(あみすそ)部に取り付けられ、網地を下方に展開させる役割を果たしている。大型定置網の運動場(囲網(かこいあみ)部)や垣網の網裾部に、錘をつけて積巻(せきまき)にしたワイヤロープ(比重4.57)を用いて、網裾が潮によって吹き上がらないように配慮している漁場もある。積巻は、ワイヤロープにクレモナや綿糸を巻きつけることによって、直接ワイヤロープに負荷がかからないようにするための役割をもつ。網裾が潮流で吹き上がると、網がからまったり破れたりする危険がある。
なお、原始的な漁労用の錘は石製で、古くはヨーロッパの中石器時代のものが知られている。また日本では縄文時代に普遍的で、後期にもっとも多く、弥生(やよい)時代にはつまみ付きの紡錘形磨製の石錘(いしおもり)(考古学などでは「せきすい」とも読む)があった。
[添田秀男・吉原喜好]
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…またスピンドルへの注油が問題になるが,オープンエンドのスピンドルには多孔質静圧気体軸受も使用されている。なお精紡機ではスピンドルは錘(つむ∥すい)とも呼ばれ,紡績工場の規模はスピンドルの数(錘数)によって表示される。錘は紡錘とも書き,新石器時代から使用された紡錘車(糸を紡ぐ道具)の回転軸もスピンドルである。…
…この遺跡は新石器時代のもので,紀元前4200年ころとされている。また同じころと推定される亜麻布はイランのスーサ地方のアクロポリスの遺跡からも出土しており,ジャルモ・ハラフ期の遺跡からは土製の紡錘車や骨針が出土し,すでに糸を紡ぐことが行われていたことがわかる。さらにインドのモヘンジョ・ダロ遺跡や南アメリカのペルー北部のワカ・プリエッタ遺跡で発見された綿布の断片は,ともに紀元前3000‐前2500年ころとされている。…
…またスピンドルへの注油が問題になるが,オープンエンドのスピンドルには多孔質静圧気体軸受も使用されている。なお精紡機ではスピンドルは錘(つむ∥すい)とも呼ばれ,紡績工場の規模はスピンドルの数(錘数)によって表示される。錘は紡錘とも書き,新石器時代から使用された紡錘車(糸を紡ぐ道具)の回転軸もスピンドルである。…
…できた糸をフックから外して軸に巻き取り,以上の操作を繰り返して連続した糸を作る。円板などは軸を安定に持続して回転させるためのはずみ車で,おもり(錘)の役目も果たす。弱い繊維束では,張力をかけないようにして撚りをかけた後(転がしたり土に軽くさしこむ),おもりで引き伸ばしながら撚りをかける。…
※「錘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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